2年前、妊娠高血圧症候群がヒドイ状態で転院され
28週で帝王切開になった患者さんがおられました。
お子さんは1110gで産まれましたが
ありがたい事に何の問題もなくNICUを卒業し
リハビリにも通う事なくとても元気に成長していると聞きました
その患者さんが去年再び外来に訪問し
「1人目があんなに早産で産まれたにも関わらず
健康に育ってくれている事が奇跡だという事は良く分かっているんですが…
どうしても2人目が諦められません。」
と相談に来られました。
妊娠高血圧症候群の一番のリスクは
以前の妊娠時の妊娠高血圧症候群の病歴…
その上妊娠が終わった後も血圧が高く
結局高血圧を診断され薬を飲んでる上
BMIが30…
そんなの火傷する気満々で火の中に飛び込む様なもので
心の中では「や…やめて…」を叫びながら
口では「絶対駄目です!」とは言えないので
「次はもっと早く産まれるかもしれませんよ。」
と脅しました。
「前回は私が無知過ぎたので
今回は自分なりに沢山調べて
自分がハイリスクな事を十分承知しているんですが
それでもどうしても諦めきれません…
どうにか方法は無いでしょうか…?」
と相談され
「本気で2人目を考えているのなら
妊娠前に出来るだけリスクを下げておいて下さい。
高血圧のコントロールを薬、食事、運動で徹底し
ダイエットも頑張って
BMIを25以下まで落として下さい。
それ位の覚悟を見せて頂ければ
全力でサポートします。」
と話しました。
そして半年後… 本当にBMIを25まで落とし
妊娠して再度訪問されました
妊娠中の体重増加を9キロ以内に制限し
妊娠高血圧症候群予防の為のアスピリンを12週から服用。
普通なら4週に1度の健診を
1~2週に1度来て貰い
もーこの数ヶ月間本当に怖かったなぁー
結果、この妊婦さん何週で出産したと思いますか!?
妊娠高血圧症候群の発症もなく
37週1日の臨月で出産されましたぁぁ
この結果は患者さんの努力の賜物ですが
達成感と感動で胸が一杯ですぅぅ
あと実はこの患者さんが私にとって初めての
お子さん2人とも私が取りあげた患者さんだったので
これまた格別な思い入れが
今まで似た様な相談をされた時
「ハイリスクなのであまりお薦めは出来ません。」
と医師の視線で話す事ばかりでしたが
少し前、1人目を30週で出産し
2年間診療+リハビリで大変な毎日を過ごしていた友達から
「実は2人目が欲しいんだ。
でもまた同じ事が起きてしまったら
今度こそうちは崩壊してしまう…。
それでも中々諦めがつかないんだ。」
と相談を受けた事がありました。
その友達に2人目が欲しい理由を聞くと
兄弟を作ってあげたい気持ち以外にも
「○○の時はNICUに2ヶ月入院してたから
面会の時しか会えなかったし
触れたくても触れなかったから
普通の新生児の育児に憧れるんだ。
夜中に泣いて起こされて授乳して
一日2時間しか寝れなくても
沢山抱っこしてあげながら
間近で毎日成長を見守って
普通の育児地獄を経験してみたいんだ。
贅沢な話だよね。」
と話してくれ
この言葉が私的にグサッと刺さり
考え方を変えるキッカケになりました。


