税務実務は一般に修了考査で最も重要な科目と言われており、実際に受験して私自身そう思います。
会計実務と異なり、普段の業務で触れる機会の少ない税制からの出題で、感覚を掴みづらい科目です。
受験案内には「我が国における税に関する理論及び実務全般」からの出題となっています。
同じ計算科目ながら会計学よりも暗記の色が濃く、論文式試験から時間が経ち計算方法を忘れているところに加え、新たな出題範囲も加わり、対策なしでははっきり言って歯が立たないと思いました。
多くの受験生がここに最もリソースを割いてくるのもこのあたりが理由だと思われ、しっかり対策をした人と、そうでない人で大きく差が出る科目となります。
修了考査は足切りをしなければ受かると言われていますが、実際一番足切りが多いのはこの税務実務であると思われます。合否を分かつ科目であり、対策は必須と考えて臨みました。
○税目と重要論点
税務実務は下記の税目から出題され、この中にいくつか重要論点があります。
◎法人税
・総合問題(別表四、別表一)
・連結納税制度・グループ法人税制
・組織再編税制
◎消費税
◎所得税
◎相続税
◎地方税(事業税)
○まずは既存の論点の確認から
修了考査の税務実務では、論文式試験の試験範囲外からも出題が行われます。
これらの新論点はもちろん重要性が高いですが、いきなりこれらの論点にとりかかるよりは、まず論文試験で勉強した範囲の確認をし、その上でとりかかろうと思いました。
論文試験でも範囲だった税目は法人税(別表四、別表一)、消費税、所得税です。
(最近は連納も論文範囲らしいですが、ここでは新論点として記載しています。)
この中で法人税、消費税は修了考査でも毎年出題実績があり、ほぼ確実に出題されます。また、他の受験生の完成度も非常に高いため、ここで躓くと挽回は難しいです。まずは、法人税・消費税をしっかり仕上げることを最優先にしました。
一方で所得税については、上記の二税目に比べれば重要度はかなり下がります。
税務実務はTACの答練が良く出来ており、解説も充実しています。また、答練の実施時期も本科生であれば第一回が9月上旬には手元に届き、私の場合はちょうど会計学の連結の確認が終わった頃に実施されました。
取り組める状態になったらすぐに答練に取り掛かりました。
第一回の法人税、消費税を解いたら自分がどこを間違えたのか、忘れていたかが解り、これを繰り返して忘れていた法人・消費の計算方法を再定着させました。私の場合は問題に取り組んで、ペンが止まったらすぐに模範解答を見る勉強方法だったので、模範解答がしっかりしていた税務実務答練はいきなり解き始めて止まったり間違ったりしたところの解説を重点的に読み込みムラをなくしていけました。
答練レベルの法人・消費の総合問題の難易度は決して高くありません。大体この部分を1回分で1〜2時間程度で解けると思います(最終的にはさらに短時間でできるため回転数が上がります。)
当然1回目で満点は難しいと思いますが、実施される税務答練の全4回の法人・消費の総合問題は最終的には満点が取れるレベルまで持っていくつもりで取り組みました。
各答練の法人・消費の総合問題部分は9月〜直前まで通しで、4回転程度したと思います。
また、答練で弱かった部分はテキストに戻り、周辺論点も確認しました。消費税は国境を超えた役務提供、中間納税等個別に配点がありそうなところや、課税非課税免税売上の判定等忘れていた部分の確認を行いました。
所得税は理論を中心に11月にテキストを一回通読したのみで他には全く手を付けませんでした。
○連結納税・グループ法人税制・組織再編税制・相続税・地方税(事業税)
これらの論点は私が論文式試験を受けた当時は試験範囲外でした。
そのため一から知識を入れる必要があり、集中して取り組む必要がありました。
会計実務や法人・消費の思い出しが一段落して、9月下旬から本腰を入れて取り組んだのが表記の税務の範囲だったと記憶しています。
出題可能性は[連納・再編税制]から毎年どちらか、相続・事業税は年によって出たり出なかったりと予測し、優先順位付けを行いました。
個人的な勉強量の重さは概ね再編税制>連納・グループ>相続≒事業税でしょうか。
出題可能性の高い再編税制と連納はしっかりと時間をかけないと、他の受験生と差をつけられると思い、かなり時間をかけて対応しました。
①組織再編税制
組織再編税制は答練を中心に確認を行いました。
組織再編税制の中で重要な論点は、適格要件と、適格時・非適格時の税務仕訳だと思います。
税制適格の要件がわからないと理論だけでなく計算にも響くため、再編形態ごとの適格要件を暗記しておく必要があります。私の場合は一通り答練を解いたあと、テキストを確認し全ての再編形態を横に並べ、縦に適格要件を列記し対応表を作成して適格要件の一覧表を作って暗記をしました。
また、適格・非的確時の各当事者の税務仕訳のパターンを覚えて回答を作れるようにする必要がありました。税務仕訳は制度理解ができていれば暗記ではないかもしれませんが、私の場合は理論から導くことができなかったため、直前期に仕訳パターンを暗記しました。こちらもテキストから仕訳パターンを拾ってきてノートにまとめて覚えました。
②連結納税制度・グループ法人税制
連結納税制度・グループ法人税制もまずは答練で計算の流れを確認しました。
おそらく毎年答練で出題されていると思われる、連納の総合問題で制度の全体像を確認しました。この答練の総合問題を2回転ほどして、ある程度制度概要を掴んだ後でテキストの連結納税・グループ法人税制の部分を読み、適格法人や特定連結子法人等の知識を補完していきました。直前期は答練の回転とテキストの読みなおしを行い、知識固めをしていきました。連結納税は計算方法を理論で書かせる出題が多いため、答練+テキストで得点をのばしやすい範囲だと思います。
連納の勉強を始める前に単体の法人税の別表調整を先に思い出していたため、スムーズに定着が図れたと思います。
連結納税・グループ法人税制と組織再編税制の出題はローテーションで、どちらが出るかはある程度は予測していましたが、ヤマは張れないと思い上記のようにどちらも対応しました。結果としてこの年は再編税制は出題されませんでしたが、このあたりでヤマを張るのは非常にキケンだと思います。試験の終わった今でも両方やっていてよかったと思っています。私の場合は税務実務の勉強時間のほとんどをこの2つに使いました。
③相続税
相続税は上記に比べれば若干重要性は下がりますが、完全に切ってしまうのは怖かったため、答練で出題される基本的な計算構造程度は抑えておきました。本当は事業承継税制もしっかり対応できればよかったですが、私の場合は答練の出題をなぞるので精一杯で、相続税についてはそれ以上の対応はできずに本番に臨みました。勉強時間を通して4〜5時間程度しか対応していないと思います。
④事業税
事業税も時折出題がある範囲で答練にも出題されます。連結納税と組織再編税制の対応に追われていた私は後回しにしていましたが、切るのは避けたほうが良いとの判断で12月に入ってから間に合わせで3時間ほどで表面的なところをさらっと確認しました。その結果私が受けた平成30年度は出題され如何ばかりか得点を稼ぎました。が、逆にもっとしっかり時間をかけていれば伸ばせた部分でもあり、助かったような悔しいような複雑な範囲となりました。
その他、この年はタックスヘイブンがニュースで話題になっており、答練にも出題されていたため、やはり4時間程度かけたと思います。
●反省点
色々と勉強方法を書いておいてなんですが、私の税務実務対策には反省点があります。
実際に修了考査を受験して、税務実務の科目が最も手ごたえがありませんでした。
先ず、消費を十分に得点することができませんでした。半分程度は得点できたと思いますが、しっかり守れると思っていた部分でかなり削られたと感じました。見慣れない出題形式も相まってうまく得点に結びつけられず焦った記憶があります。消費税は問題演習にもう少し時間を使えばよかったと思います。
また、結果的に出題されず助かりましたが、相続税はもっと手厚く対応しておくべきでした。年度によってはある程度の規模で出題されうる論点であるため、消費税と同じくらいの時間はかけてもよかったかもしれません。
事業税については上記の通りでここも、対策していた割に中途半端な点数になりました。
結論から言うと、税務に時間をかけていなさ過ぎました。私が税務に充てた時間は合計で86時間ですが、これは短すぎました。幅広く対応していたつもりではありますが、その分の時間不足から広範囲の詰めが甘くなりました。
上記反省点を改善するのであれば、監査実務(89時間)の時間を半分程度税務に充てて上記の対策を行うことだと思います。
仮に私がこれから受けるのであれば確実にそうします。
一方で合格できたのは、各論点の最低限の部分を得点できたためだと思います。埋没問題を避け、拾えるところを積み上げるような方法で得点を稼いだと思います。また、連結納税はしっかり解けたのでこのあたりが得点源になったかなと思います。
時間配分(過去問1/10、答練5/10、テキスト3/10、ネット・補修所教材1/10)
上記、勉強時間が短すぎるという反省点はありますが合格自体はできたので、全体の進め方自体は大きく誤ってはいなかったのではないかと思います。
重要論点の答練の回転で効率的に論点確認を行い、それをテキストで補完して全体の完成度を高めれば積み上げで点数は稼げると思います。
また、税務の答練は効果的ではありますが、それだけで網羅できるかというと否で、テキストに戻って周辺論点を確認したこともプラスになったと思います。
私個人のスケジュール感としては8〜9月上旬で既存の論点確認、9月下旬に新規論点の着手、10月は決算業務で勉強できず、11月は連納・再編税制の詰めに全精力を注ぎ、直前期は全体の確認、テキスト読み込みで本番に臨みました。会計実務もそうですが計算は11月中にある程度終わらせ、12月に入ってからは理論科目などの直前暗記に当てました。
