家庭裁判所での注意事項・心構え
離婚(夫婦関係調整)調停、面会交流の調停によって、親どうしは別れた後の子どもの養育費について話し合います。しかし、調停をしたからといって、同居親が拒否すれば子どもに会う事はできません。裁判所では「調停」と「審判」が行われます。話合いによって当事者間の調整を行い、話し合いがつかなければ裁判官が「審判」で決定します。
そして、初めに心得ておかなけえばならない事があります。家庭裁判所は真実を究明し刑を科す刑事裁判や当事者間の対立を勝ち負けで判断する民法とは違い、家庭裁判所は「家事」と呼ばれ「人間関係を調整すること」に主眼が置かれています。子を奪い合う場ではなく、争わずに一つの道筋を見つけ歩み始める導きの場だとお考え下さい。
家裁で面会交流・親権に関する調停などの申込手続きを行なうと書面にて話し合いの日付が書かれた用紙が届きます。当日は家事相談室で受付をする。届いた書面を提出し、名前を言い、案内図に従い待合室で呼ばれるのを待ちます。
この際、待合室は申立人用と相手方待合室とが別れており、離れた場所にあります。自分の順番がくると担当の調停委員が呼びに来て調停を行なう部屋へ通されます。
① 調停委員
調停委員は男女二名からなり、双方の言い分を聞きます。調停は相手方と同席する場合もありますが、多くは一方の言い分を聞き、相手方が待機室で待機し調停委員が伝言ゲームの様に間に入って、相手の主張を伝えます。
調停委員は40歳以上の家裁の非常勤職員です。弁護士やカウンセラーなど様々ですが、片親疎外についての知識がない人が多いと思います。
② 調査官
調査官は調停委員と違って常勤の職員であり、採用には児童心理なども試験科目に課せられるため、専門家と見られがちですが、いつも接してきた親以上に子どもの気持ちがわかるとは限りません。調査官は、監護紛争や面会交流事件においては、互いの親の家の調査に入り、子どもの親に話を聞くだけではなく、子どもの学校や幼児園まで話を聞きに行って、子どもの日常生活や交友関係を把握します。また、DV等の被害を警察に訴えたなどの場合においても警察署の生活安全課担当官より話を聞き出します。
(個人情報の関係から警察署では訴えがあったかどうか、その内容や経緯など調書にまとめた内容をある程度は話しますが、被害届の写しや、加害者とされ側の念書等の写しなどは渡す事はありません。)
調査官はこれらの情報と調停中の話し合われる内容を最終的に書面(調査報告書)にし
裁判官に提出します。つまり、調停の決め手は調査官にあると言えるのです。
過去には同居親が年に3回までなら面会交流はよいといい、別居親は6回という希望でしたが調査官の調査結果が面会交流は年に2度が望ましいとした報告書により年2回になった人もいますし、当初の面会交流は控えた方が良いという報告書を書かれ年、3回の写真付き(手紙)に審判結果になった人もいます。
・調停を経験した人も調停の仕組みを知らない人が殆どです。
調停委員と調査官、3名~4名もの人が一人の申立人の話を何ヶ月、長いと1年以上、一度の調停で4~5時間も話を聞いて行なわれますが、申立人の言い分を相手方に伝言しながら説得する場ではないのです。あくまでも調停委員は話を聞き出し、親権に関してはどちらが親権者として相応しいか、面会交流に関しては互いの要望をどこで折り合わせるかを時間をかけ納得させる仕事なのです。最終的に決定する人物として裁判官はいますが、事実上、調査官が決めていると言っても過言ではありません。
仙台地方裁判所での例では、調査官が相手方の家庭調査を行いました。
離婚の原因は相手方の不貞行為でした、相手方は離婚のために今まで住んだ家から引っ越すために不用品をリサイクルショップへ処分しようと業者を呼んだところ、そこの業者の男性から言い寄られ、離婚後2週間でその男性を家に招き入れ性行為を行なっていました。子どもは深夜になると知らない男の人が家にくるんだよ。と、別居親(申立人)に話していました。その更に5ヶ月後には違う男性を家に住まわせパパと呼ばせていました。生活保護を受けて生活しているのにも関わらず男性を住まわせ子どものいる前で性行為を行なうなどの状況を調査官に話したものの、調査報告書にはしっかり面倒を見ている、幼稚園でも評判がいい。同じ女性として尊敬するなど、調査官としてではなく個人的感情で評価し調査報告書をまとめた例もあります。
そもそも、利害関係にある幼児園が悪い人というわけもなく、送り迎えをする数分の印象しかしらない幼児園の意見も参考程度に聴取するのが普通。4人の子どもを育てる女性=よくやっているという一般的な解釈である。
この様な調査報告(調査官)に対し「あなたは事実を見抜けていない」と申立人が言った事から調査官が怒りだし、調停の度に嫌味な意見を言い続け、最終の調査報告書では証拠が無い様な出来事(相手方の言い分)を一方的に書かれ「疑わしい」「DVは事実」と不確かな内容までも事実であるとし最終的には面会交流は子どもが大きくなるまで保留という結果となり、事実上の縁切りの結果になった。
この様に調停委員と調査官の職務、その後の仕組みを知らずに感情的に訴えても人として解釈することはありません。また、裁判所では過去に子どもに刃物を向けた母親であっても、極端に劣悪な環境下で生活していない・子どもが食べるものの品に関わらず、何かしら食事を行ない生存している・学校等へ通っているという事実があれば、養育出来ていると判断します。もちろん、母親が何人もの男性と遊び、隣の部屋に子どもがいるのにも関わらず性行為を行なっても、注意はしますの一言で終わります。
我が子の生活する環境や人生は考えず、食べて生きているなら監護ができていると判断、まるで草花と同じ感覚と言えるのが現実です。
■調停の進行
通常、調停は申し立てから1ヶ月~1ヶ月半に1回目が開かれ、面会交流では3回目ほどの間に合意が図られます。
離婚調停では10回ほど話し合いが行われることもあります。
通常は、1回目では双方の事情を聞き、2回目では条件を出し合い、3回目では合意に至るというのが裁判所のマニュアルです。
■審判(職権主義)
面会交流や監護者指定、親権変更など調停でお互いの主張が違いすぎると「不成立」となり審判に移行します。しかし、不調のなかで申立人が、申立自体を取り下げるように促されることは結構多いです。
これは、裁判所での審判というのは判決と同じ意味を差すものになるため、後々に親権者変更や面会交流などを希望した場合に不利に働く可能性があるからです。
不調、不調と続き、けじめとして(ここまでやったんだ)という証(将来の子への意思表示を残す)を求めるよりも、もっと先を見据えて取り下げた方が良いと判断するからです。
また、審判の前例でも良い結果が得られたことは少ないからです。
■離婚裁判
離婚調停が不成立になった場合には通常、審判に移行せずどらか一方の申し立てで離婚裁判となります。離婚裁判は離婚が成立するか否か、離婚原因が無い場合はなかなか離婚は成立しません。また、破綻の事実が定着するまで別居のまま推移することもあります。
別居親側の側が主張しなければ、離婚と親権だけが決められ、面会交流には触れない判決が出されることがありますが、裁判官の意向次第です。(裁判は調停・審判と異なり公開の法廷で行なわれます)
多く判決を書く手間を省くために、裁判官は和解を斡旋しますが、和解の示談書における面会交流の取り決めは、間接強制が効かない場合があるため注意が必要です。
■調査報告書の記録の閲覧・写し
調査官が作成した調査報告書は閲覧するこもできますし、写しを取る事も出来ます。窓口で閲覧申請・写しの申請を行ない、指定の場所(通常は隣の部屋)のコピー機で写しを取ります。
■弁護士をつけるかどうか
そのケースにもよりますが、相手方に弁護士がついている場合は付けた方が無難と言えますが、相手方に弁護士がついていない場合は、仮に弁護士をつけたとしても弁護士をつけていると言わない方がよいでしょう。相手は弁護士がついていると知れば防衛本能から子どもが奪われる、こちらも弁護士をつけて「戦わなければ」という気持ちになり、結局、話し合いで決まるものも弁護士同士の弁護戦となってしますからです。
結果的に、面会交流の障害になってしまうケースも多い。
相手との関係を悪化させずに子どもの将来を考え、将来的な見方で当事者が時間をかけて歩み寄る姿勢が大切であり、永遠の離別を避ける道であるのです。
DV等の訴えや不利になる要素がある場合、また、本書に書かれている内容を知らず、無知の状態であると思う場合は早い段階から弁護士に内容相談だけでもしておいた方が良いでしょう。
また、弁護士をつける際はメリット・デメリットを提示してくれる人を選んだほうが良いです。
金銭的に余裕が無い場合は法テラスを利用して弁護士を探す事もできますし、費用の分割もしてくれます。
■専門家の活用
家裁の手続き以外に専門家を活用することも考える。
子の引き離しが長引いている場合は臨床心理士や児童心理の専門家などに面会交流を視察してもたったり意見書を書いてもらいサポートを得ることもできます。家裁は専門家の意見という根拠があれば、積極的な交流の斡旋や決定をしやすいものです。
■調停委員・調査官に対する苦情
セクハラやパワハラなど人権侵害は各家裁の総務課が窓口で苦情を受け付けいます。調停や審判で指摘しても是正されない場合には総務課に訴えましょう。
不公平な調書や審判の運営がなされている場合、先行きについて透明性に欠ける場合なども含め改善されない場合などは国家賠償請求を提起することもできます。また、最高裁判所の梶局や人事局に書面を提出することもできます。
