41.恋と未練 | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

41.恋と未練

これはまだ恋しているのか、ただの未練なのか、人はどうやって判断するのだろう。

私は友達が未練がましく別れた男に執着するのを見て、いつも「まだ好きなら好きでいいじゃない」と言ってきた。

人を好きだという想いが、いつ人を好きだったに変わるのかが解からない。

人を好きだという想いは、相手によって過去にされてしまうものなのだうか。

私自身の心なのに・・・。


バーテンダーの彼からは、月に何度かメールが届いた。

いつも私を伺っていた。

その質問に私は答えられない。

親友からの問いならば、簡単に答えられるのに。

答えは決まっている。

元気かと聞かれれば元気と答えればいいし、何をしてるかと聞かれれば変わらず家事をしていると答えればいい。

だけど、彼からの質問が何故か複雑に感じた。

そして自問自答する。

私は本当に元気で、本当に変わらず家事をやっているのかと。


正直な気持ち・・・返事を打ちたかった。


クリスマス前、彼が私の携帯を鳴らした。

私は着信メロディーが鳴り終わるまで、ずっと携帯を眺めて聞いた。

私は彼から離れたんだ。

新しい恋をするんだ。

彼女のいる人は好きにならない。

でも、彼は一体何故私に電話したりメールしたりするんだろうか。

私の事好きだと言ってたな。

今でも好きでいてくれるんだろうか。

彼の声は聞こえてこない。

私が彼に心を開いているのか、彼が私に心を開いているのか。

私は完全に心を閉じていた。

心に沢山の想いを詰め込んでいる。

でも、私は彼を好きじゃない。


私はメールをうった。

街がクリスマスから一気にお正月へと色を変えた後、完全に心を閉じたのを確認してからメールを打った。

<電話した?何か用やった?>

その夜、彼からメールが届いた。

<電話した。まぁ、えぇよ。また気が向いたら電話くれよ>

素っ気無かった。

自分が望んだ答えだった。

何も期待なんてしてやしない。

なのに、なのに、少しだけ落ち込んだ。

私は、電話なんかしない。

私は彼を必要となんかしていない。

自分から電話してくればいいじゃん。

もう構わないでほしい。

折角、メールしたのに。


そう、これは未練。

私は、新しい恋をするのだから。

他の男に恋したら、彼なんて一気に吹っ飛ぶようなそんな小さな未練。

私は、私だけを愛してくれる人がいい。

彼女を愛している人の中途半端な愛なんていらない。

もう、電話なんてしてくるな。

メールもしてくるな。



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