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ジャンポールゴルチエ

2004年12月20日

ジャンポールゴルチエ


「オートクチュールというと、どうしても過去のイメージ、年配の女性のためのものと考えてしまうのですが、

私にとってオートクチュールは大事なものであり、これからもオートクチュールを続けていきたいと思っています。

オートクチュールはさまざまな女性が美しく着こなすことができるものだからです。


オートクチュールを過去のものと見るのではなく、近代的なオートクチュールを追及し、

コレクションを発表していきたいと思っています」

と語るジャンポール・ゴルチエ。


9月に東京・丸の内仲通にオープンした、新しいコンセプトのショップを視察するために来日した。


毎シーズン、オートクチュール、メンズとレディースのプレタポルテを発表。

エルメスのアートディレクションも手掛けている。

最も忙しいデザイナーの1人だ。


「おっしゃるように私はたくさんのコレクションを発表していますが、

コレクションごとに発想は違いますが、それぞれのコレクションにはそれぞれにルールがあり、コードが違います。


オートクチュールならオートクチュールの基準、コードを守りながらデザインしていかなければいけませんし、


エルメスなら老舗ブランドとしての伝統がありますから、

それを尊重しながらデザインをしていかなければいけないと考えています。


たとえて言うなら、私はエルメスでは映画監督のような役割をしているわけです。

映画では他の人がシナリオや台本を作り、

監督は他の人の作ったものをどういう風にきれいに演出するかが仕事になるわけです」。




パーティでは「時間があれば温泉に行きたい」と笑わせたゴルチエ。

だが、

デザインに対する情熱は衰えない。


「たくさんのコレクションを手掛けていますが、

クリエーターとしてやりがいを感じていますし、好きなことをやりとげることが私の生涯の役割だと思っています。


もちろん、シーズンごとにいいシーズンも悪いシーズンもあります。

その結果はプレスの評価や売上に表れるわけですが、

これまで発表したコレクションの売上でいえば、そんなに悪い状態ではないと思っていますがいかがでしょうか。


それに、

エルメスは素晴らしいノウハウ、技術を持っていますから、

エルメスを手掛けることで自分自身勉強できたし、デザインについてもたくさんのインスピレーションを得ることができたと思っています。


エルメスを手掛けたことは酸素をもらったようなものです。

息をすることで新たな物作りに対する意欲をわかせるためのアドレナリンをチューニングすることができるんです。

今後ももっといろいろなことをしたい。

いろいろな分野を手掛けることは私にとっても重要なことだと思っています」


今シーズン、パリ本社で行われたコレクションを見た時、

完成度が高く過ぎるため、どんな組み合わせも破綻せず、美しく見えること、

美しすぎることが欠点だとさえ思わせたゴルチエ。


10年前、20年前のトップデザイナーが姿を消す中で、

いまもフランスの業界新聞の人気投票では常に1位であり続ける。


本人はそうした状況をどう思っているのだろう。


「1位を他の人に譲れと言っているのですか(笑い)。

私にとって1位でも、2位でも、ラストでも、順位というのはあまり関係ないんです。


もちろん、1位であるということは光栄なことですが、

1位がいれば最下位もいるわけでから。


1位だから次も必ず1位を狙おうと思ってコレクションを作るわけではありません。

順位に影響されることも、順位によってモチベーションが変わることもありません。


一番重要なことは1位の座を狙うことではなく、自分が出来る限りの能力を使って、すばらしい作品を作ることだと思っています」


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