5.男友達と映画デート | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

5.男友達と映画デート

先日、男友達と約束していた映画。

これはデートなんだろうか・・・。

友達同士のと言った手前、デート気分ではなかったけれど、少しやっぱりドキドキした。


車で家まで迎えに来てくれた男友達が、私を少し意識しているのが解かった。

好印象?そんなものはない。

気のない女性から行為を寄せられて少し迷惑している、そんな感じ。

私は一体どんな目でこの男友達を見ているんだろう。

自分では解からずに、周りはそれを受け取ってる。

周りの人間が作り上げた恋という枠組みにはめられ、少し腹立たしさも感じた。


こいつ、何うぬぼれてんだろう・・・。


不思議と話す事はなかった。

友達でさえなくなってしまったのかもしれない。

興味が全くない。

でも、少し頑張っちゃったんだ。

もし、この男が私を好きになったら、私も好きになれそうな気がした。

ねぇ、私の事好きにならない?

でも、無理だって解かってた。

この男に好きな人が居るからとかそんなんじゃない。

彼女の居ない男とは私を好きにはならない。

そんな、私の中の勝手な定義からの判断。

友達・・・ね・・・。


映画を見終えて、何処にも寄らずにまっすぐ家に送ってくれた。

昔は結構遊んだのにね。

今じゃ全く遊べなくなってしまったんだね。

この時、コイツ嫌いっていう意識が生まれた。

恋?

そんなもの論外だと思った。

関係性とか2の次じゃない。

この男は私を私として見てくれなくなったわけ。

そりゃ、その人の勝手さ。

行為を寄せられたら友情は成り立たない、そう考えてるのかもしれないけれど、心閉ざされたら私は無理だ。

そう、私の勝手さ。

でも、好きになれたら良かったのにな・・・。


「楽しかったな」

男友達が車のエンジンを止めそう言った。

本当に思ってんだろうか。

「こうやって、二人で遊びに行くのもいいもんやな」

「そうか?」

「あ・・・うん・・・そうそう、このブレスかっこよくない?」

「え?あぁ、いいかもね」

「女の子がつけてもかわいいと思うねんな」

「ちょっと付けさせてよ」

「あ、ちょっと長すぎるかな・・・」

「頂戴よ」

「無理無理、めっちゃ気にいってるもん」

「じゃ、その指輪頂戴よ」

「えー、これも無理。グッチやで」

「グッチがあんたに何の価値があるんさ」

「ほら、思い出とか・・・」

「好きな人からでも貰ったん!?」

「いや、自分で買ったよ」

「ふ~ん」

「じゃ、これやるわ」

「・・・安っぽい」


男友達から貰ったスヌーピーのキーホルダーは、沢山ある中の1体で男友達が集めた中の一つだった。

このスヌーピーは捨てられたんだな。

少しスヌーピーに同情した。

こんなの貰わなければよかったかもしれない。

貰った代わりに、心を置いてきてしまった。

私の欠けた心を見つけ出そうとすると、いつも男友達にたどりつく。

恋してるんじゃないかと勘違いする。


私は誰も好きじゃない。




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