ある夜、夢を見た。多くの人が集まる賑やかな場所に、知人のお兄ちゃんの姿を見つけ、ミウは嬉しくなった。しかし、近づこうとした瞬間、声が聞こえてきた。
「あいつは何もしないで、ただ来るだけなら来てもらわないほうがいい」
ミウはハッとした。胸が締めつけられる。これは、自分のことだ。
「どうしよう…ここにはいられない。もうお兄ちゃんには会えない…」
そう思った途端、心の奥底に封じ込めていた痛みがよみがえってきた。ずっと昔、まだ子供だった頃、大好きだったおじいちゃんに言われた、同じ言葉。その意味がわからなくて、ただただ悲しかった。おじいちゃんは自分のことを嫌いなんだ、大切に思ってくれていないんだ、そう思ってしまった。
それ以来、どうすればいいのかわからず、おじいちゃんに近づくこともできなくなってしまった。
もう忘れたと思っていた、心の深い場所にあったこの痛み。まだ自分の中に残っていたことに、ミウは気づいた。
しかし、もう過去のことだ。もうこの痛みを、手放そうと決めた。 





そう決めた瞬間、そばにいた石の女神さまが、その心の痛みをそっと、光で満たしてくれた。
旅を続けるのが少し怖いと感じていたけれど、ミウはもう一度、女神さまと一緒に旅に出てみることにした。