ずっと
二人きりになりたくて
場所を探していたの

隙を見て抱きしめては
離れなきゃいけなくて



彼が見つけたそこは
人の通る場所から少し離れた目立たない所で

廊下を背に
窓を向いた椅子が二つ

しばらく二人で座っていたのだけれど



彼が

手招きをしている

ミニスカートの下は

何も着ていない


座っている彼の前に立つと
すぐ裾の下に両手が入ってきて

そっと脚のラインをなぞる


廊下からは見えないけど
窓からは私の後ろが丸見え

夜だから
窓が鏡のよう

あなたからは
映った私がよく見える?

あんまり
めくらないでね
もし誰か来たら…



私の肌を
なでているうちに
彼が興奮していくのがわかる

二人とも顔に出ないけど
嘘みたいに冷静な顔だけど

肌が震えてる

息が震えてる


ヒップから脚と脚の間に
彼の指がのびてきて

さすがに

我慢できずに

小さく声が漏れてしまう



「乗って」

聞こえない声で彼が言った


私は黙って

座ってる彼をまたいで



あぁ

もうこんなに濡れて



すぐ入っちゃうよ?




やばいな

こんな格好で

どうか誰も

誰も降りてきませんように

という意識さえ

もう吹っ飛びそう


「動くな」

彼が言う

「ごめんなさい」

私は

彼の肩を抱いてじっとしていることにする


下から

わからないように

突き上げてくる

んぅ…

声にならない声


ねぇ

もっと私を支配して




物音がする度に
ぴたっと息を止めて
動きを止めて

あぁ

もう少しなのに

気持ちいいよ

すごく

もっと

先までいってしまいたい



さっきより大きい音がした


誰かくる!


私は急いで彼から降りて

自分のいた椅子に座った

彼も半分降ろしてた服を上げて

また二人とも窓を向いて


…誰かが廊下を歩いて行くのが見えた


もうここもだめだね

途中までいきかけたのにな



仕方ない、帰るか

彼がつぶやく


そうだね

躰が熱いままだけれど

もういかなくちゃ…



おさまらない
この火照りを
どうしたらいいかわからずに

黙って手をつないで歩いた


またね、
と軽く口づけをして



早く

ちゃんと抱きしめられる日が

きたらいいな
昼休み、ごはん一緒に食べない?
車で迎えにいくから

と連絡がきた

…お昼に誘ってくるなんて珍しいな

と思っていたら

パ◯ティー脱いできてね

って追加でメールがきた

…あれ、ごはんじゃないの?

と返したら

「フルコースで」だって

ふ、ふるこーす…?
まさか…
どういうこと…?

しかも平日仕事中
昼休みは一時間しかないのに



彼が何を考えているのか

わかるような

わからないような



ただ

私は

彼に会えるのがやっぱり嬉しくて



どきどきしながら
某ビルの地下駐車場へ向かった

エレベーターを降りると

待ちきれない様子で彼が立っていた

私を乗せて

彼は出口と逆方向へ車を走らせた

これってやっぱり……?



彼の車は

どんどん地下深くへおりていく

やがて

フロアの角の方に駐車スペースを見つけて

ゆっくりと近づく

そして車は

停まった




どうしても

ここで

したいって


うん…
予感的中…



誰か来たらどうするの?
と心配しても

誰も来ないよ
と彼

なんでそんな断言できるのよ…
もう…

私は観念した

いや

観念したというより

本当にフルコースを望んでいたのは自分の方かもしれないという思いが

頭をよぎった



どうか誰も来ませんように

なんて祈ってる間に

彼は助手席の位置を少し後ろにずらして

私の上に

覆いかぶさった

もう
待ちきれない?

すごく狭くて
ほとんど身動きが取れないね

でも
こんなに近くて嬉しいな

ぎゅってして



不安になりながらも

私の躰は正直だから

もうとろとろだった

本能は

どうにもできない




ねぇ

…早く…

入ってきて…


彼に腕をからめて せがんだ

彼のももう硬い……

……


んっ…

声を出しちゃだめ

キスでふさいで

そんなことすると余計感じちゃうから

彼は唇を私の鎖骨に押しあてた

ずるいよ

私どうしたらいいの

彼のシャツをつかんで

こみあげる快さに

必死に耐えながら



ゆっくり


何度も


何度も


突かれて……


頭の中が白くなっていく


ああ

どうしよう

めちゃくちゃ

気持ちいいよ……………




だめ…



もういくっ………


っ……



お互いをお互いのくぐもった声が包んで

二人で一緒に

果ててしまった




あまりの快楽に

脳が動かない




こんなこと…

もうしちゃだめだからね…



刺激が強すぎて

表の世界に戻れないよ




久しぶりのデートだったのに

ささいなことで
ちょっと口論ぽくなっちゃって

でも喧嘩しても仕方ないとお互いにわかってるから

なあなあにして

それでも駅まで車で送ってもらって

素っ気なく降りようとしたら
彼が私の腕をつかんだ

どうしたの?、と振り向いた私を

彼は抱きしめて

キスをした




(ほんとは
もっと一緒にいたいのに…)

言葉は声にならなかった

彼も何も言わずに

私の頭をそっとなでた



もう行かなきゃ

私は車を降りた



一人電車に乗って

窓の外を見つめていた

ぽろぽろ

涙がこぼれてきた


無意識はわかっているんだ

あなたとの時間が
もう長くはないこと

なんでそんな優しくするの

つらいだけじゃない…

どんなに好きでも

なにも叶わないのに

会っても躰の関係しかないのに

涙が止まらない


優しくしないで…



男の人の喘ぎ声って

たまらない

めったに声出さないのに
思わず出てしまった声

いいよね

好きだよ

もっと出して
個室の岩盤浴

初めて来た

なんであなたと来ることになってしまったんだろう



別れてから

1年以上が経っていた

久しぶりに食事をした

どんな気分になるのかわからなかったけれど

実際話したら

ただただ懐かしかった

死ぬほど恨んだ日々ももう

遠くなっていた



また会おうよ、と誘われて

再びの食事のあと、ここへ来た



男女別なのかと思ったのにな

…そんなわけないか

よく考えたらわかるのに

にぶい私は彼の本能的な策略に気がつかなくて



バスタオルを体に巻いて
岩盤浴の部屋に二人で入った

ちゃんと一人ずつ横になる場所があるのに

私の場所にきて

腕をからめて

出られなくさせた




やがてバスタオルを


はがされて


とっさに体を隠そうとする私の腕をどけて

彼は

私の胸を吸った

やさしく

舐めまわした

体がとけそうなほど

気持ちがよくて…

かつてはあんなに憎んだ人なのに

どうして……?



…彼の指が

だんだん私の大事な場所に近づいてきた



やっ…だめ……



そこにふれた瞬間

もうこぼれるほどに濡れていて

彼も思わず息をもらした

…お前こんな…

だって………

なぜか
私は涙が出そうになっていた

どうして

こんなに感じてしまうのだろう



たまらずに

彼が私の中に

入ってきた

…んっ…

喘ぐ私の声をふさぐように

彼はキスをした




心のどこかでは

きっと予感があった



あなたとこうなりそうな自分

あなたとこうなりたかった自分



違う男に抱かれていても

相手があなただったらいいのにと

想像していた自分



あなたの汗が

私のと混ざって

熱くて

熱くて

びしょびしょで

もうだめ…

そんな突いたら…

耐えられないよ…?



いろいろな思いが交錯してたのに

今の私は

ただあなたを感じすぎて

気が狂いそう



なんで

こんなに

気持ちいいの…?


あなたが
どんどん激しくなる



あぁ…もうだめだよ………


一緒にきて……

















この

降って沸いたように彼氏ができる人生

なんとかならないのかしら


不意に

唇が重なってきて

でも

抵抗する気にならなくて

あぁもうまぁいっか

って

そしてそのまま

流された


合わせた唇から

舌が入ってきて

手が私のランジェリーのホックを外し

中をまさぐって

躰が反応してしまう

私は甘い声をあげて

もう

どうにもできない


彼は
ずっとこうしたかったのだ

何年もずっと

私を抱ける日を

待っていた

わずかなチャンスを
逃さなかった

昔告白されたとき
私は断ったのに

あきらめないで
いてくれたのだ

なんかその健気さを
少しいとおしく感じた

そして
あなたを甘くみていた自分を
少し笑った

あなたも男だったのねと


胸のふくらみを優しくなぞるその手が

腰をつたって

下へ

…だめ

そこに入られたら

もう

引き返せない…

少しだけ躰をよじってみたけれど

私はすぐに

観念した


声にならない声が

二人の体温を上げていく


熱いよ

もうこんなに

濡れて…



気持ちいいよ…




抱きしめた彼の躰は

案外きれいな造形をしていた

肌がすべすべで

心地よかった

彼もきっと

同じことを思っていた


お互いの肌が吸いついていく

あぁ

もう

意識がとんじゃう…



こんなことになるなんて

誰が予想しただろうか

あり得なかったのに

でも

もういいの

今は
こうしていたい

と思えるから
彼は、私のことを彼女だと思っているらしい。

私は?

私は…


体を重ねるのは簡単だ

でも

心は

響き合わない


来るものは拒まない

去るものは追わない

でも

寂しいときはある

欲望もある



私は誰と何をしたいのだろうか?




隣で星の話をしていた彼が

突然私の鎖骨をさわる

びっくりした、と私が言い終わらないうちに

彼の指先は胸まで伸びてきて

とんがった部分を弄る

もう一方の腕で私の向きを変えて

唇を重ねる

私は

ただ

されるがままになっていた

彼がランジェリーの下へ指を這わせる

大事なところを濡らす

感じているというより

ただの躰の反射だと

私は思った

自分の感情に関係なく
もともと感度が良く
反応の速い躰をもっているだけなのだ



入れていい?

と彼はきいてくる


彼とは
心も躰もとけてしまうような交わりは難しいのだろう、と察する

入れたければ入れればいい

どうせとけられないなら

もっと激しく抱いてくれたらいいのに


それでも
数ヶ月ぶりに男と繋がった私の躰は甘い声をあげた

普段は低い声なのに

なんでこういう時だけ得体のしれない声になるのだろうか


甘く

切なく

男の本能に突き刺さる声

自分ですら
自分の声に感じてしまうくらいだ

だから
本当はソロプレイの方が気持ちがいい

好き勝手な妄想をして

自分の逝きたいタイミングで逝ける

馬鹿か

なんて
虚しくて寂しい



そんな私の思考を知る由もなく

彼は
あっという間に達した

私はもちろん
物足りないわけだけど

言っても物足りるわけでもないから

適当に余韻に浸るふりをする


私は


誰と


何をしたいのだろうか?
ベッドにもぐりこんできて

横向きに寝ている私の躰を勝手にさわる

服の中に手をしのばせて

直接肌をなでる

私は彼に背をむけているから
どこをどうされるかは予想できないけど

まぁどうでもいいか、と半ば投げやりな気分で

されるがままにしていた

彼の息がだんだん近づいてくるのを感じながら



ここが好き、
と彼がやがてその手を落ち着かせた場所は

私の腰の骨

…え、何フェチ?(笑)

まぁいいけど…


くびれからヒップに向かう途中にある

この骨が好きなんだって

何度も何度もさわる


おもしろい人ね

それ以上はだめよ

私もう寝るんだから

おやすみ
誰にでも

秘密がある


私は

墓まで持っていく秘密がいくつあるかときかれれば

あっという間に両手で数えられない数になる

うっかり

その秘密の中の一つである

過去の傷をひっかいてしまった

心の

いや

躰の奥が痛い


かなり月日が経っているから

あの頃のようなフラッシュバックはしないけれど

脳がそうやって記憶を白紙化しようとしているってことは

それだけショッキングだったってことだね





過去は消せない



けどね

今生きてるってことは

きっとまだやることがあるから

学ぶことがあるから

残すべきものがあるから

じゃないのかな


いつか

心から

誰かを愛することができたらいいな
どんなに偉くたって

稼いでたって

威張ってたって

私の前では


ただの男


この神々しい躰を
むさぼればいいだろう

好きにさせてあげる

そして

骨抜きにしてあげる


きて…