うちの研究室には、見た目をぜんぜん気にしない女の先輩がいる。
 ここでは、井上さんと呼ぶことにする。

 井上さんは、朝から深夜までずっと研究室にいる。ビーチサンダルに膝までの短パン。首には、汗を拭く用の白いタオルがかけている。化粧ももちろんしていない。
 それはそれでいいと思う。自然体でいることがむしろ個性だと思ってた。

 だが、今まで生きてきてる人がここまで見た目を気にしてないのは、ただの気にしないではなく、気にすることを拒否してると気付いた。
 それは、バカにされてもいい勇気がないとやっちゃいけないことだよ。