世界が茜色から藍へとそまる夕暮れ時

あたりはし~んと静まり返り

かすかに街の喧騒が聞こえるだけ

 

ふと立ち止まり

ふ~っとひといき

空をあおぎ、つぶやきます

 

今日も一日おつかれさま

そして

ありがとう

 

心にこだまします

 「ありがとう」の響きに呼応するように

それまで気が付かなかった

かすかなせせらぎの音が

聞こえ始めます

 

どこだろう

 

足は自然と音のするほうへ向かいます

せせらぎの音が大きくなるにつれて

心はどんどんどんどん静まり返ります

 

あ~こんな穏やかな気持ちは久しぶりだな

 

藍があたりをすっかりそめるころ

みつけました

小さなせせらぎを

みつけました

たったひとつの光を

 

その光にそっと手をさしのべ、つつみこみます

そっとそ~っと

 

手のひらに閉じ込めた光は、次第に光を失っていきます。

あわてて手をひらくと、瞬く間にその光は飛び去ってしまいます。

光が飛び去るほうへ目をやると

ぽつぽつぽつ

やがて、あたりは光の泉に

 

せせらぎは光の泉と満天の星空をうつしこみ

ぽ~っと明るく光っています

あれ

せせらぎにうつりこんだ自分の姿に微笑みます

 

な~んだ

光はここにあったんだ