妹尾昌俊 アイデアノート ~学校づくり、地域づくり、人づくり~ -7ページ目

妹尾昌俊 アイデアノート ~学校づくり、地域づくり、人づくり~

ちょっとしたアイデア、どんどんシェアします。
たくさんの学校や地域活性化の取組を見てきた経験や、4人の子育ての中での喜怒哀楽から、
よのなかがもっと面白くなるヒントをノートします。
☆学校づくり×地域づくり
☆子どもが大きくなったら語り合いたいこと など

申年の2016年にぴったりな、とても面白い本がこちら、山極寿一『「サル化」する人間社会』。著者は、京大総長、ゴリラ研究の世界的権威と紹介されることが多いが、ゴリラと眠ったことがある人、という形容が僕は一番ぴったりだと思う。

本書は、ゴリラやサルの生態から、人類の進化や家族、社会について考察したもの。
ページ数は多くなく、僕のような予備知識なしでも、すんなり入っていける。帯にあるとおり、「ヒトの睾丸は、チンパンジーより小さく、ゴリラより大きい。その事実からわかる進化の謎とは?」など、とてもおもしろい問いと解説の連続だ(この問いへの答えは読んでのお楽しみ)。

本書では、ゴリラとサル、ヒトがしばしば対比される。我々はヒトがもっとも進化した生物だと思い込んでいるふしがあるが、実はゴリラの社会のほうがうまくできているかも、というところもあるらしい。たとえば、ゴリラは群れの仲間の中で序列を作らない。喧嘩しても、誰かが勝って誰かが負けるという状態にならない。じっと見つめ合って和解する(p8)、というのだから、スゴイ。一方、サルは純然たる序列社会。諍いが起これば、大勢が強いものに加勢して弱いものをやっつけてしまう。

また、山極さんがゴリラになったつもりで行動して、ゴリラの群れに近づいたときのこと

「私は私なりにゴリラのまねを一生懸命しているのですが、ゴリラから見ればやり方がおかしいこともある。なんだかやり方が間違っているらしいとき、ゴリラは『違う、そうじゃない。ゴリラはそんなふうにしない』という目で私を見てくるのです。ときには『コホッ、コホッ』と咳のような声で私を叱ることもあります。」(p49)


つまり、ゴリラは器がでかいのである。
戦争がなくならない人間社会について言及するまでもないかもしれないが、勝ち組・負け組などのレッテル貼り、ネット炎上などが茶飯な今日、本書のタイトルが示唆するように、人間は「サル化」しているのかもしれない。ゴリラと共通祖先だったときの記憶をもう少し思い出すには、本書は最適だ。

「サル化」する人間社会 (知のトレッキング叢書)/集英社インターナショナル
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