ダ・��ヴィンチ 01月号 [雑誌]

瀬尾まいこさんのインタビューが載ってます。
初めてお写真を見ましたが学校の先生らしい方ですね。
裏話も載っていて大変楽しく読みました。

確かに学校の先生が図書館の神様のようなお話を書いたら「も、もしかして誰かがモデルなの?」と生徒の中で盛り上がりそうですよね。

いいなぁ瀬尾さんの生徒さんたちとうらやましくなりました。

1974年大阪府生まれ。

大谷女子大学国文学科卒。

現在は宮津市の中学校国語講師。

『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞受賞

本名・瀬尾麻衣子さん。


■連載エッセイ

「誰かとつながる。それは幸せなことだ」i-mode ボーダフォン au で連載中

野性時代9.10号温に連載「温室デイズ」

幸福な食卓

「幸福な食卓」 講談社 1,470円

*あらすじ*

主人公の佐和子は中学生。
佐和子の家では朝食だけは皆で食べる約束事があり自然と大事な話は朝食の席で持ちあがる。
ある朝、父さんはいきなり宣言をした。
「父さんは今日で父さんをやめようと思う」と・・・。
母さんが家を出る時も、直ちゃんが大学を辞めると言い出した時も朝食の席だった。
そんな父さんでなくなった父さんと家出中なのに家族と交流のある母さんと有名過ぎるほど有名な
天才児だったのに全てを捨てた兄・直ちゃんとの4人家族の佐和子。
兄の彼女でサラダ油を手土産に持ってくるような小林ヨシコ、そして塾で出会った大浦勉学君。
不思議で優しい家族に囲まれた佐和子の中学から高校時代を書いた短編連作。

~本の帯より~
大きなものをなくしても、まだあった、大切なもの。
とっても切なくて、ちょっとおかしくて、あったまる。
いま最注目の作家が放つ、心にふわりと響く長編小説!
父さんが自殺を失敗したときも、母さんが家を出たときも、朝は普通にやってきた。
そして、その悲しい出来事のあとも……。
泣きたくなるのはなぜだろう?優しすぎるストーリー。

目次
幸福な朝食/バイブル/救世主/プレゼントの効用

*感 想*

冒頭の1行目がいきなり「父さんは今日で父さんをやめようと思う」ではじまるこの作品、主人公の佐和子ではないがこの先制パンチにはやられてしまった。
そう1行目から既に物語にグイグイと惹き込まれてしまうのだ。

この物語に出てくる主人公の家庭は決して「幸福」とは言えない。
父さんを辞めた父さん、家出中の母さん、人生から「真剣さ」を捨てた兄・直ちゃんと中学生の佐和子。
何ともアンバランスの中それぞれの優しさと思いやりでバランスを保っている家族なのだ。

「幸福」とはほど遠いはずなのに読んでいると「幸福」を感じてしまう。
それは佐和子自身が気付かないうちにたくさんのものに守られているからであり、それを佐和子に気付かせてくれる人達がいるからだ。いけすかないヨシコさんも、隣の席の坂戸君も塾でライバル宣言をしてきた大浦君も・・・短編のタイトルではないが彼らが皆佐和子にとって救世主であり、逆に彼らにとって佐和子は守るべきものがあると気付かせてくれた救世主なのだろう。(佐和子が出会う男の子たちがまた魅力的なのだ、鯖を食べてくれる坂戸君や単純でわかり易い大浦勉学君、二人ともが素敵過ぎるくらい素敵なのである。)

物語の後半に関しては読んでいるうちに薄々と感付いてくる出来事が待ち受けているのだが、わかっていてもやはり読んでいると胸が痛くなる。その痛みと切なささえも大きな優しさで包み込むのが瀬尾まいこの作品なのである。
哀しいのに優しい、切ないのに心が温まる。読み終えた後、本を抱きしめたくなる1冊。

一言■たいせつなものを失ったとしても、それでもまだ沢山のたいせつなものに包まれていることに気付かせてくれる物語。オススメ。
天国はまだ遠く

「天国はまだ遠く」  新潮社  1,365円


*あらすじ*

誰も私を知らない遠い場所へ、そして、そこで終わりにする-。

主人公の千鶴は保険の勧誘をしている20代前半のOL。
特にキャリア指向ではなく、就職難のこの時代昔から「愛想がよい」ことだけが取り柄だと営業職へ就く。
当然のことながらノルマは達成できない。
会社のお荷物だと自分で思い込み只管落ち込む毎日についに心と身体がダウンする。
仕事で上手くいかず、そのままプライベートも楽しめずどんどん深味に嵌る主人公。
会社に居場所がない、どこにも居場所がない、ついに自殺を決意する。
自殺願望の主人公が辿り着いたのは日本海側の北の端にある山奥の民宿。

睡眠薬を飲み自殺するはずだった彼女はなぜか心地良い目覚めで目を覚ます。

大自然と民宿の主人の青年・田村のおかげで思いがけずたくさんの素敵なものに出逢った千鶴が自殺の次に決心したこととは…。
癒しと再生の物語。


◇感想

特別に何かに優れているわけでもなくまた特に目標もない・・・多分周りから見れば千鶴の苦悩もそこまで重いものでもなく、会社からリストラを言い渡されそうでもなければちゃんと彼氏もいるし友達もいるなんて逆に恵まれているくらい・・・。
だけど本人からすればノルマを達成できない、会社のお荷物だとどんどん自分を追い込んでいき、また仕事がうまくいかないから次第にプライベートでも楽しめなくなる。
だからといって退職したり有給をつかってリフレッシュする勇気も出い・・・世の中のOLの殆どが一度や二度こういう気持ちになってしまうのではないでしょうか?
私はすごーくこの主人公の気持ちが分かるんですよね。
周りから見ればそんな悩みたいしたことないのでしょうし、転職すればいいじゃんとか好きなことすればいいじゃんと言われがちなのですが、今がうまくいかないのに次なんて考えられるわけがない。

そんな時、荷物をまとめて自殺への旅に出る主人公、もちろん行き先は日本海の端。
死ぬ前に散財しようと思っても欲しいものも浮かばず、3年暮らした部屋は何となくカラッポで、大好きな鞄に入れる荷物もスカスカ。
決心して睡眠薬を飲んだのに気分爽快に目覚めた千鶴・・・ここは天国なのか?

自殺しようと旅に出る主人公の物語なのに何故かあちこちに笑いの要素がある。
真剣に悩んでいるのに重たくなり過ぎない。
また彼女が出会う人達との会話のテンポがいいんです。
最初に出会うタクシーのおっちゃんから、民宿の田村青年までいい味を出していて全く無駄がないんですよね。

この本を読んでも悩みが解決するわけでもないし、多分主人公の今後も大なり小なり今回と同じ気持ちに陥る心配はある、それにこんなに恵まれる旅に出れること自体が奇跡なんですが、そういう事を全て含めても読んで気持ちの良い1冊でした。

旅に出る時はスカスカだった鞄はパンパンに荷物で膨らみ、滞在して1ヶ月にも満たないのに民宿の部屋は自分の空気で満たされている、こういう細かい部分にも旅に出る前とラストの主人公の気持ちが比較されてるのも良かったです。

一言■一歩間違えたら胡散臭い綺麗事になるのに、瀬尾まいこはそうならない。恐るべし瀬尾まいこ。
図書館の神様

図書館の神様 講談社 1,260円

*あらすじ*

18歳まで「清く正しく」全てのことに一生懸命だった主人公・清(きよ)。
バレーボールが大好きで練習も人一倍、一生続けていくつもりだったはずなのに、高校三年生の何でもない練習試合で起きたあるアクシデントによって夢をあきらめ、バレーボールを捨ててしまうことになる。

それからの清は全てのことに中途半端に。
清く正しいことからかけ離れていくのと一緒に、なぜか弱かった体は少しずつ強くなっていった。

深く考えずに恋人のひとことで決めた高校講師の道。
そこで彼女が出会ったのは文芸部の唯一の部員・垣内君。
どこからでも海の見える明るい高校で、瑞々しい物語が始まる…。

本文より
「神様のいる場所はきっとたくさんある。私を救ってくれるものもちゃんとそこにある。」


◇感想

誰もが一度は陥ってしまう底のない穴。
そんな穴に落ちてしまった清が休み休み次第に別の人生の道を見つけるまでの物語。
人生の長い休憩時間・・・誰にでもそういう時期ってくるような気がします。
私も数年前までそんな時期でして本当のんびりと過ごしてました。
今も別に変わったわけではないのですけどね。

真っ直ぐに生きていくのってその時は簡単だし迷いもないのですが一度躓くと全てを否定しないといけないような気がしますよね。
正直「清く正しい」時期のスポ根少女・清は私が絶対に友達にならないタイプ。
基本的に運動部のあの熱さってダメなんですよ、高校時代にクラス対抗バレーでこういう清タイプの人がいて泣かされる人まで出て本当迷惑でしたもの、全然楽しくない(笑)。
だから最初はこの清に全く感情移入できず何て奴だと思ってました。
いやラストまで読んでもこの主人公自体は別に好きではないんです。
それでもこの評価の高さは「再生」への道の清々しさと、きっと将来自分の居場所を見つけるだろうという予感に溢れた旅立ちのラストが良かったからです。
そして良く出来た生徒・垣内君はかなりお気に入りでした。

肩肘張って生きてる人に人生の休憩時間を取るのも悪くないと思わせてくれる1冊なのではないでしょうか?
読み終わった直後より時間が経ってふと「良い本」だなと感じました。
(実は読んで既に3日経ってます。(^^ゞ)


一言■読み終わって気分の良い1冊でした。ただし不倫は嫌いなんですけどね。
卵の緒

卵の緒  1,470円



あらすじ
自分は捨て子だと思っている小学校4年生の育生。
ある日学校で「へその緒」について知る、早速親子の証しである「へその緒」を母に見せてとせがむ育生。
母が「へその緒」よと持ってきたのは、なんと『卵の殻』だった。
しかも卵で産んだからへその緒はないと言いきる母。
本当に僕は捨て子なのかな・・・。

真っ正直に生き、ちょっと変わった母親、そして彼女のとぼけたボーイフレンド、育生の友人不登校の同級生。
血のの繋がらない親子が繰り出す物語。
坊ちゃん文学賞大賞受賞作に書き下ろし1編を収録。

1.卵の緒
2.7's blood


感想

何気なく読んだこの本・・・・表題の『卵の緒』は出会ったことに感謝したくなる物語でした。
血の繋がりよりも深い愛情ってあるんですよね。
とにかくこの母親がいいです。
周りから見れば眉をしかめたくなるタイプなのかもしれないのですけど、変に誤魔化したりせず
好きなものは好きだと言いきり、何が1番大事なのかわかってるところがステキなんですよね。
児童書の棚にないので大人向けなんでしょうが、森絵都さんに通じるものがあったのできっと子どもが読んでも感動できる本なのではないでしょうか?
そしてこの母が育生に言った言葉が私の中でお気に入り・・・・。

(作中より)
「誰よりもあなたが好き。それはそれはすごい勢いで、あなたを愛してるの。今までもこれからもずっと変わらずによ。ねぇ。他に何がいる?それで十分でしょ」

これは読んで読んでとオススメする意外思いつかない本でした。

一言■血の繋がりは大事ですか? 魅力溢れた母親のせりふにご注目。