【第9回】MiG-29 フルクラム ― 小さな巨人、空中戦の職人機
前回ご紹介したMiG-25が「超高速直線番長」なら、
今回のMiG-29は、まさに**「格闘戦の達人」**。
ソ連が1980年代に開発したMiG-29 フルクラムは、
高い機動性と扱いやすさで、**“空中の柔道家”**のような存在でした。
コンパクトなのにパワフル
MiG-29は全長17.3m。F-15(19.4m)よりもコンパクトですが、
2基のエンジンと優れた空力設計により、抜群の旋回性能を持っています。
空中戦(ドッグファイト)では、
「パイロットの腕さえあればF-15にも勝てる」とまで言われました。
🐆 まさに“機敏なハンター”といった動き。
西側との初遭遇で話題に
1980年代後半、MiG-29は東西冷戦の終盤に突如現れ、
西側諸国のパイロットにとってはまさに“未知との遭遇”。
当時のF-16やF/A-18と空中模擬戦をしたところ、
「MiG-29の旋回力は侮れない」と実感したパイロットも多かったとか。
👀**「小さくても油断できない」――敵にすると一番厄介なタイプです。**
赤外線誘導のヘルメット照準
MiG-29のもう一つの注目点は、
ヘルメットと連動する照準システムを当時すでに搭載していたこと。
パイロットが頭を向けた方向にロックオン可能という、
現代の「HMD(ヘルメット・マウント・ディスプレイ)」の原型のような技術です。
🎯**「目で見た敵を即撃てる」感覚は、当時の西側機よりも先行していた部分。**
今も現役、そして進化
ソ連崩壊後もMiG-29は多数の国で運用され、
一部では近代改修型「MiG-29SMT」「MiG-35」として今も現役です。
ウクライナ、ポーランド、インドなどでも長らく主力戦闘機として活躍しており、
「安定して強い、手堅い一機」として信頼されています。
「見た目が似てるSu-27とは何が違うの?」
よく比較されるのが、同じくソ連のSu-27。
MiG-29とSu-27は確かに見た目が似ていますが、役割が異なります。
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MiG-29:前線で近距離戦を担う軽戦闘機
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Su-27:広範囲をカバーする長距離・重戦闘機
いわば「剣道の達人(MiG-29)」と「弓の名手(Su-27)」みたいな違いです。
次回は、空中戦も爆撃も全部こなす多目的戦闘機「Su-30」をご紹介予定です。
ロシア版「全部入り」、お楽しみに!