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こんにちは、ちえママです。
小川洋子著「人質の朗読会」
めちゃめちゃ面白かった。
よくぞ、こうゆうシチュエーションが思いつくもんですねぇ。
いやぁホントに面白かった。
あらすじ
南米のある村で、日本人7人と添乗員が乗ったマイクロバスが、遺跡観光を終えて首都に向かう帰路、反政府ゲリラに襲撃され、身代金と仲間の釈放を求める犯行声明が発表された。拉致現場は標高2000メートル級の山々が連なる山岳地帯、目新しい情報がないまま日本国内でのニュースの扱いは次第に小さくなっていき、遠く離れた地で起きているらしい事件に人々の関心は薄れていった。
ゲリラと政府の交渉は水面下で続き、発生から100日が過ぎたある日、軍と警察の特殊部隊がアジトに強行突入し、銃撃戦が繰り広げられた末に犯人グループ5人が全員死亡、特殊部隊員2人が殉職、犯人が仕掛けていたダイナマイトにより人質となっていた8人全員が死亡した。この凄惨な結末は、ニュースを忘れかけ、どこか楽観視していた世間の人々に大きなショックを与えた。
事件から2年後、国際赤十字が差し入れた救急箱などに仕掛けられていた盗聴器で、人質たちの音声が録音されたテープの存在が明らかになる。テープには人質8人がそれぞれ心に残っている出来事を物語として書き起こし、各人が朗読する声が収められていた。事件後、遺族を取材していたラジオ局の記者はテープが被害者が確かに生きていた証になると重要性を説き、かくして遺族の許可を得てラジオ番組『人質の朗読会』が放送されることとなった。
構成
8人の人質と1人の人質救出隊員の語りが描かれています。
オムニバス形式になっていてそれぞれが上質な短編小説となっています。
内容はいずれも些細な日常生活の回想で『人質』という極限状況で語られるには穏やかすぎるものばかりです。
8つの物語は以下の通り。
括弧内は語り手のプロフィールとツアー参加の経緯を記しています)
第一夜:杖
(インテリアコーディネーター、53歳女性、勤続30年の長期休暇を利用して参加)
第二夜:やまびこビスケット
(調理師専門学校製菓コース教授、61歳女性、研修旅行のオプショナルツアーで参加)
第三夜:B談話室
(作家、42歳男性、連載小説のための取材旅行中)
第四夜:冬眠中のヤマネ
(医科大学眼科学教室講師、34歳男性、国際学会出席の帰路)
第五夜:コンソメスープ名人
(精密機械工場経営者、49歳男性、国際見本市参加の帰路)
第六夜:槍投げの青年
(貿易会社事務員、59歳女性、姪の結婚式出席のための旅行中)
第七夜:死んだおばあさん
(主婦、45歳女性、夫の単身赴任先からの帰途)
第八夜:花束
(ツアーガイド、28歳男性、勤務中)
第九夜:ハキリアリ
(政府軍兵士、22歳男性、Y・H氏の通訳により放送)
同じ小川洋子著作
本屋大賞も受賞した「博士の愛した数式」
より
私はワクワクドキドキしながら一気に読んだ。
一編の内容を読んだ最後に
語り手のプロフィールとツアー参加の経緯が書かれていて
内容と呼応して感動して
ため息が出てしまう、憎い演出。
映画化もされているようだが、絶対本を読んで欲しい。
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