社員になって6年目。

もはや中堅と呼ばれるタームに入ってしまった。

後輩となる新入社員も毎年入って来ている。


さて、我が部門の新入社員は、ほとんどがリクルーターのツテによる中途入社だ。


昨年うちの職場に新入社員がやってきた。

もう50歳くらいだろうか。

上長と折り合いが悪く、別のエリアに飛ばされた。

彼は経験というものをかざしていたが、実際には上長や職場のフローにダメ出しをするばかり。

ベテランといえどこの会社では新入社員の立場。それにもかかわらず独善的に振る舞い、職場から学ぼうという姿勢もなければ歩み寄ろうという姿勢もない。注意されても、ハナから聞かない上に論点をすり替える。社会人としていかに未熟かと疑われた挙句、リクルーターからはかつての会社も同様にトラブルを起こして退職に追い込まれたとの情報が舞い込み、ベテランとして求められる力量がないと判断されていた。

「別のエリアに行っても、いまだに同様のトラブルを起こしている」と、そのエリアの長から聞いている。しまいには「いつでも、お戻ししますよ」と言われる始末である。丁重に断ったが。


そうした経緯もあり、今年またベテラン社員がうちの職場に来るという話になった際には、皆が震え上がった。

なにしろ、相手が自分より年長である以上言い出しにくいこともある。上長は何度も上に交渉していたがついに折れ、5月に新しい社員がやってきた。


その人もおそらく50代前後なのだが、最初からとても謙虚に挨拶してくださり、どんなに小さなことでも引き受けてくださる。

一緒に働いていて、とても気持ちが良い。

もちろん彼にも経験があるが、それよりもこちらを尊重してくださっているのがわかる。本当にありがたい。その姿に、むしろ体系化されていない仕事ばかり振って大変申し訳ないと思い、自らを振り返るきっかけとなっている。


能力や技術も求められるベテランの転職。

しかし一番は、マネジメント経験も含む人との関わり方や交渉力、そして何より、相手への思いやり。結局ベテランであっても、必要なのは、職場の状況に合わせて最適化できる人材なのだ。


私はというと、いかんせんへっぽこ平社員なので、うだつは上がらないし相変わらずミスは多いしすぐ疲れるが、この会社で働く大義を失っていないことに安心もする。

そうあれるのは、職場のみんなが全力で支えてくれているからである。

忘れてはなるまい。