記憶




Anthony J. Brown, MD ニューヨーク(ロイター・ヘルス)-短時間の集中的な暗記学習によって高齢者の言葉やエピソードを記憶する能力を改善させることができると、新たな研究は 指摘している。興味深いことに、これらの効果は、磁気共鳴スペクトル法(MRS)で確認した付随した脳の変化と同様に、学習が完了してから数週間経過しな いと現れない。
この結果は「脳は筋肉と同じようなものであり、認知機能を維持または改善するためには、定期的に脳の運動をする必要がある」という概念を裏付けるものであ る、と研究共同著者であるアイルランド国立大学メイノース校のDr. Richard Rocheはロイター・ヘルスの取材に対して述べた。
彼はさらに、「今回の研究は、記憶方法を改善するのではなく、一般に記憶に必要とされる脳の部分を活性化することによって記憶力の改善を試みたという点で他とは異なるものである」と述べた。
今回の結果は、月曜日にシカゴで開催された北米放射線医学学会で発表されたが、年齢55歳から70歳の健康な成人24人を対象に、500ワードの新聞記事 や詩の暗記を6週間実施し、その後、暗記学習をしない休息期間を6週間設けて実施された試験から得られたものである。暗記学習期の前後と休息期の後に、標準的な認知機能検査とMRSを実施した。
研究者が驚いたことには、暗記学習期の後の時点では記憶力の改善や脳代謝の変化がみられなかった。これに対して、休息期の後では、言葉とエピソード双方の記憶に改善が認められ、同時に、脳の主に記憶を司る構造である左後方海馬内に代謝の変化が認められた。
「このように記憶力の改善が6週間遅れるとは全く予期していなかった」研究共同著者のアイルランド・ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンの Dr.Jonathan McNultyはロイター・ヘルスに対して述べている。「理想としては、(介入後)他の時点でも確認したかった。なぜならば、記憶力の向上が最も顕著とな る時期が、6週間後であるのか、それとも他の時点であるのかどうかが分かっていないからである」
記憶力の改善が一時的な性質を持つものであるのかを解明することに加えて、アルツハイマー病患者のような認知障害のある患者はもとより、若年層において も、暗記学習によって記憶力の改善効果が得られるのかどうかを検討するためにはさらなる研究が望まれる、とDr.McNultyは指摘している。

ロイター中枢神経系ニュースより引用、

現在、脳を活性化させると言われている。ゲーム機など販売されているが記憶力の向上や活性化には具体的な繋がっていないようである。

計算能力は前頭葉など活発に働くが、ゲーム感覚で行うと、その効力は低下するようである。つまり、脳の慣れが起こすものである。

だから、ゲーム機で脳の測定を行うと最初には実年齢より高いが、そのうち慣れてくると脳が若返ったように勘違いする。決して脳が活性化したと思われないのである。

人の脳の特徴に20歳を過ぎた頃から毎日10万以上の脳細胞(ニューロンネットワーク)が死滅するが、人の脳細胞は140億以上あるので一生の間では数%の減少である。この減少が人の名前が思い出せない、記憶できないと自覚するのである。記憶力は決して加齢とはあまり関係ない。現に、円周率の計算の暗記記憶の世界記録を持っている人は日本人で60歳近い男性である。その暗記した桁数は6万桁を超えている。

では、高齢者に成って脳が低下したと自覚するのは「記憶の引き出し能力」である。若い頃には、すぐに思い出せても、加齢と共に記憶の引き出しに苦労するのである。

この記憶の引き出しのスピードが遅いのは、脳細胞(ニューロンネットワーク)が痩せて軸鞘が剥がれ落ちることで、情報の伝達が出来なくなることから記憶(大脳皮質)からの記憶情報を引き出すことが出来ないことで「思い出せない」と自覚するのです。

また、記憶力の低下も引き出し能力の低下と連携して低下するのである。

私達が普通に記憶することが出来るのは7桁と言われている。だから、一週間は7日間、電話番号も局番を除けば7桁である。

また、ラッキー7と縁起が良いとされるのも7という数字から来るものです。

人の記憶には「短期記憶」という電話番号を暗記したり、記号を記憶するようなときに活用される。もう一つは「長期記憶」手続き記憶と言われる記憶で、人の名前と顔をなど記憶するのに関わっている記憶である。

これら以外にも「体験型記憶」がある。自転車に乗る。スポーツをするなどの身体的な運動性記憶がこれに当たる。この運動性記憶は「小脳」に記憶されている。スポーツをするときに身体で覚えるというのはこの記憶である。

短期記憶は「海馬」という脳部が関係している。海馬は「タツノオトシゴ」に似ているのでこの名前が付いたものである。五感からインプットされた記憶情報は一週から10日ほど海馬に止まり、その後に必要なものが「大脳新皮質」のコラムという円錐形の細胞に記憶として止まる「これが長期記憶となるのです」。

ここで人の記憶システムを説明致します。

五感からインプット情報は→視床→脳の中枢部→大脳新皮質→海馬→海馬台→大脳新皮質に戻って長期記憶になるのです。上記の写真参照して下さい。

これらの長期記憶を思い出すときには「大脳新皮質に蓄積された情報が繋がり合い再現される」。

これらの一連の記憶システムに脳の一部でも損傷や異常が認められると「記憶障害」に疾患することになるのです。

また、これらを連結している脳細胞の伝達が悪くなることでも記憶力の低下、思い出し能力も低下するのです。

これらの脳力をアップさせるのが、記憶学習である。数字を暗記したりするのも良いが、出来れば、人の名前と顔を一緒に記憶(覚える)など複雑な記憶ほど効果は高いモノである。

ゲーム機を活用した脳の活性化は「視覚的記憶」一片的な方法なので私は推薦致しません。逆に五感をフルに活用する記憶方法は、脳細胞、脳の全体を活用し、活性化させるこれらは科学的根拠もあり、実験結果でもハッキリと示されている。まず、自己の五感をフル活用して記憶学習してみることである。

それから思いだし能力を高めることで脳は活性化し、若返る働きをするのです。

自分には無理だと否定的にならず、まず「好奇心を持って」取り組むことである。脳の活性化の第一歩は「好奇心である」と私は提言している。

団塊の世代の方々が今年から定年退職を迎えます。脳の為にも「脳トレーニング」のつもりで記憶学習に取り組んで頂ければ、「健康脳、脳の活性化」に繋がり、よって健康体の維持、自律神経に働きかけ「免疫力の向上など」一石二鳥の効果が期待できるモノです。最初から諦めず、前向きに取り組んで頂き「快感」を感じることこそ脳の最高のご褒美なのである。

五感教育研究所、