「あー、違う、そういうことじゃないんだよなあ。」



その女性は悪気なく、きっとなんのことはなく、そう私に言った。




突然、一本の指を目の前に出しながら、
「これをじっと見て」とその人は言った。




私は目をできる限りまんまるくして、その指をみつめた。




そうしたら、そうじゃないんだよな、と彼女は言ったのだ。そしてすぐ別の子の所へ行ってしまった。





どうやら寄り目になる、と言うのが正解だったらしい。





私はその何気ない一言がショックで、しばらく愕然とした。




多分5歳くらいだったと思う。




保育園時代の、記憶に残る一場面だ。




私はこの年頃の記憶がわりとよく残っている。



でも思い出すのは、恥ずかしさとか、悔しさといった、どちらかというと、マイナス寄りの感情を伴うものばかりなのだ。