昨晩、記事を書き上げた私はその後明け方まで、親友の女の子と久しぶりに長電話をした。
私は誰かに話を聞いてもらいたい気持ちから電話をするということは滅多にないのだけれども、昨晩それとなく親友を誘ったのは、それだけ私が男性への気持ちを持て余していたということでもあったりする。
突然の電話であったにも関わらず、彼女はじっくりと私の話を聞いてはいろいろとアドバイスや、自分でも気付いていない私の気持ちについても話をしてくれ、とても充実した時間を過ごすことが出来た。

親友と話をしていく中、もしかしたらこの男性とのアレコレは、以前私が携帯電話に落とした『魅力アップファイル』が関係しているのではないか?ということが、頭を掠めた。
『魅力アップファイル』の中には、理想の恋人を手に入れられるというような記述が載っている。
文字波動に関しては男性と知り合ってから実践し始めたことではあるけれども、驚く程、男性は私が自覚している自身の理想のタイプに沿っているし、男性が私を頻繁に誘ってくれたりよくしてくれているというのも、何か目に見えない力に導かれたゆえだと思えば、納得がいく。
その是非は今は分からないけれども、その可能性は十分に考えられる。

そして、親友の言葉に導かれるようにして、私はまぎれもなく、『男性に恋をしている』のだということも………強く強く、実感した。
好きだと認めるのはなんだか照れ臭くもあるけれど、今私が感じているこの恋い煩うような気持ちは、恋をしているゆえのものだと認めざるを得ない。

いつからか、自分が幸せな図をイメージする時、私のそばにいる相手というのは、実は男性になっていた。
最初は純粋に、男性と一緒にいて楽しい時間をこれからももっともっと続けていきたい、男性とこれからもっともっと仲良くなりたいという気持ちから続けていたつもりだったのだけれど、ここ数日は明らかに恋慕の気持ちが混ざり、男性からも同じように想われる図を浮かべることが多くなっていた。
そして、それに比例するように、男性との関係にも少しずつ変化が起きた。
親友曰く、「知り合ったばかりの頃からみういはその人に惹かれるんじゃないかって予感はあったよ」とのことらしいけれど…。

そういえば、この所、イメージングの際は『開運パワーのページ』を開きつつ行っているのだけれど、その時のイメージは男性の部屋に泊まるイメージも勿論あったし、男性と肌を重ねるシーンを描くこともあった。
ページの効果があったのか、それらがつい先日、思い掛けず短期間で実現したことで、男性との距離は縮まりつつあるのを今日男性から届いたメールも恭しさを失っている点からも感じ取ることが出来た。
けれども、その分、男の子との関係に皺寄せが来ていることを今日男の子とのやり取りの中で感じてしまった。

昼間男の子から、「来週会うとしたら火曜日位しか時間取れないかも」というメールが届いていた。
以前の私であったら、読んで直ぐさま「じゃあ、私何があっても火曜日空けておくから、君も絶対火曜日空けておいてね!」というようなメールを送っていただろうけれど、私が綴った文章は、それとは違うものだった。
男の子としては、もしかしたら「火曜日しか時間が取れないから火曜日に会いたい」という意味合いでそのメールを送ってくれたのかもしれないけれど、私の正直な気持ちとして、出来る限り今は男性と会える時間を作りたい。
火曜日は男性と会える可能性がゼロであれば男の子に会いに行きたいと思うけれど、男性の誘いを断ってまで男の子に会いに行きたいと、今は思えない。
そんな気持ちだったので、「来週会えなかったとしたら、それは仕方ないと思うよ。来週以降も、また機会あるだろうし」というようなニュアンスで男の子に返事をした。
その後、男の子はどう感じたのか、男の子からの返事はない。
少し前までは会う会わないの話になると私は「今すぐ君に会いたい」と連呼し、会えるものならいつでも飛んで行きたいと思って接していた為、急に私の態度が変わってしまったことに男の子も不信感を覚えたのだろうか…?
会うこと自体がどうでもいいのなら、男の子は例えそれが実現せずとも何とも思わない子なので、返事がないというのは男の子も楽しみにしてくれていて、ある種のショックを受けている可能性もあり……もしもそうだとするなら、何だか申し訳ない気持ちになる。

もしも火曜日、以前から会おうと言っていた男の子ではなく、男性と会ったとしたら…。
そして、それが男の子に知れたとしたら……。
男の子との関係に、何も影響が出ないとは言い切れない。
今後男の子との関係を進展させていきたいのであれば、火曜日に男の子に会って久しぶりに顔を見るということは、とても重要なことにも思える。

まだ、火曜日は男性と会えるのかどうかは分からないけれど、もしも火曜日男性に誘われたとしたら……その日が、人生の岐路になるのだろうか…?
素直に家に帰るか、それとも宿泊覚悟で男性の家に遊びに行くのか。

そのどちらかを選択するにあたり、私の中で決め手となったのは、先日、ブログとしては残せなかったけれども男性から伝えられた衝撃の話だった。

その話というのは、「実は、諸事情から、近々引っ越さなくてはならない」というもの…。
行く先は日本国内ではあるけれども、今のように気軽にそして頻繁に会えるような距離の場所ではない。
知り合った当初は勿論そんな話はなく、男性も必要に迫られない限りは今住んでいる場所に住み続けるつもりであり、お互いにそのことを前提として、末永く関係が続けばいいと願い交流を持っていた。
そんな、男性と新たな縁が紡がれたことで趣味に関しての意欲と熱意も増し、そのような気持ちにさせてくれた男性との出会いに本当に感謝をし、新しい世界への期待が湧き上がりつつあった矢先に舞い込んだ突然の話に、私は酷く混乱した。
男性が意図的に引っ越しの期日を引き延ばしている為、いついつに引っ越すという明確な日にちは分からないのだけれども、それを聞かされた当時のニュアンスとしては「来週にでも今住んでいる場所を離れるかもしれない」という、性急さを思わせるものだった。
それゆえ、これが男性と会う最後になるかもしれない可能性を知った私は強い衝撃を受け、男性の話が信じられないような気持ちで、その事実を受け入れることを拒否しながらその日は帰宅の途についた。

「男性が、いなくなってしまう…」

帰宅すると同時に湧き上がった、今までに感じたことのないような喪失感に、知らぬ間に男性の存在が私の中で大きいものになっていたことを、その時に私は初めて自覚した。
私は男性のことを、単に『頼りになる年上のお兄ちゃん的存在』だと思っていて、機会があって会える時にだけ楽しい時間を過ごせる関係であればいいなという気持ちであったはずなのに、何度も男性と同じ時を過ごす中で、次第に「男性と楽しむ趣味」に魅力を見出すようになり、そして、男性自身にも異性としての魅力を感じるようになり、私が日々を幸福な気持ちで送る上での必要不可欠な存在になっていたことを、止めどなく溢れ出る涙が証明していた。

その日を境に男性へ対する気持ちも変化し、葛藤の末、男性がいついなくなってしまっても後悔しないように行動しよう、けれども男性に迷惑を掛けるのではなく、少しでも男性に私と一緒にいることが楽しいと思ってもらえるようないい思い出を作ろうという気持ちで、男性に会うようになった。

そして、昨晩も、どうすれば自分自身が後悔しないか、そして、男性にも楽しんでもらえるのか……そのことを踏まえて考えた結果、思い切って男性の部屋にお邪魔させてもらうことに決めた。
今後、男性の家に泊まれる機会は、もうないかもしれない。
例え一線を越えてしまったとしても、それでも構わない。
今後、男性と関係を持てなかったことを後悔する可能性はあっても、関係を持ってしまったことに後悔することは、きっとない。
男性とのことを少しでも進展させられるよう、潜在意識にあれこれインプットしてきた結果が、このチャンスなのだとその時直感した。

男性は私の決断に戸惑いつつも、私の熱意に圧されたのか「帰れ」とは言わず、私は男性の部屋へと向かうための切符を購入した。
男性の部屋までの道すがら、男性も、お互いの間に流れる普段とは違う何かを感じ取っていたのか、少し動揺しているような素振りをさり気なく隠すように戯け、そして私を部屋の中へと迎え入れてくれた。
何度か訪れたことのある、男性の部屋。
ある程度その空間にも慣れたつもりだったのだけれど、何かの予感を感じてかお互いに少し緊張気味に、けれども私はそれを悟られまいといつも以上にはしゃぐ素振りを見せながら、男性の隣、ソファへと腰を下ろした。
そして普段通り、他愛のない会話を交わしつつも、どちらかといえば男性の方がある種の独特の雰囲気に耐え切れなくなったのか、思い付いたような仕草で一枚のDVDを取り出し、会話は中断されDVD鑑賞に切り替わった。
DVDを見終わる頃には、もうすっかりといい頃合いの時間。
いい加減寝なくては、翌日に差し支えてしまう。
ベッドに向かう男性を眺めつつ、自分は当然のようにソファに横になろうとしたところへ、「そこでは風邪を引いてしまうよ。こっちへおいで」と誘う男性の声。
終始紳士的態度を崩さず、そして今にも眠り落ちてしまいそうな男性の様子に、男性に触れられるような展開になることは全く考えられなく、そうなったら困るだとか不安だとかは思わなかったのだけれども、自分の男性への気持ちを自覚していただけに、ただ一緒に眠るということだけでも妙に気恥ずかしくすぐにはその場を動けなかった。
けれども二度目、「君がこっちへ来てくれないと、僕が君のスペースを確保していることが無意味になってしまうよ」と、とても眠そうな、そして私を心配しているような男性の声での誘いに、私がベッドへ向かわない限り男性は安眠にはつけないのではないかと逆に男性に申し訳なくなり、気遣いをしてくれる男性へ感謝し、恥ずかしい気持ちを押し隠しつつ、そっとベッドに潜り込んだ。
最初は背中を向かい合わせるようにしてお互い遠慮がちに横になっていたのだけれど、男性はやはり私が気になるらしく、「君の足、冷えているね」「そうですね、手の平は温かいんですけどね」等と、ぽつりぽつり言葉を交わしながら少しずつ、冷えた私の身体を温めるようにお互いの肌が触れ合うようになり、そして……。
男性と手と手が触れ合っているだけで感じられる幸福感、ぴったりと密着した箇所から感じられる男性のぬくもり……男性の存在を間近で、そして全身で感じながら、広がる心地よい感覚に私は酔い痴れた。

男性に求められても、「それはまた今度」とやんわり躱して最終的に肌を重ねることはしなかったけれども、今までとは少し、お互いの見方が変わるような淫らな肌のふれあいを十分に楽しんでから、男性は眠りについた。

私は、その後もすんなり眠ることは出来ず、男性への自身の気持ち、そして男性の私への気持ち、最中の男性の「なんだか幸せ…」という何気ない一言……様々なことが浮かんでは消え、目の前にいるはずの男性の存在がひどく遠いものに感じられることになんとも言えない甘酸っぱい気持ちを抱き、明け方付近まで切ない時間を過ごした。

そして迎えた、今日の朝。
男性のプライヴェートな部分を垣間見れた至福の時間の余韻に浸る間もなく、男性は出勤し、そして私は帰宅した。
ふれあいを持ったからといって男性は急に態度が変わるということもなく、仕事合間の時間を使って、私に電話とメールとをしてくれた。
その内容は、以前から気に掛けてくれていた、趣味関連についてのこと。
仕事の最中であるのに、私のことを気にしてこうして連絡をくれている男性の気持ちにまた幸福を感じながら、男性とのやり取りを楽しんだ。
そして、あることに気が付いた。
今までは、顔を合わせている時には砕けた口調であってもメールでは丁寧語が抜けなかった男性の文面が、さり気なく気安いものに変化していた。
昨晩のふれあいが、男性に某かの心的変化をもたらしたのだろうか…。
だとすれば、男性への気持ちを自覚しつつある私には、これ程嬉しいことはない。

次にいつ男性と会うことになるかは、まだ分からない。
会う理由も、趣味に関連することかもしれないし、暗に昨晩の続きを求めてのものかもしれない。
けれども、これからは顔を合わせる際、以前とは違いお互い相手を異性として強く意識することは間違いなく、それぞれに思惑を持って相対することになるのだろう。
昨日夜、条件が整えば、男友達と久しぶりに遊ぶことになっていた。
……というより、男友達の様子がおかしいのが妙に気に掛かり、私自身が安心したいが為に会う約束を取り付けたのだけれど。
この男友達は以前潜在意識の話をした男友達であるのだけれども、結局本は読まず、破れた恋に関しては諦める方向で考えているらしいのを聞いて、しっかりと話を聞こうと思っていた。

けれども、様々な事情が絡み合い、昨夜顔を合わせたのは男友達ではなく、件の男性だった。

事のキッカケは、6日の夜。
精神的にも肉体的にも疲れていた私は、久方ぶりの安息を求めて早々にベッドに入ったのだけれど、突然の男友達からのメールの着信音が私を眠りの淵から掬い上げた。
眠い目を擦りながらメールを読むと文面から感じられる男友達の様子が余りにもおかしかったので、心配になった私は男友達を慰めるべく、あれこれメールを送っていると今度は男性から電話が入った。
最近、男の子も突然電話をして来るようになったけれど、男性も必要だと判断すれば何の前触れなく電話を掛けて来ることが度々ある。
男性が私に電話をしてくれたのは、私が男性に訊ねていた事柄について説明してくれる為だったのだけれども、男性との会話はとても楽しく心が弾むということもあり、目的を達した後も他愛ない雑談が続いた。
しばらく会話を楽しんだ後、男友達とのメールのやり取りを再開。
メールよりも男友達の顔を見て直に話をしたいと思った私は早速、会おうよと誘ってみると、余程寂しかったのか男友達は即OKし、翌日の7日の夜に会おうということになった。
次いで会う場所を決めたところで、外では雪が大分積もっていることに気が付き、「もし明日の夜も雪が残ってたら会うのは延期しようね」と、お互いのことを考慮してメールをしたつもりがそのメールを境に次第に男友達の様子が変化し始めた。
「雪で帰れなくなったら一緒に泊まればいいじゃん。そうだ、寂しいからみうい添い寝してよ」と、思わぬ我が侭を男友達から言われ、やんわりそれを断ろうとする私に対し、強引にそういう方向に持っていこうとする男友達。
男友達を純粋に心配していたはずが、妙な方向へと話が向き始めたことに困惑している中、ふと、男性に男友達のことを相談したいような気持ちになり、男友達とのメールの合間にそれとなく、男性に男友達の話を持ち出してみた。
普段の私であれば、相手にとって見知らぬ人物に関しての相談を持ち掛けることは滅多にないのだけれど、男友達を一人で制する自信のなさ故なのか、まるで男性に相談することが当たり前であるかのように、解決策を男性に求めていた。
男性曰く、「男が泊まろうって言うのは、イコールえっちしたいってことに決まってる」ということで、「そうなりたくなければ泊まりは予め断ってから会わないとだめだよ」と心配の言葉と、「まあ、君がその友達を他の意味でも慰めたいというなら、別だとは思うけどね」という、何とも複雑な一言を男性から受け取った。

その最後の一言を受け、「例え体の関係を持たなかったとしても、男友達と宿泊した時点で、男性にはそういう目で見られるのだ」と感じた私は、男性にそんな風に思われたくはないという強い思いから、その気持ちを素直に男友達に吐露した。
すると「俺はみういとえっちなことしたい訳じゃない。ただ、夜は淋しいからそばにいて欲しかっただけなんだ。でも、今みういと顔合わせると帰りたくなくなりそうだから、会うのも止めにしよう」という返事があり、会う約束自体がキャンセルとなった。
そして、心配してくれていた男性にも、一応そのことを報告したところ「7日夜、僕は暇なのでよかったら一緒にご飯食べませんか」と今度は男性に誘われる形になり、男性の仕事が終わる時間に待ち合わせとなった。
男友達と会えなくなったことは仕方ないとはいえ、まさか、男性から誘われるとは思わなかった私は突然のことに嬉しいやらどうしていいやら、期待と戸惑いとを胸に抱きながら、初めて愛車を使わずに待ち合わせ場所へと向かった。
公共機関を使って男性と会うことは初めてで、今までは愛車であったが故、男性の家にはお邪魔させてもらっても泊まるなどということは考えられなかったけれども、男友達のことを相談し、一時的にではあるものの『外泊』ということを強く意識していた私は、「会う場所は男性の家からも遠くはないし、今日、もしかしたら男性の家に誘われたりして…。でも、今日は公共機関しか使えないから、もしそうなったらお泊まりになっちゃうか…」等という妄想が、男性と落ち合うまでの時間、私の頭の中を巡ったりしていた。
男性に関しての問題を解決したいと思う気持ちから、男性とのあれこれを想像した時の映像を思い出したというのもあるかもしれない。

何かが起きそうな予感に胸を高鳴らせながら男性を待っていると、待ち合わせ時間を少し過ぎた頃合いに男性と合流出来た。
今まで顔を合わせた時の状況とは違い、仕事を上がって直ぐだという男性の装いは、とてもきまっていて素敵だった。
思わず見惚れてしまった位、その時の男性は魅力を増して私の目の前に現れた。
食事をした場所も、今までは条件的にファミレスばかりだったのが、今回は会った場所が場所だっただけにとてもおしゃれなお店で、そのせいか、お互いを包む雰囲気もまさに『恋人とデート』をしているかのような何処か甘さを含んだものになり、終電を気にしながらぎりぎりの時間まで笑いながら語らい、至福の時間を過ごした。
やがて、終電までにはまだ少し余裕がある時間にお店は閉店時間を迎え、中途半端に余った時間に、「この後どうしようか?」と男性から問いを投げられるも、もう帰宅の時間が近付きつつあることに一抹の寂しさと名残惜しさを感じ、何とも返事が出来ずにいると、「よかったらうちに来る?」と、冗談混じりの言葉が耳に響いた。
突然の思いも掛けない発言に、言葉を発せずにいると「なんて、それじゃ君に不埒なことをしようとした友達の彼と同じになってしまうか。僕も、君と一晩一緒にいて理性を保ち続ける自信はないからね」と言って男性は笑い、共に店を出て駅までの道を歩き始めた。

男性は、もし仮に実現したら困るようなことを発言するような人ではない。
私を男性の自宅に誘ったのは、全くの冗談という訳ではないと判断していい。
共に夜を明かせば一線を越えてしまう可能性があるというのも、恐らく本当なのだろう。
私と一緒に居続けることは吝かではないけれども、そうしたことにより男と女の関係になってしまう可能性があるのは好ましくない……そんな風に男性は言いた気だった。
徐々に駅が近付くにつれ、私の頭の中には様々な感情が交錯し、男性の「まあ…今夜については君次第だね」という一言が私に重くのしかかった。
男性の部屋へと向かうための最終列車は、帰宅する為の最終列車より、早く出てしまう。

私は決断を迫られていた。







とてつもなく長くなりそうなので、ここで一旦話を切ります。
昨夜も、諸事情によって男性と会って話をして来た。
私自身は何事もなかったかのように男性に接することが出来た。
そして、男性も今までと変わらぬ態度で接してくれた……ように思う。

その際気まずい雰囲気になったりはせず、楽しいひとときを過ごすことが出来たのは、3日夜~4日の夕方に掛けて自分自身としっかりと向き合い、前向きに気持ちを向けることが出来たからだと思うけれど、その間男の子から積極的にメールが届いたことも、大きかった。

3日の夜、寝る前の私の状態は今思い出しても決していいと思える状態ではなかった。
いざ眠ろうとすればする程にショックな出来事を思い出し、涙が溢れて心細くなって仕方がなかった。
何にでもいいから縋りたかった私は、携帯電話に男性関連の文字波動ファイルを作ってみたり、短時間ではあったけれどもイメージングしてみたり、自分の気持ちを立て直そうと必死になっていた。
結局いつ眠ったのかは覚えていない。
泣き疲れて眠った、あるいは翌日に支障を来さない為に無理矢理頭の中をからっぽにしようとすることに疲れて眠った、そんな感じだったように思う。
そんな状態だったから4日の朝の寝覚めもいいとは言えず、心ここにあらずの状態で忘れ物をしてしまったりと、気力で平静を装ってはいたものの、立ち直っていない状況なことは明白だった。

対人関係で落ち込んでいる時は、基本的に私は思いきり落ち込むようにしている。
涙も我慢せず、涙が出なくなるまで泣いて泣いて泣いて、湧き上がる感情は決して殺したりせず、自分自身の感情を常識という枠に当てはめて否定したりもせずに全てを感じ切る。
そうすると、少しずつ、焦点が落ち込む原因になった相手の方へズレていくようになる。
例えば、「今、落ち込んでる自分を見たら相手はどう思うだろうか?」という考えが浮かぶと、それを知った時の相手の反応を脳内でシミュレートしてみる。
そして、「自分が落ち込むことで相手に罪悪感を与えてしまうかも」という考えが新たに浮かべば、「相手が罪悪感を感じたとして、それで自分は満足するのだろうか?そんな相手の姿を見て、自分は嬉しいのだろうか?」等と自問自答を繰り返し、「いや、私は相手に心配させたりしたくない」という結論に達すれば、そうしない為にも落ち込んでいられない、いつまでも落ち込んでいる訳にはいかないという気持ちが少しずつ湧き上がって、自分を鼓舞出来る。
そうやってシミュレートを重ねていくと、「そういう状況で今、私は相手の為に何が出来るだろう?」「どうすれば相手に不快感を与えず、且つ喜んでもらえるだろう?」という方向に考えが向いていくようになるので、後は考えを煮詰めていけば「落ち込んでいるよりは前向きに状況を楽しんだ方が自分も楽しいし相手も楽しいし、結果的に幸せ」と思えるようになり、勝手に気持ちも浮上している。

勿論、そう思えるようになるまでは様々な葛藤がある。
落ち込んでいる自分に気付いて欲しい、そんな自分を気に掛けて欲しい……そういう欲求が湧くこともある。
けれども、落ち込んでいることが分かっている人間と一緒にいて、果たして楽しいだろうか?と、相手の立場に立って自分自身に改めて問うことで、それらの欲求は撥ね除けられたりする。

そんな訳で、4日の朝を迎えた時点で立ち直りきっていなかった私は、その日控えていた大事に関する心配はそっちのけで、ひたすらに自分自身との対話を続けていた。

そんな、理論的に考えれば前向きになる方が自分のためにもなるということを頭では理解しながら、感情の方がまだ納得し切れずに葛藤の渦の中にいた頃、男の子からメールが届いた。
内容は雑談……というよりは、ほとんどどうでもいいような内容に近く、ある程度の親密さがない相手には決して出せないようなメール。
男の子の気まぐれである可能性もあったけれど、メールの内容のくだらなさに、思わずふっと脱力する位に頬が緩んでしまった私は、男の子からの何気ないメールにも癒されていることを実感し、メールを確認するや否やすぐにありがとうとお礼の返事をした。
そのメールを受け取った時点で、「これだけ男の子が心配してくれているのに、いつまでもクヨクヨしていたら男性だけでなく男の子にも申し訳ない」と、前向きになれるキッカケをもらったのだけれど、その後も他愛のないメールは続き………私が喜ぶことを知っていてか、男の子の写真付きメールまでが届いた。
その写真は「俺の髪型今こんな感じ」というような、私に送らなかったとしても別段支障はない類いの写真。

男の子の写真については以前も少し書いたことがあるけれど、男の子は、私が男の子の写真を欲しがっても気軽に送ってくれるような子ではない。
というのは、基本的に男の子は自分を撮影することが嫌らしく、それを余り他人に見られたくないということを、まだ関係がよくなかった頃に何度も言われていた。
しかも私は過去にもらっていた男の子の写真を保存し、時には待ち受け画像として使用したりすることもあったので、それが余計に男の子にしてみれば嫌だったようで、「ふざけんな。保存したやつ削除しろ。保存するならもう写真送らないから」とまで言われ、男の子を怒らせてしまっていた時期がある。
送って欲しいと嘆願しようものなら即刻拒否のメールが届き、しばらくはメールで相手にしてもらえないという状態になった程だった。
それは照れ隠しではなく本心だというのは、第三者から「これ、あいつの画像」と、こっそり男の子の写真画像をプレゼントしてもらったことを後に男の子に告げた際、ある程度関係も緩和したかなと感じていたにも関わらず、やはり同じように男の子を怒らせてしまったことからも感じ取れ、つい最近までは冗談でも男の子の写真が欲しい等ということは言えなかった。
私に写真を送るということは保存される危険を孕んでいる訳であり、保存されたいと願わないものを送る道理がない。
先月、男の子の気まぐれで写真を送ってもらえたこともあったけれど、それも私の熱烈なおねだりがあってこそで、男の子の自発的行動……『男の子自身が自分を見せたくて送る』というのとは、ニュアンスが違う。
その時も、写真を保存したということは一応了承を得るためにもそれとなく男の子に伝えたけれども、どう感じたのか男の子は何も言わなかった。
今回も私に写真を送れば保存されるのは分かりきっていたはずで、それを承知で敢えて送ってくれたのは……。

私が男の子の写真を入手出来ることは非常に稀なことであるので、手に入れられるとそれはもう子供のようにはしゃいで喜ぶし、感謝感激雨霰状態で、お礼の言葉を書き連ねる。
そして、私の好きになった人は世界で一番素敵に見えるという性格上、お世辞とか持ち上げたいという気持ち抜きで、男の子を絶賛しまくってしまう。
もしかしたら、それを繰り返しているうちに男の子も私に見られることを少なくとも嫌とは思わなくなったのかもしれない。
何にせよ、『男の子の写真』というものは私にとっては一つのバロメーターであり、それを抵抗なく送ってくれるようになったことはとても喜ばしく、落ち込んでいた自分自身を浮上させる材料として一役も二役も買った。

因みに、今日も、男の子からメールは何通も届いた。
事務的であったり、用件を伝えるようなメールではなく、「俺今ここにいる」「俺今こんなことしてる」というような内容のもの。
以前読んだことのある、恋愛講座等の男性心理的に言えばこれらのメールはある程度相手に気を許しているか、親密になりたいという欲求がなければ送られて来ないということらしいけれど…。

男の子に気を許してもらえていることに関しては、素直に嬉しいと思える。
男の子がいてくれるからこそ、落ち込んでも大丈夫だと思えるし、男の子にはとても感謝している。
けれども、今日一日の自分の心の動きを正直に書き綴ると、頭に浮かぶのは男性のことばかり。
どうすれば男性に関しての問題を解決出来るのかということで頭がいっぱいになっているのと同時に、そうなるのは自分は男性にひどく惹かれているからではないかとも思ってしまう。
男の子と違い男性とは頻繁に顔を合わせているし、昨晩も会ったばかりだからそうなるのは仕方のないことだとは思うのだけれど、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ……一体、自分はどうしたいのだろうか…。
詳しくは書けないけれども………昨晩の誘いは確かに『男性からのメッセージ』だったのだと思うような、大切な話を件の男性から聞かされた。

男性の私への気持ちは分からないままだったけれども、男性に告げられたその言葉は、正直に言って、ショックだった。
私のこれからの人生が変わりそうな程の衝撃が走る内容だった。

今はまだ、ショックが大き過ぎて冷静にはなれていないので、昨晩何があったのかについて書き綴ることは出来ないけれども、男性とのことがはっきりと見えてきたら、「こういうこともあった」と、文章として記したいと思う。

今日一日はショックが抜け切らず、外界との接触を断っていると、その私の様子の変化を察したのか、男の子から電話があった。
男の子が私に電話してくれていた時間帯は私は眠っていたし、マナーモードにしてバイブ機能すらオフにしていたので、全く気が付かなかった。
後になって、何件も入っている着信履歴と、「なんで電話に出ないの?」というメール、そして、そんな私の気を引くためかと思われるような画像付きのメールが一通入っているのを見た時は、未だかつてない男の子の行動力を見て、驚きでいっぱいになった。
男の子の性格を考慮すれば、一度電話を掛けて出なければ、それで諦めているはず。
わざわざ時間を置いて様子見をしてまで、何回も電話を掛け続けてくれるなんてことは今までは考えられなかった。
男性についてのショックもあり、嬉しさよりも戸惑いが強かった私は、取り敢えず電話に出られなかった理由と、画像についてのコメントを添えて謝罪のメールを送った。
しばらくして、男の子の手の空くだろうと思われる時間帯に、私を心配しているような気遣うようなメールが届き、それは男の子の時間が許すまで続いたのだけれども、男の子が励ましてくれても私の沈んだ心は浮上せず、私も男の子の気遣いをありがたく感じながらもどうにもならない自分の気持ちに申し訳なさが募り、消化不良のままにメールは中断した。
今夜、男の子にメッセでも話しかけられ、さり気なく、私が落ち込んでいる理由について聞かれたのだけれど、さすがに男の子に男性の話をする訳にはいかず、曖昧に言葉を濁し、また、男の子の優しさに触れたことでショックな内容までもを思い出し、嬉しさと切なさとで涙が溢れて来た私はそのことを理由に逃げるようにメッセを落ち、お風呂場へと駆け込んだ。
ゆっくり自分の気持ちを落ち着けてから部屋に戻り、男の子にメッセでの失態のお詫びとお礼とをメールで告げ、ぼんやりとネットサーフィンを続けていると、またしても男の子から着信が。
今度は音が出る設定にしていた為、電話に出ることが出来たのだけれど、また男の子が電話をしてくれるなんて思っていなかった私はありがたさよりも戸惑う気持ちで、電話に応対した。
男の子曰く「さっき電話した時は何度電話しても出なかったし、今度も出ないかなと思って試しに掛けてみた」という理由で掛けてくれたらしいのだけれど、男の子は無意味にそんな行動をする子ではないことは十分承知しているし、「さっき電話した時」というのも、電話に出て欲しくて電話してきたのはその後のメールではっきりしている訳で、こういう時に素直に「心配だから」と言えない男の子の不器用な性格をかわいらしいと思いながら、他愛ない話を続けた。
メッセで私が理由を告げなかったせいか、男の子も無理に私から話を引き出そうとはしなかったけれど、それでも、男の子との会話の中で癒され落ち着きを取り戻していた私を感じたのか、20分程の会話の後、男の子は電話を切った。

普段、何気なく過ごしていると、「男の子にとっての私は何なのだろう?」とふと考えてしまうこともあるけれど、こういう時、優しい言葉だけでなく、私に対して気を遣ってくれる男の子の行動を見ると、「こんなに大切にしてもらっている私はなんて幸せなのだろう」と、本当に実感する。
少しずつではあるけれど、男の子にとって、以前とは違う意味で特別な存在になりつつあるのかな、ということも、感じられる。

それと同時に、少し恐いと思ってしまうのが、私が悲しいと思う出来事……それらは、もしかしたら男の子との絆を深める為に潜在意識が用意したものなのではないか?ということ…。
クリスマスにデートした彼のこと、そして今回の男性のこと……どちらの異性についても、私に心的変化をもたらし、そして、それに苦悩する私を感じているらしい男の子との距離は、着実に縮まっている。
以前思い描いていた幸せの図に、男の子以外の異性の姿はないから、他の異性が私と深い関係にはならない状況になるのは、理にかなっている。
男の子と親密になれるのは嬉しいし、確かに望んでいたことなのだけれども…。

何の迷いもなく、男の子のことだけを考えていた時の私とは、確実に違う私になってしまっているから、この事実をどう受け止めればいいのか…。
男性へと抱いている今の気持ちすら、自分で把握できずに持て余している私には、今しばらく時間が必要なのかもしれない。