「月では、兎が餅つきをしている」
そんな話を聞いて初めて覗いた天体望遠鏡から見た月には、兎なんていなかった。
もちろん、わかっていた。
でも、その兎がいない月に僕はただただ見とれていた。
仕事が午後からだったので、午前中物置の掃除をしていたら、小学生の頃に使っていた天体望遠鏡がでてきた。
不思議なもので、今まで忘れていた当時の記憶もそれを見た瞬間に鮮明によみがえってきた。
そうなると、もう、やらずにはいられない。
その日の夜、僕は仕事が終わると足早に帰り、家に着いてすぐ天体望遠鏡を担いであの場所に向かう。
そこは、初めて天体望遠鏡を覗いた観測場所で、今も変わらない風景がそこにあった。
初めて天体望遠鏡を覗いたあの時間が今の僕にリンクする。
大人になって、こんなに月をゆっくりじっくり眺めたことはない。
久しぶりの感覚に心が童心にかえっていく。
僕は、あの頃と同じように、ただただ見とれていた。
天体望遠鏡を覗いた先に見える月は、あの頃と変わらず僕を迎えてくれた。
おかえり
そう言われた気がした。
今宵は月が綺麗に見えたので、写真撮りましたよ〜☆〜(ゝ。∂)写真に物語を添えて。