昨晩は、東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパス TCMホールにて開催された 東京音楽大学付属民族音楽研究所 第2回公開講座「馬頭琴と尺八の対話 ー音色の試みー」でした。

 

 

 

尺八2本で演奏される事が多い、尺八の古典本曲「鹿の遠音(しかのとうおん)」を、馬頭琴と尺八で行うと言う、なかなか見られない演奏から始まったステージ。

 

演奏後「鹿の遠音」の説明では、セーンジャーさんから「モンゴルの英雄 チンギスハーンは狼に良く例えられますが、その奥さんは鹿に良くモンゴルでは例えられるので、そんなことをイメージしながら演奏しました」と言った話や、「馬=馬頭琴が鹿の曲をやるって事だから、これは『馬鹿』だね」なんてオヤジギャグも飛び出すなど、和やかに始まりました。

 

1部では、尺八奏者 渕上ラファエル広志 さんと、セーンジャーさんによる、それぞれの楽器=尺八と馬頭琴の種類や、歴史などの説明が行われました。

 

 

コチラは、馬頭琴の原型・祖先と呼ばれている楽器チョール(向かって右) と、現在の馬頭琴になります。チョールは胴部分が皮で出来ており、音が後ろから出るので現在の馬頭琴とは音の響きが大きく違います。また現在の馬頭琴も、それぞれの地域の環境(湿度等)によって、違いがあることも説明されました。

さらに1部では、モンゴルのオルティンドー(モンゴル語で長い歌という意味の民謡)より「4歳のサイガ馬」と「波如来」を、尺八と馬頭琴で演奏すると言う興味深い試みも行われました。

 

休憩を挟んで2部では、ピアノ奏者 虫明知彦さんも加わり、演奏を中心に行われました。1曲目はセーンジャーさん作曲の「恋情」をピアノと尺八と共に演奏。

 

※コチラは2020年の演奏動画です。

 

その後には、尺八とピアノによるブラジル音楽「カリニョーゾ」や「ブラジレイリーニョ」、ピアノと馬頭琴によるモンゴルの「珠色菜」も披露されました。

 

ピアノは西洋で発展した楽器で、音も1音1音が澄んでおり、1つの音に他の音が混じることもありません。しかし、今回は尺八と馬頭琴になりますが、いわゆる民族楽器は、ピアノやオーケストラの楽器とは異なり、1つの音に他の音が混じるのが魅力的だと、ピアノ奏者の虫明知彦さんは話していました。

 

さらに馬頭琴は、草原で弾かれるていた楽器の為、伝承楽曲をピアノと共に演奏する場合、拍節(はくせつ)が西洋音楽の様に一定でないのが大変だったと言う話もありました。

 

これは 例えば西洋音楽の場合、1つの音符の拍が決まっており、4分の4拍子であれば、1小節に4つ4分音符が入ると決まってますが、馬頭琴や尺八他 民族楽器による伝承された楽曲の場合、その拍や節が明確でない=自由リズムである曲や演奏も多いとのこと。これは確かに合わせるのは大変ですよね。

1部で演奏された「鹿の遠音」やオルティンドーも自由リズムの楽曲になります。

 

公開講座の最後にはチ・ボラグ作曲の、明確な拍節のある馬頭琴の曲「万馬の轟」が、ピアノ伴奏にて尺八と馬頭琴で演奏され、大きな拍手と共に終演しました。

受付には、 東京音楽大学付属民族音楽研究所の 社会人を対象とした講座「日本・世界の伝統楽器を演奏しよう」 のPOPも展示されていました。
 

 

アシスタントは蒼響馬頭琴楽団でもお馴染みのナラスさんですね。

 

 

2024年3月24日には東京音楽大学にて「春のオープンキャンパス」も実施されます。社会人講座紹介&ミニワークショップも実施され、『ガムラン講座』にセーンジャーさんも参加します。

演奏:滝田 美智子先生(箏曲)/水戸 茂雄先生(リュート)/木村 佳代先生(ガムラン)/セーンジャー講師(馬頭琴)

申込は3月18日までです。ご興味のある方は、一般の方でもご参加出来ますのでお申込み下さいませ。詳しくは以下リンクにてご確認下さい。


最後になりましたが、足をお運び頂いた皆様、講座実施に助力された皆様・スタッフの皆様、そしてピアノ奏者の虫明知彦さん、尺八奏者の渕上ラファエル広志 さん、ありがとうございました。