矯正歯科を受ける男女の割合について、日本国内の調査結果によると、女性のほうが男性よりも矯正治療を受ける割合が高い傾向があります。厚生労働省の患者調査によれば、矯正歯科の初診患者数は過去3年間で大幅に増加し、特に女性の増加率が顕著です。男性の初診患者数は1.7倍に増加したのに対し、女性は4.8倍に増加しており、女性のほうが矯正治療に積極的であることが分かります。

矯正治療を受ける年齢層についても興味深いデータがあります。10代前半の患者数が最も多く、増加率では30代前半が最大となっています。若年層は外見を気にする傾向が強く、成人後も矯正治療を受ける人が増えていることが影響していると考えられます。また、長期的な口腔健康の維持を目的として、20~40代の大人の矯正治療も増加傾向にあります。

矯正治療の普及率は、日本国内では約21%とされています。これは、アメリカの50%以上と比較すると低い数値であり、日本では歯並びに対する意識が海外ほど高くないことが影響しています。特に、日本には八重歯を可愛いとする文化的背景があり、矯正治療を受ける必要性を感じる人が少ない傾向が見られます。一方、欧米では歯並びの良さが社会的ステータスとして認識されるため、矯正治療を受ける割合が高くなっています。

治療方法の選択肢にも世代による違いが見られます。30~60代では表側ワイヤー矯正が主流であり、各世代で約60%を占めています。対照的に、10・20代の若い世代では表側ワイヤー矯正が約50%程度にとどまり、約30%がマウスピース矯正を選択する傾向があります。これは、目立たない矯正方法を好む若年層の意識が影響していると考えられます。

このように、矯正歯科を受ける男女の割合には違いがあり、女性のほうが矯正治療を受ける割合が高いことが明らかです。また、年齢層によって治療の選択肢や意識に違いがあり、若年層ほど矯正治療に積極的な傾向が見られます。今後、矯正治療の普及が進むことで、日本国内でも歯並びに対する意識が高まり、治療を受ける人が増える可能性があるでしょう。

矯正歯科での仕事内容は、一般歯科とどのように違うのかをご紹介します。矯正歯科では、一般歯科と異なる幅広い業務範囲と技術力や提案力が求められます。スキルを身につけることで歯科衛生士が主体となって働くことのできる分野でもあります。

矯正歯科の歯科衛生士の仕事内容って?
矯正歯科で働く歯科衛生士の主な仕事内容について、検査から治療、保定期間まで説明します。

撮影・検査の補助
矯正歯科の歯科衛生士は、歯科医師の診断をサポートするために、さまざまな検査や診断補助をおこないます。

たとえば、口腔内写真・口腔内スキャナーの撮影、エックス線撮影の補助といった業務が挙げられます。エックス線撮影装置の撮影ボタンを押すのは歯科医師ですが、スムーズに患者さんを誘導し、撮影の準備をするのは歯科衛生士の仕事です。

なお、矯正歯科で必要とされるエックス線撮影は、一般的な撮影のほか「セファログラム」と呼ばれる撮影方法があります。通常のエックス線写真とは撮影方法が異なり、誰が撮影しても同じ条件となるように、枚数や角度などが細かく定められているので、歯科衛生士は規格に沿って適切に患者さんを誘導します。

口腔衛生指導
矯正治療中は、歯磨きをしても汚れが落ちにくい状態です。装置に食べ物が挟まりやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。 患者さん一人ひとりの口腔内の状態や矯正装置の種類に合わせた適切なブラッシング方法を指導することも、歯科衛生士の仕事のひとつです。 具体的には、以下のような指導を行います。

歯ブラシ・歯磨き粉の選び方
矯正装置に適したヘッドの大きさや毛の硬さの歯ブラシ選びをアドバイスします。適切なフッ素濃度の歯磨き粉を推奨します。

矯正装置の清掃方法
装置の種類に合わせた清掃方法を指導します。

デンタルフロス・歯間ブラシの使用
歯と歯の間、装置と歯の間の歯垢を効果的に除去するために、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方を指導します。

食生活のアドバイス
糖分の多い飲食物の摂取を控えるなど、虫歯や歯周病になりにくい食生活をアドバイスします。

これらの指導を通して、患者さんが治療期間中も健康な口腔内を保てるようサポートしていきます。

保定期間のケア
矯正治療が完了した後も、歯は元の位置に戻ろうとするため、保定装置(リテーナー)を使用して歯の位置を安定させる必要があります。この期間は「保定期間」と呼ばれます。保定期間中の患者さんは定期的に通院し、メインテナンスを受ける必要があります。

保定期間中、歯科衛生士は口腔内の状態のチェックやクリーニング、歯磨き指導、保定装置の調整や再作成をする場合の歯科医師のサポートなどをおこないます。

保定期間は矯正装置をつけた期間と同じ期間、または一生涯装着するケースもあります。

なので、一般歯科と比べると患者さんが1つの医院に通い続ける期間が長く、歯科衛生士が患者さんと付き合う期間も長くなる可能性があります。患者さん一人ひとりのQOLを向上させるため、丁寧なアフターケアを提供するのが歯科衛生士の役割です。

矯正治療で後悔しないために
「歯科矯正」の看板を掲げている歯科医院はたくさんありますが、どこでも同様の治療が受けられるのでしょうか? 時間も費用も費やす治療です。
自分で納得のゆく治療を受けるために、知っておいた方がよいポイントを紹介します。

ポイント1.矯正治療を専門分野としているかどうか
矯正歯科と一般的な歯科では行っている治療内容が大きく異なります。一般的に皆さまが考える歯科では虫歯、歯周病等の治療や予防を行っていますが、矯正歯科では、歯並びや咬み合せの治療を行っています。
歯科にもいくつかの専門分野があり、実際、専門性の高い治療の際には、それぞれの分野を専門にしている医師に、その部分の治療をお願いする場合があります。(口腔内の手術や、歯列の矯正など)
また、歯科医師法では、歯科医師であれば誰でも「矯正歯科」を標榜できるのですが、一般の歯科医師になる為の大学のカリキュラムでは、歯列矯正については座学と試験のみ、実際に患者さんを担当して治療を行うようなことは有りません。(矯正治療の技術習得の為、再度大学に通う方先生もいらっしゃいます)矯正歯科医の場合は、矯正歯科医用のカリキュラムを履修しているため、実際の治療を担当するなど、卒業の段階である程度の技術と経験を積んでいます。
矯正治療を受ける際には、治療してくれる担当医が歯列矯正を専門に勉強しているか、矯正治療の経験を積んでいるかもよく確認した方がよいかと思います。