◆「文庫の面白さ」とは?
読む楽しさはもちろんでしょうが、私の場合、1冊読み終わることはまれ。
「な~んでだ?」
それは次から次に興味ある本を買ってしまうから。
ではその興味とは? まず著者、それに初版本であること。これはモチロン。ただ、同じほどに興味があるのは解説者(著者あとがきの場合もありますが、序文がユニークなこともあり)。本文を読むより解説を読むことの方が多いくらいです。
ビジュアル的にはカバー、それに帯です。ユニークなデザイン・イラストのカバー、カバーの装丁者、また帯の記載内容も本文にない文章や映画化宣伝や写真など、興味のあるところです。カバーは出版社の意図や映画化により、重版発行時にデザインが変わったりしますが、権利関係の制約により変更せざるを得ない場合もあるようです。帯は、昭和20-30年代のカバーがない文庫の時代のものから、カバー上にかけた新刊発行時専用(これは基本的には発行月のみのためのものですが、書店側では外す手間をかけずそのままになるケースもあり)、1976年から始まったシーズン販促用(「新潮文庫の100冊」や「XXXフェア」など)、また映画化時の専用、最近では著者逝去時の追悼帯も見かけます。同じ内容の本であっても、見かけが変わったり、販促扱いされると売り上げ上がるものなのでしょうが、これらの変わりカバーや、破れたり外されたりする薄命の限定帯は私にとっては貴重なコレクションとなっています。
最後に文庫の共通した特徴、そのサイズでしょうね。単行本のような場所をとらず、軽いこと(沢山集まれば床が抜けそうですが)、並んだ背の高さがそろっていることは書棚への整理に最適です。そして並んだ棚から、その日その時の気が向くままに、どれかを抜き取ってカバーを眺める、パラッパラとめくってつまみ読む。これが楽しくなれば、貴方は文庫のグルメです。
次回から、貴重な文庫、珍しいカバー・帯などを紹介してゆきたいと思います。
お楽しみに。