最近界隈でにわかに話題になってること、それはアイマスのブランド単独イベントに他のアイマスブランドのグッズを持ち込むのはいかがなものか、ということでしょう。
近頃はイベントがあるたびにこの話題を目にしています。
この記事は他ブランドグッズ持ち込みの是非を決めつけるのではなく、どうしてそういう論争が起こっているのかをアイマス独特の歴史と文化から整理しようという意図で書いています。
また私が独自に何かを調査したということはなく、主観で見てきた物事から書いていますので他の人とは認識の齟齬があるかもしれません。
以下本編
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1.育まれた他ブランドグッズ持ち込みに寛容な文化
従来、アイマスイベントでは他ブランドグッズを身に着けて参戦することに寛容な風潮があったと感じています。
こういう論争が近年まで表面化していなかったことがそれを証明していると思いますが、なぜそういう風潮が育まれたのでしょうか。
①みんなまとめてアイドルマスターの概念
略して「みんマス」と言われたりしますが、ざっくり言うと「ブランドが違ってもみんなアイマスの仲間だよ」という考え方です。たぶん。
この考え方はユーザー側が勝手に言ってると思ってる人もいるかもしれませんが、私は運営によってある程度意図的に作られたものだと思っています。
【765ASが繋ぐ3ブランド】
現在アイドルマスターには主に 765AS・ミリオンライブ(以下ミリオン)・シンデレラガールズ(デレマス)・SideM・シャイニーカラーズ(シャニマス)・学園アイドルマスター(学マス) の6ブランドが並立して動いています。
(私個人は876プロダクション担当ですのであれですが、本件に混ぜると煩雑となるためここでは省略します)
この中でミリオン・デレマス・SideMの3ブランドはその誕生に765ASが密接に関わっています。
ミリオンは言わずもがな765プロの後輩という立ち位置です。
デレマスは最初のモバゲー版稼働時に765ASを前面に押し出し、完全新規作品ではなく765との繋がりのある何かとユーザーに認識させ初動のヒットを生み出しました。
SideMは直接の関わりは薄いものの、ジュピターはそもそもゲームアイドルマスター2の765プロのライバルキャラクターです。SideMの初期ユーザーにはアイドルマスター2からの流れでジュピターを応援することを目的に流入した人がたくさんいたと思います。
このように以上3ブランドは、誕生時に一定のユーザーを獲得するために765ASとの繋がりを持たせ、ブランドを越えた仲間意識を作り出していました。
ライブイベントで言えばデレマス1stライブが2014年4月、ミリオン1stライブが2014年6月に開催されていますが、それより前の2014年2月に765AS・ミリオン・デレマスの3ブランド合同ライブが開催されています。
もっと言えばその前の2013年7月~9月に開催された765ASの8thライブツアーにデレマスとミリオンからゲストとして数名のキャストが参加しています。
そういった経緯もあってデレマスやミリオンの1stライブには、合同ライブのTシャツやタオルはもちろん、765AS単独イベントのTシャツやタオルで参戦した人も多数いたような気がします。(記憶は曖昧です)
そもそも当時はライブの事前物販も(たぶん)無かったような気がするので、売り切れ必至のシャツやタオルの代わりに過去アイマスイベントのものを持参するというのは自然な流れでした。
②「プロデューサー」という建前
アイドルマスターのユーザーはアイドルのプロデューサーという設定になっており、つまりは好きなキャラ≒担当アイドルを売り出す立場です。担当アイドルが出演しないライブ(他ブランドであれ)でも交流する他のユーザーに挨拶がてら名刺やグッズで担当アイドルを紹介するというのはおかしくないというわけです。
担当アイドルを積極的に売り出していく文化が最も強いのがデレマスでしょう。他のブランドはキャラ毎の待遇の差はなるべくつかないように均等に出番が与えられていますが、デレマスは全く違います。
総選挙で勝たなければ声もつかない、当然曲も出ない、人気などによって露出に大きな偏りがあります。
そんな世界ですから、担当アイドルをユーザーが自らPRしていくのは当然であり美徳でもあるという文化が育まれていったと思います。
以上の「ブランドの垣根を越えた繋がり」と「アイドルのプロデューサーという立場」の主に2点が合わさり、別ブランドのグッズ持ち込みは問題ないよ、という風潮ができあがったのだと思います。
ではなぜ最近は否定的な意見が増えてきたのでしょうか。
2.他ブランドグッズ持ち込みに否定的な考えが広まってきた要因
①複数ブランド兼任志向から単独ブランド専任志向への変化
先述のようにSideM稼働初期頃まではまだアイドルマスターは1つのまとまりと言える状態でしたが、その色合いは徐々に薄れていきます。
その要因は(1)膨大な供給量
(2)新ブランドの独立路線
(3)コロナ禍による合同イベントの減少
にあると思います。
(1)膨大な供給量
これは各々のブランドにゲームがあり、それぞれの供給だけで1人のユーザーが追い切れる量を超えてしまったため、ユーザーが取捨選択を迫られたということです。
時期でいうと2015年以降でしょうか、ゲーム本編・楽曲・ライブイベント・グッズと時間的にも金銭的にも全部追いかけるのは無理となり、それまで全ブランドを追いかけていた人も徐々にどこか1つ、2つに重点を絞るようになりました。
(2)新ブランドの独立路線
2018年にシャイニーカラーズが稼働開始します。シャニマスはゲームシステムこそ古いアイマスを踏襲していますが、新規ユーザー獲得戦術としてユニット毎にターゲティングした楽曲や、Vtuver等に案件配信を多数依頼する等、既存ユーザーと違う層(世代的にも)のユーザーを一定数獲得したんじゃないかと思います。
また、シナリオやキャラクター間の関係性に特化したブランドとして、シャニマスだけに入れ込む人も結構いたんじゃないでしょうか。
時を経て2024年に学マスがサービス開始します。シャニマス稼働から6年後、こちらも人気コンポーザーを起用した楽曲と強烈なキャラクターで新規ユーザーを多数獲得することに成功しています。
シャニマスは特に設定上他ブランドとの関係性は薄く、学マスもキャリアが浅いことからこの2つのブランドは現状のところ他ブランドとユーザーの乖離が大きい傾向があるんじゃないでしょうか。
また当然ながらSideMはメインターゲットが女性ということで他とはユーザーが違うのは言うまでもありません。
(3)コロナ禍による合同イベントの減少
従来アイマスが多ブランドを兼任する人が多かった理由の1つに2014年と2015年の3ブランド合同ライブの存在は大きかったんじゃないでしょうか。ところが次の合同ライブは2024年まで飛びます。
その原因は2020年頃からのコロナ禍です。
本来ならその間にブランドごちゃまぜの中規模イベントがいくつか考えられていた(合同プロミを予定してるという発言があったはず)のですが、それらは全て飛んでしまいました。
運営としてはシャニマスが加わり新規ユーザーも増えたタイミングで合同イベントを行い、またアイマスが1つのまとまりになろうとしていた際のコロナ禍は目論見が狂う出来事だったでしょう。
結果として兼任ユーザーは減り、特に新規ユーザーは他ブランドにあまり興味がない人が多くなったと思います。
古いユーザーと新しいユーザーでは他ブランドへの距離感はかなり差があるのではないでしょうか。
②充実しすぎるグッズ
これまでアイマスが1つのまとまりから各ブランド別々のものに変化しつつあるという話をしましたが、話をグッズに戻します。
最近のアイマスグッズは本当に多岐にわたり、私も全然把握しきれていないません。通常のシャツやタオル以外にもフルグラグッズ、各キャラのアクスタや缶バッヂは必ず出ますし、ぬいぐるみも人気です。大型グッズもあるし、トンチキグッズもたくさんあります。
それぞれ思い思いのグッズでキャラを愛でたりアピールできるのは良いことです。
「推し活」という言葉も流行り、運営側にとってもたくさんグッズを買ってアピールすることはありがたいことでしょう。
しかし中には存在感のありすぎるものも・・・
目立つグッズを身に着けることは周囲に担当アイドルをアピールする効果がありますが、一方で悪目立ちにつながりかねません。
実際昨今否定的な意見で話題になっているものはそういった存在感のあるグッズをきっかけとしているように見えます。
以上「各ブランドの独立性の進展」と「新旧ユーザーでブランド間の距離感の相違」、「推し活ブームと多種多様なグッズ展開」が合わさって歪みとなっているのが現状なのかと思います。
3.それで結局他ブランドグッズ持ち込むのはOKなのか
この記事は現状への経緯を整理するためのものですが、私なりの意見も書いておきます。
いったんこれまでの内容をまとめると、
・アイマスは元来複数のブランドを兼任する人が多く、イベントで別ブランドグッズを持ち込むことはよくあることだった。
・時代が下るにつれ様々な要因が重なりどれか1つに専任する人の割合が増えた。
・兼任ユーザーと専任ユーザーとの間には他ブランドに対する距離感に乖離がある。
・ユーザー間の認識のズレと推し活文化が歪みを起こしている。
ということだと思います。
20年続くコンテンツでいろんな人がユーザーにはいますから、全員の思いを統一するのは不可能というのは当然ですが、一つ重要な要素として「運営側はユーザーにブランドをまたいで楽しむこと、交流することを望んでいる」ということがあります。
運営側はユーザー間交流を推奨し、ブランドをまたいだコラボ案件の多数実施、合同イベントの開催などを行っています。
たくさんのアイドル、楽曲、シナリオ等々がある巨大コンテンツ、いろんな出会いを経て新たな魅力を発見してアイマスにどっぷりはまり続けて欲しいというのが運営側の思いでしょう。
そうした意図があるのですから、わざわざユーザー側がそれぞれのブランドで閉鎖的になっていこうとする必要はないと私は思います。
この問題に対する否定的意見としてこういうのを目にしました。
「スポーツの試合の応援席で無関係なチームの応援グッズをみにつけているようなもの」
という意見です。
これに関しては本件と違う話だと思います。
例えばプロ野球のAとBチームの試合だとして、Aチームの応援席でBチームや別のCチームの応援グッズを身に着けることは明文化して禁止されています。(球場毎にそのエリアはまちまちです)
一方、中立的な座席では特にそういう明文化された規制はなく、Cチームのグッズを身に着けていたらダメというわけではありません。(まあちょっと白い目で見られるだろうし、意図もよくわかりませんが)
ここで重要なのはダメな場所は明文化して規制されているということです。アイマスイベントにはそういう規制はありません。
スポーツはスポーツ毎に歴史・文化があり応援のルール・習慣も違うでしょう。そしてアイマスにはアイマスの歴史・文化があり、他の何かと一概にして論じるべきではないと思います。
アイドルマスターのライブイベントは、いろんなブランドに軸足を置く人たちが集い、お互いに良い影響を与え合いながら新たなアイマスの魅力を発見する場所、というの目指すべきであり、そうなるためにどのラインなら良いのかっていうのを、いろいろ考えながらすり合わせる時期が今なのでしょう。









