日本が世界へ挑んだ“平成の国産機”「F-2」—その真価に迫る
1990年代、日本の防空体制を次世代へ引き上げるべく誕生したのが、F-2戦闘機。
その開発にはアメリカの名機F-16がベースとして採用されましたが、単なるライセンス生産ではありません。
「和製F-16」とも称されるこの機体は、日米共同開発という形をとりつつも、日本独自の要求や技術が随所に盛り込まれ、結果的にはF-16とは別物ともいえる機体へと進化を遂げました。
F-2の特長はここがすごい!
■ 大型主翼がもたらす圧倒的な安定性と航続距離
F-2はF-16と比べて主翼面積が約25%増加。
これにより、より多くの燃料を搭載でき、長距離の作戦行動が可能となりました。
また、空対艦ミサイルなどの重装備を搭載しても高い安定性を確保できる点は、日本の海洋防衛において非常に重要です。
■ 最先端の複合材を使用した軽量構造
世界でも先進的な**炭素繊維複合材(CFRP)**を大規模に採用。
この技術により、重量を抑えながらも高い強度を実現し、F-2の機動性とステルス性に貢献しています。
■ 日本独自の電子装備
レーダーには**AESA(アクティブ電子走査アレイ)**レーダーを世界で初めて搭載。
これにより、複数の目標を同時追尾し、精度の高い誘導が可能となっています。
加えて、J/APG-1レーダーや国産の電子戦装備など、日本独自の電子技術も大きな強みです。
F-2はなぜ“F-16以上”と呼ばれるのか?
F-16を原型にしながらも、F-2は**「海洋国家・日本」ならではのニーズ**に応えるべく設計されています。
特に、島嶼防衛や対艦攻撃に特化した性能は、F-16とは性格を大きく異にします。
また、独自に育てられた国産のアビオニクス技術や、複雑な共同開発の中で得られた経験値は、
後の**次期戦闘機「F-X」**構想にも活かされる財産となっています。
次回は、そんなF-2がどう生まれ、どのような苦難を経て完成されたのか。
開発にまつわる政治的背景や、F-2が果たした戦略的役割についてさらに掘り下げていきます。
お楽しみに!