【第2回】世界最大の潜水艦・伊400型――そのスペックと幻の攻撃計画

「潜水艦に飛行機を積む」という前代未聞の発想から誕生した伊400型。
だがこの潜水艦、単なる実験艦ではありません。
当時の日本の技術と資源を注ぎ込んだ、“実戦仕様”の超巨大潜水艦だったのです。


◆ 驚異のスペック

伊400型潜水艦は、全長122メートル。これは、当時のアメリカの大型潜水艦よりも20メートル以上長く、戦後20年が経つまで世界最大の潜水艦でした。

項目 内容
全長 約122m
排水量 約6,500トン(潜航時)
搭載機 晴嵐3機
航続距離 約37,500km(地球一周が可能)
武装 艦首魚雷、機銃、格納式航空機発射装置

3機の「晴嵐」は前部に並列収納され、出撃時は艦上で素早く組み立て、15分ほどでカタパルト発進が可能。
まさに“海のステルス空母”でした。


◆ 狙うはパナマ運河

伊400型潜水艦が計画していた作戦のひとつが、アメリカ・パナマ運河への奇襲攻撃
運河の閘門(こうもん)を爆破し、大西洋と太平洋を遮断しようというものでした。

この作戦が成功すれば、アメリカ艦隊の移動に大きな遅れを生じさせるはずでした。
しかし――


◆ 作戦変更、そして中止へ

戦局の悪化とともに、パナマ作戦は中止。代わってウルシー環礁(米軍の拠点)への夜間奇襲に計画が変更されます。
が、それも実行目前で日本は終戦を迎え、伊400型は実戦に出ることなく、自沈命令を受けました。


◆ アメリカが震えた“もしもの兵器”

アメリカ海軍は戦後、伊400型の存在に衝撃を受け、あわてて情報収集し沈没させたとも言われています。
それほどまでに、この潜水艦は“現実的な脅威”だったのです。


次回【第3回】では、伊400型に搭載された航空機「晴嵐」の秘密と、
日本がこの兵器に込めた“最後の希望”について掘り下げます。

どうぞお楽しみに。