【第18回】グリペン ― 北欧スウェーデンが生んだ“スマート戦闘機”の真価
世界の戦闘機開発は「強さ」と「ステルス」に目が行きがち。
でも、実戦・コスト・整備性・政治のバランスを考え抜いた戦闘機も存在します。
それが、スウェーデンの「グリペン(JAS 39 Gripen)」。
見た目はコンパクト。でも中身はかなりのハイスペック。
「小さな巨人」とも呼べるこの戦闘機の魅力を見ていきましょう。
グリペンってどんな戦闘機?
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開発国: スウェーデン(SAAB社)
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初飛行: 1988年
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実戦配備: 1997年〜
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特徴:
・空対空、空対地、偵察まで1機でこなす「マルチロール」
・メンテナンス性抜群、少人数で整備可能
・道路や雪の上でも運用できる設計
・小型でも高い機動性と電子戦能力
実はかなり「省エネ」
グリペン最大の特徴は、維持コストが非常に安いこと。
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発進に大規模な滑走路がいらない
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整備は数人でOK(野戦整備も想定)
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軽量かつ単発エンジンで燃費も優秀
まさに、「中小国でも運用できる戦闘機」として開発された一機です。
電子戦能力にも優れる
最新型の「グリペンE」では、F-35にも匹敵するほどの電子戦・レーダー妨害機能が搭載され、
情報共有、ジャミング、複数目標への対応など、現代戦で重要な能力がしっかりカバーされています。
小さいけど輸出国多数!
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チェコ
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ハンガリー
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ブラジル(独自仕様)
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南アフリカ
中立国であるスウェーデンが開発したこともあり、
「政治的に中立な戦闘機」としてのイメージもあり、輸出実績も豊富です。
今後も生き残る存在?
第5世代以降の高コスト化が進む中で、
グリペンのような「ちょうどいい戦闘機」への需要は根強く、
将来的にも改良型や無人機連携型などへの進化が期待されています。
次回予告:日本にも存在した…幻の国産戦闘機とは?
第19回は、少し視点を日本に戻して──
**自衛隊がかつて開発しながらも「実戦配備されなかった幻の戦闘機」**に迫ります。
F-2でもF-15でもない、もうひとつの「国産の夢」──
どうして実現しなかったのか?何を目指していたのか?
国産戦闘機の歴史と想いを掘り下げます。どうぞお楽しみに!