人々が帰った深夜の社内はひっそりとしていました。
田中の机におかれた雪兎だけがその体毛を白く輝かせています。
雪兎は窓に向かい月に問いかけました。
「私は永遠に生き続けなければならないのでしょうか」
エアコンのダクトから温かい水がひとしずく
雪兎の頭に落ちました。
それは耳をつたい、ハードディスクの心臓部に沁み込みました。
すると、雪兎は雪が融けるように消えました。
翌朝、機械を調べている田中に主任が言います。
「結局、それは私たちの仕事ではなかった、ということだろう」
(このイラストは 「 四季の素材 十五夜 」 様からお借りしました)


