【第1回】烈風 ― 零戦を超えるはずだった“幻の艦上戦闘機”

第二次世界大戦末期。
世界最強とまで言われた零戦にも陰りが見えはじめたその頃――
海軍は次なる主力戦闘機の開発に着手していた。

その名は、烈風(れっぷう)
もしこの機体が間に合っていたなら、日本の制空権争いは変わっていたかもしれない。


◆ 零戦の後継機として設計

1942年、海軍は三菱に「零戦を超える艦上戦闘機」を要求。
その条件は、非常に厳しいものだった。

  • 高速(最大速度:640km/h以上)

  • 高高度性能

  • 強力な武装(20mm機関砲×4)

  • 頑丈な構造

  • しかも空母で運用可能

こうして三菱技術陣が取り組んだのが、**艦上戦闘機「烈風」**である。


◆ スペックと性能(計画値)

項目 内容
全長 約10.8m
全幅 約12m
エンジン 中島「誉」二一型(2000馬力級)
最大速度 約630km/h
武装 20mm機関砲×4
航続距離 約2,000km(増槽あり)

烈風は零戦の「軽さと旋回性」から一転、速度・防御力・火力を重視した近代型戦闘機だった。
特に「誉」エンジンの搭載により、対B-29迎撃や高高度戦闘も想定されていた。


◆ 幻に終わった理由

開発はたびたびエンジン供給や技術的困難に直面。
試作1号機が初飛行したのは1944年7月。すでに戦局は悪化しており、空母も次々と失われていた。

実戦配備される前に終戦を迎え、烈風は量産・配備されることなく**“幻の艦上戦闘機”**となった。


◆ 【if妄想】もし烈風が量産されていたら…

仮に烈風が1944年中に量産されていたとしたら?

  • マリアナ沖海戦でF6Fヘルキャットに対抗できたかもしれない

  • 陸上基地型「烈風改」として本土防空戦に投入され、B-29迎撃の主力となった可能性もある

  • 零戦のように**アジア諸国でも運用される“戦後ベストセラー戦闘機”**になっていた…?

そんな“もう一つの空”を想像せずにはいられない。


次回は、ロケットで空を突き抜ける――
【第2回】秋水 ― 超音速に最も近づいた日本戦闘機
をお届けします!

どうぞお楽しみに。