【第1回】“海の空母”誕生前夜――伊400型潜水艦という異端の構想

空母の時代が終わりを迎えようとしていた1943年。
日本海軍は、ある常識外れの兵器を極秘に開発していました。

それは、なんと――
「戦闘機を搭載し、発進させられる潜水艦」

この計画は、のちに“世界最大の潜水艦”として知られることになる、伊400型潜水艦の誕生へとつながっていきます。


◆ 潜水艦に航空機を積むという発想

航空母艦が次々と沈み、日本の制空権が失われていく中、海軍は思いました。

「いっそ、敵に見つからず近づき、航空機で不意打ちできないか?」
「潜水艦のように隠れて、空母のように飛ばせれば最強では?」

この“空母と潜水艦の融合”という突飛な発想が、伊400型の出発点でした。


◆ 計画名「晴嵐作戦」

この潜水空母に搭載される航空機は、専用設計の特殊攻撃機「晴嵐(せいらん)」。
翼を折りたたんで格納し、潜水艦の前部に設けられた円筒形の格納庫に収納される仕組みです。

格納された晴嵐は、艦上でカタパルトにより発進。
敵本土を奇襲した後、帰還せず海上で自爆する任務を想定されていました。

その作戦名は――「晴嵐作戦」
その標的は、アメリカ本土でした。


次回【第2回】では、伊400型潜水艦の驚異的なスペックと、その実際の運用計画について詳しく掘り下げます。

どうぞお楽しみに。