後悔先に立たず、今始まった事では無いのですが、、、

 

楽観的に考えれば、休日に向かうパチンコ屋を教えてくれたのだから

店で会いましょう と告げられた思えます。

では、何故一緒に行こうと言えなかったのでしょうか

 

工場で共に時間を過ごすうちに、単なるメンバーの一人では無い特別な人と感じ

接し方も変わっていきました。

女性の対応に拒絶は感じませんでしたが、時々違和感は有りました。

 

一緒の時間が過ごせれば、それだけで良いと思っていても自分の言葉や行動は

それ以上の想いを女性に感じさせてしまったのでしょう。

そして、答えられない事を伝えたかったのかも知れません。

 

そんな風に、勝手な解釈も有り、教えられたパチンコ屋に向かいました。

 

何時もの様に、開店時間の少し前に着きました。

数人がドアの前で開店を待って居ましたが、其処に女性の姿は有りませんでした。

来る時間は、ハッキリしないと言っていたので

開店時間から居るとは思っていませんでしたが、何故かホッとした気がしました。

 

店のドアが開き、パチンコ屋に入りました。

高揚感に包まれる瞬間なのに、今日は余り気持ちも高まら無い感じがします。

ひとまず、遊技台を決めコーヒーを買いに自販機に行きました。

 

楽しみだったスロットの遊戯を始めますが、何処か気持ちが落ち着きません。

考えても仕方ないと、気持ちを切り替え遊戯に集中しました。

遊戯は、特に可も無く不可も無くと言った感じで時間だけが過ぎて行きました。

 

時々、コーヒーを買いに行ったりトイレに行く度に、店内を見渡しました。

女性の姿を探している自分が、なんだか惨めに思えて、今日は来ないと決め

スロットを遊戯する事だけを考えました。

 

手持ちのお金から、3枚目の万札を取り出した時に壁の時計を見ました。

午後14時過ぎだったでしょうか、視線をスロット台に戻そうとした時の事です

時計が有る壁側に横切る女性の姿を見つけました。

 

一瞬、間違ったかなと、思うほど工場での雰囲気と違った感じがしました。

私服を見るのも初めてでしたし、化粧の感じも違って見えます

椅子から立ち上がって視線を投げかける自分に、女性が気が付いてくれました。

 

視線が合い微笑む女性に

此の女性を好きに成ったんだと、自分でハッキリと分かりました。

片手を上げて合図をした自分を見て、女性は通路の向こうに歩いて行きました。

 

言葉を交わす事も無く、立ち去って行った事が答えだったと分かりましたが

少し間を置き、女性が歩いて行った通路に行きました。

女性の今日の姿が、誰の為のものなのか、眼に焼き付ける為に。

 

数分後、パチンコ屋の外に居ました。

自分が遊戯していた台には、買ったばかりのコーヒーとタバコに

換金すれば幾らかに成るスロットのメダルを残したままです。

 

もう、店の中に、あの空間に戻る気持ちは持てませんでした。

そのまま店を後にして、駅に向かって歩き出しました。

 

言葉にもしていないのに、以前より辛く苦しく感じます。

自分の想いが言葉に成る前に、女性は伝えたかったのでしょう。

聞く事を避け、触れなかった自業自得から出た結末です。

 

線路に沿った道路を、寮に向かって歩き続けました。

女性の姿が、微笑んでくれた姿が頭から消えません。

独りよがりの想いは、今日で終わりを迎えました。

 

それから翌日の休日も、寮の部屋でダラダラと過ごしました。

明日出勤すれば、女性に会いますが何時もの様に話をしようと思っていました。

ただ、もう此れから女性に気持ちを寄せる事はしないと心に言い聞かせて居ました。