【第14回】テンペスト ― イギリスが描く“第6世代”の空の支配者
アメリカのNGADに続き、ヨーロッパでも次世代戦闘機の開発が進んでいます。
その代表格がテンペスト(Tempest)。
イギリスを中心に、イタリア・日本(共同開発に合流)との国際共同プロジェクトとして注目されています。
テンペストってどんな機体?
テンペストは、現在のユーロファイター・タイフーンの後継として開発される第6世代戦闘機。
ステルス性、AI搭載、無人機運用、極超音速兵器への対応など、次世代機の要素がすべて盛り込まれています。
🛩️ 設計のポイント:
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ステルス形状(角のない滑らかなデザイン)
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デジタルコックピット(タッチ操作+AR表示)
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“仮想コックピット”で操縦支援
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AIがミッションの大部分をサポート
最大の特徴:AI × パイロットの融合
テンペストはAIが“副操縦士”のように動く設計。
パイロットの表情や声、脳波などを読み取り、ストレスや判断能力の低下を自動で検知。
そのうえで:
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情報を絞って表示
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操作の一部を自動化
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緊急時には完全自動で離脱行動
これにより、パイロットの負担を軽減しつつ、常に最適な行動をとるようサポートします。
無人機との“群れ”戦術
テンペストもNGADと同様に、“無人僚機”との連携を前提に開発されています。
無人機は以下のような役割を担います:
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偵察/電子戦(ジャミング)
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誘導弾の運搬
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おとり・盾としての運用
🎮 つまりテンペストは「戦闘機」というより「指揮官」に近い存在になります。
日本の参画:GCAPへと発展
もともとイギリス・イタリア・スウェーデンが中心だったこの計画に、
日本がF-X計画の一環として参画し、現在は**GCAP(Global Combat Air Programme)**として再編されています。
この参加により:
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日本のセンサー・レーダー技術
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三菱重工やIHIの開発力
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欧州のステルス・電子戦技術
これらが結集し、**「日英伊連合の戦闘機開発」**という前代未聞の試みに発展しました。
いつ飛ぶのか?
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初飛行予定:2030年頃
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実戦配備:2035年以降を想定
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試作機はすでに開発段階に入っており、デジタルツインによる仮想空間上のテストも進行中です。
🌍 このテンペストは、NATOの空を守る柱の1つになるとも期待されています。
次回は、日仏独が共同開発を進めているもう一つの第6世代戦闘機構想、
**FCAS(Future Combat Air System)**についてご紹介します。
ヨーロッパのもう一つの空の未来、ぜひご注目ください!