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蒼平ブログ - 蛙の会 -

昨年より東京・神奈川の現代川柳「隗」の旧同人5名が集まって、自由連句百韻を結んだので此処に発表していきたいと思います。

平成23年12月23日(金)

連衆 山崎蒼平・藤原和美・松井文子・古俣麻子・瀧 正治

初折表

発句 冬   寒雲やわれ眠る間もギリシャより     蒼平
  二 冬       ユーロの庭に雪ふりつもる     和美
  三 雑   観覧車ゆらり父子の空ならん       文子
  四 雑       目と目を合わす言葉いらずに    麻子
  五 月   生きものの住める地ありや月の先     正治
折端 秋       突然に来る茸お前は         蒼平

初折裏

折立 秋   頬かむりほどいて案山子役を下り    和美
  二 雑恋      熱き想いの素顔うつむく      文子
  三 雑恋  視線より恋の予感を釣り上げる     麻子
  四 雑       俺の魚は水槽に飼う        正治
  五 雑   ハマ風に押され船旅する傘寿       蒼平
  六 雑       ふる里人の声の青さよ        和美
  七 夏月  山の端に月涼しげに昇りけり       文子
  八 夏       光集めて蛙合唱           麻子
  九 雑   信念が蛇に呑まれたように消え     正治
  十 雑       吾前期こそ空の鉄鉢        蒼平
十一 花   八重桜千の眼をもち噂好き        和美
折端 春       雨やわらかに挿し木伸びゆく   文子


平成24年3月23日(金)

名残表
 
折立 春   水温む心身共の若作り           麻子
  二 雑       不景気突いて流行るユニクロ    正治
  三 雑   風来の友寄り留まる吾がほこら      蒼平
  四 雑       右岸左岸をのぞき消え行く     和美
  五 冬   流氷にしばしゆだねてみる運命      文子
  六 冬       つららを剣に立ち向かう明日    麻子
  七 雑   一太刀で敗れて里に隠れ住む       正治
  八 恋       失恋の頬白く透けてる        蒼平
  九 恋   茜雲人魚の恋と染めあがる         和美
  十 雑       空路はるばる夢に近づく       文子
十一 月   新しき家族加えて月の宴          麻子
折端 秋       赤子を膝に松茸を食う         正治

名残裏

折立 秋   爽やかな死の道ありや母の道       蒼平
  二 雑       風に誘われ星に誘われ        和美
  三 雑   ポケットに一枚旅の自由席          文子
  四 雑       隣り合わせて笑い絶やさず     麻子
  五 花   車座の頭上に靡く糸桜             正治
挙句 春       若草の子が小石押し上げ      蒼平



 連句三十六歌仙
  平成23年9月22日(木)

連衆 山崎蒼平・松井文子・瀧 正治・藤原和美・古俣麻子


初折表
 
発句秋   楽しゅうて病んじゃおられぬ菊の宴     蒼平
   月       水面の月もすすきあしらう       文子
   秋   朝寒をついて散策つつがなし         正治
   雑       道くさの鳥夢をついばむ        和美
   夏   はつ夏の少女の白き翼かな         麻子
折端夏       麦のつんつん子の子伸びゆく    蒼平

初折裏

折立雑   放課後の歓声教師らも混じり         文子
   雑恋       握手の後を包帯で巻く        正治
   雑恋  追いかけるうしろ姿に火の匂い        和美
   雑       影を踏みつつめざす頂上        麻子
   雑   これからは子等の傘さし濡れずゆく     蒼平
   雑       机上に漫画あるもうれしき       文子
   冬月  浮世絵の心見透かす冬の月         正治
   冬       敵陣めがけ走る雪玉          和美
   雑   地球儀を回し閻魔が嘲笑う           麻子
   雑       掌の中の独楽お前こそ好き      蒼平
   花   ねだられて枝垂れ桜の訪問着        文子
折端春       雪を割っても母を訪ねる        正治


平成23年10月28日(金)

名残表 

折立春    白魚の泳ぐにまかす喉仏          和美
   雑       落とすうろこを紅に染め         麻子
   雑   捕まえて下さい街の兎耳            蒼平
   雑       軽きスキップまとう着ぐるみ      文子
   夏   憧れの武者人形を抱く思い          正治
   夏       ガラスケースに夏ふりそそぐ     和美
   雑   ジャンケンもあみだも知らぬひとりっ子   麻子
   雑恋      セロファンの中恋す少年       蒼平
   雑恋  火柱の人恋う疼きまだ癒えず        文子
   雑       やっと青空 フクシマの食       正治
   月   三日月のゆらりと吊るす仮の宿       和美
折端秋       菊人形に映す儚さ            麻子

名残裏

折立秋   流星や誰か残ってくれないか         蒼平
   雑       露地の奥からもれる浄瑠璃      文子
   雑   合格を決めてギターを習い出す       正治
   雑       悪魔祓いに足ふみ鳴らす       和美
   花   花吹雪肩にこうべにけんけんぱ       麻子
挙句春       近く嫁げる春は眠たし         蒼平



 
平成23年6月24日(金)

連衆 山崎蒼平・瀧 正治・古俣麻子・松井文子・藤原和美


初折表

発句 夏   香水のそこはかとなく連句会        蒼平
  脇 夏       暑さに負けず集う楽しさ       正治
  三 雑   想い出を画帳に残すすべもなし      麻子
  四 雑       新たにつヾる筆も久しき       文子
  五 秋月  語り部の背に忍びよる月明り       和美
折端 秋       秋蝉の啼く亡母の衣よ       蒼平

初折裏

折立 秋   酒匂う父の手を引く秋祭り          正治
  二 恋       胸の厚さを頬に感じて        麻子
  三 恋   告白のはげしき鼓動受け止めよ      文子
  四 雑       振り子カタリと聞かぬふりする   和美
  五 雑   嫁になどいかぬシャボテン肥ってる    蒼平
  六 雑       目出度く入社トゲを抜かれる    正治
  七 冬月  寒月を相棒にして屋台酒          麻子
  八 冬       上司をツマに嘆く木枯し       文子
  九 雑   唇をかんだ日に向く指鉄砲         和美
  十 雑       骨になっても解けぬ心中      蒼平
十一 花   執念がどっと出てくる初桜         正治
折端 春       彼岸明けても香を絶やさず     麻子


平成23年7月22日(金)

名残表

折立 春   漂うはヘリオトロープ一鉢ぞ         文子
  二 雑       夢がさからう風はむらさき      和美
  三 雑   ふっくらとみんなふくらむ部屋つくる    蒼平
  四 雑       空飛ぶバルーン富士山を越す   正治
  五 夏   川遊び少しためらう変声期          麻子
  六 夏       うたた寝のあと飴湯すすめる     文子
  七 雑   らくがんの鯛がピンクの手にあまり     和美
  八 恋       来世を誓い許し許され         蒼平
  九 恋   金婚へ傷を舐め合う上り坂          正治
  十 雑       果実凍らせ甘さほどよし        麻子
  月    ともに灯を消し月影の刻も佳し         文子
折端 秋       えんまこおろぎ 寄りそって泣く   和美

名残裏

折立 秋   烏さえ来ない私は木守柿          蒼平
  二 雑       息子が寄越す偶のケータイ     正治
  三 雑   メロディーに乗り自転車の小さき旅    麻子
  四 雑       見知らぬ人と交わすウインク    文子
  五 花   夜さくらに手招きされる迷い道       和美
挙句 春       和尚の徳をどこへ風船       蒼平