キック・アス観て来ました(ネタバレあり)。 | イラストレーター マルオユキヒロのへや

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ららぽーと磐田にて映画「キック・アス」を観て来ました。




入る前にR-15指定なのに気づきましたが、決闘シーンにでも少し過激なシーンがあるのかと思っていました。


観た結果、勿論決闘シーンの過激さもあったんですが、悪人の拷問や、正義の味方側の限度を超えた制裁にその理由がありました。「第9地区」や「エクスペンタブルズ」の時もそうでしたが、僕は血しぶきが上がるようなシーンが大苦手なので、その点には不快感がありました。でも映画会社が資金を出し渋ったその過激な方向性を自ら借金を負ってまで映画化したという監督の心意気のおかげなのか、その不快感を相殺して余りある魅力的な作品でした。


キャラクターの魅力として、主人公のデイヴ(ヒーロー名「キック・アス」)スーパーパワーを持たないヒーローというのは今までにもあったと思うのですが、最初に自慰っているシーンから始まるヒーローは初だと思います。しかも、一度死に掛けて金属板が入り、痛みを感じなくなった後も「しぶとくなった」だけで結局そんなには強くなっていないのも面白い要素で、観る人は主人公が途中で死んでも納得するでしょう。それだけに弱さとそれを抑えつつ悪と対峙しようとする勇気には心打たれます。勇気というよりは蛮勇ですが・・。


その代わりに影のヒーロー・ヒロインとして暗躍するデーモン(ヒーロー名「ビッグ・ダディ」)・ミンディ(ヒロイン名「ヒット・ガール」)親子は、むしろこちらが主人公と言えるくらいの存在感と圧倒的な火力で悪をいとも簡単になぎ倒していきます。二人の「おしおき」は明らかに行き過ぎなのですが、その「不気味なバットマンそっくりコスプレの男と、10歳そこそこのロビンそっくりコスプレ女の子」のキャラクター性のおかげで笑いや爽快感が起きて、やや背徳的な可笑しさがこみ上げてしまいました。


パンフレットの表紙においても、ヒット・ガールが主役のような位置にいて、題名にも彼女のイラストが入っていました。原作者や監督の彼女への愛情が感じられます。


そんな彼女も、最初は弱いのに偶然英雄になってしまったキック・アスに対して対抗心と苛立ちを感じ、途中の事件でキック・アスに憎しみも感じたりと人間味のある所が見られました。


そして、最終的には火力で敵を蹴散らす爽快感に終わらず、キック・アスの「弱い者の勇気」というテーマに立ち戻り、主人公にまたスポットライトが当たったところで終わりました。


久しぶりに面白く観られる映画に出会えたと思います。