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シリコンおっぱいバレー 第六話

 先ほどまで、ニヤけながら下級生が叱られている様子をちらちらと見ていた上級生たちも、マトシが声を荒らげて以降、顔をそむけて真剣にキャンバスに向かい始めた、フリをしている。
 「俺たちは美術館になんて行きたくなかったから、そのような自分自身の内なる思いをそのように表現したまでのことです」
 「はぁ?お前は突然なにを言いだすんだ?ま、百歩譲って見に行きたくないにしてもだな、そもそも、他人の作品に興味のない奴が自分の表現を他人に見てもらう資格なんてないだろう」全くその通りだった。自分の面倒くさい思いを自己正当化しているだけなのかもしれない。しかしここでひるんでしまったら一生後悔するかも知れない。マトシはたいして根拠のない自信だけを頼りにして自分の居場所を探して、兎に角闘うしかなかった。

シリコンおっぱいバレー 第五話

 「だからさあ!」マトシは普段出さないような大声を出した、つもりだったがちょっと裏返ってしまった。
 「ちょっと失礼なんじゃないですか!人を見る目が無いんじゃないですか?そんな浅い洞察力でゲージュツごっこをしてんですか、あなたは」
 「おい、何だ。先生に向かってそんな偉そうな口を利いて」
 「俺たちはわざわざ休日に部活動なんかしたくないんですよ。ただそれだけの事で」
 「先輩たちはちゃんと来てたんだ。美術館に行けば何かしら新しい美術との出会いもあるだろうし、勉強にもなるだろう。謙虚な気持ちを持って…」
 「全く勉強になんてならないですよ。日本人が油絵なんか描いたってどうにもならないじゃないですか。日本人の油絵画家で世界的に評価されている人なんていないじゃないですか。日本人の俺らが油絵なんかシコシコ描いてたって時間の無駄でしかない」
 「お前がそんな偉そうなこと言える立場だと思っているのか?お前にそれだけの実績なんてないだろう」
 「無いですよ。それがだから何なんですか?」
 マトシはいつしか本気で怒っていた。
 〈続く〉

シリコンおっぱいバレー 第四話

 マトシの通う高校では、毎週火曜日の放課後はクラブ活動の日になっていた。もちろん体育会系の部活や吹奏楽部などは毎日のように活動している。チャイムが鳴ると同時に、磯島先生は一年生部員を集めてさっそく説教を始めた。
 「なんでお前らは来なかったんだ。先輩たちはみんな来てたんだぞ?休むなら休むってあらかじめ言うべきだろ?どうせお前らで事前に電話でもして休むことにしたんだろう」
 磯島先生は一年生部員の中では比較的発言力のある山下に目を向けて、さらにまくし立てる。
 「俺が思うに山下が、おとなしい石館をおどすような事を言ってみんなでサボるように口裏を合わせたんじゃないのか」
 石館はマトシの名字である。ああ、オレってこの先生に完全にナメられてんだなあ。
 山下がふてくされて「何言ってるんですか。おどしてなんかいないですよ。人を乱暴者みたいに」
 「いや、そういうつもりで言ったんじゃないけどな。でも約束を破ったら駄目だろう。石館はどうして一緒にサボったんだ?」
 矛先を向けられたマトシは、ここでちょっと空気をかき乱してやれと、でんぐり返しをしてみた。
〈続く〉