~財産状況の棚卸し~
1つめで~相続人ってだれ?~の記事を書きました。
次にやるべきことは、ご自身が亡くなった際に財産を引き継ぐ相続人は誰になるのかを確認した後、どのような財産をお持ちなのか整理しましょうというお話です。 何も知らされないまま亡くなったとしたら…もしもそれが家計を管理していた人だったとしたら、明日からの生活も困ることになります。
亡くならなくても、入院や施設への入所、もしくは認知症になってしまったりしたら、ご家族が困ることが出てくるかもしれません。
これを機会に、今お持ちの財産として何があるのか、知っておくことをお勧めします。
財産と呼ばれるものは大きく分けて次の3つです。確認していきましょう。
① 不動産(土地・建物)
不動産の所有者名義を確認します。今お住いの不動産はどのような経緯で取得されたのでしょうか。「祖父母が亡くなり、現在親が住んでいるにもかかわらず不動産名義は祖父のまま」ということもよくある話です。なぜなら不動産の名義変更は「しなければならないこと」ではなかったためです。
② 有価証券・預貯金
どこの金融機関と取引があるのかを確認します。転勤でいろんな地域に住んでいた方は特に、住んでいた各地域で口座を開設していることが多くあります。使っていない口座があれば今のうちに解約しておきましょう。
③ 生命保険
保険の補償内容の確認と、保険金受取人の確認をします。特に大事なのが保険受取人です。亡くなった親や、離婚した配偶者が保険金の受取人になったままのものを見かけることがあります。今現在、保険金を渡したい相手に早急に変更してください。
ただし、誰でもよいわけではありません。受取人になることができる人は保険会社ごとに制限がありますので各社にご確認ください。
財産の棚卸が終われば、ご家族やお世話をしてもらっている人に伝えておいてほしい ことがあります。
これも3つあります。確認していきましょう 。
① 債務の有無。
例えば借金がある場合、相続人は、その借金も相続することになるのです。予想外の借金返済をすることになるのは大きな負担です。前もって借金があることを伝えておけば「相続放棄」の検討をすることができます。
② 定期的に口座引きおとしがある契約。
月会費や年会費を支払っている契約、定期的に購入しているものがあればその明細。
クレジットカードの所有の有無も必要です。
③ パスワード等
パソコン、スマートフォンなどのログインID、パスワードは、いざというとき家族が知ることができるようにどこかに保管して、保管場所を伝えておきましょう。
では、こうしたものが伝わっていないとどうなるでしょうか。
●不動産
所有者の名義が祖父母の名義だった場合、祖父母の相続までさかのぼらなければなりません。祖父母の相続が起こった際の遺言書の有無、もしくは遺産分割協議がされているかの確認を行います。当時の相続人が亡くなっている場合は、その子供や孫たちと連絡を取り遺産分割協議を行い、名義を変更する必要があるのです。ただ、会ったことのない人たちとの話し合いをするのは、とてもストレスになります。相続が起こった際に速やかに変更しておけば防げたことです。不動産の名義変更は、いままで義務ではなかったため、費用もかかることから先送りにしているケースは多く見られましたが、2024年4月から義務化されることになっています。子や孫に負担をかけないように、今のうちから所有者名義を確認しておきましょう。
●パスワード等
パソコン、スマートフォンは個人情報の宝庫です。だからこそ自分だけが使用できるようにログインID、パスワードがあるのですが、もし財産の棚卸したものをパソコンの中に保存している場合に不慮の事故で亡くなったら、誰もパソコンの中の情報を見ることができません。家族が閲覧できるようにしておかないと、中の情報を得るために何十万という費用が掛かる恐れがあります。また、それだけの費用をかけても閲覧できないという可能性もあります。
財産の棚卸や伝えておきたいことがわかってくると、それをどのように残しておくかということになります。パソコンの中に保存している場合は、印刷しておいておきましょう。また、パソコンが苦手な方は、エンディングノートに書いておきましょう。エンディングノートの書き方に決まりはありません。市販のノートや書店でも販売していますので、書きやすいものを選んで書いてみましょう。
財産は金額まで書く必要はありません。「どこに何があるよ」という簡単なものでかまいません。ID、パスワードを直接書くことに抵抗があれば、別紙にかいたものの保管場所を書き記すのもよいでしょう。
エンディングノートには法的効力はないので、書き出した財産内容を基に誰に何を引き継いでほしいかが決まれば、法的効力のある「遺言書」を作成し、財産を渡せるようにしましょう。その際は、公正証書遺言をお勧めします。 公正証書遺言とは、公証役場にいる公証人が遺言者の希望を聞きながら法律的に有効な形で作成する遺言書のことです。ただ、公正証書遺言は法律上の言い回しなど文面が一見して難しく感じます。そのため、相続に詳しい専門家 に相談して進めていくことをお勧めします。
エンディングノートと遺言書は、役割が違います。専門家の中にはエンディングノートからサポートする方もいらっしゃいますので、一人で悩まず専門家に相談し、サポートしてもらいながら想いを形にしていきましょう。
自分しか知らないことを家族にも共有する。簡単なようで大変な作業です。
心も体も元気な「今」から一歩を踏み出しましょう。