遅刻常習犯の僕です。上江洲です。今夜もあなたのやり方で抱きしめて。

 本日の平山さんのエントリーを読みまして、僕も「壁」について言及してみようかと思いました。
 やはり同じく、アニメ屋の僕が、PCゲームという勝手の違うステージで感じる新しい「壁」についてです。

 平山さんたちはphot shop、僕らは秀丸(エディタソフト)と、 手の動かし方は違います。
 が、表現者として、同種の葛藤があります。
 文章書きは文章書きで、愉快な台詞はもちろんのこと、空気、体温、時間——そういったものをどうやって行間から感じてもらおうか、試行錯誤しておるわけです。
 今回ならば、どうやって学園生活を楽しんでもらおうか?——と。

 例えば僕の場合、ギャグで落ちがつく類の作品などは得意ではありますが(ご存じの通りです)、こと恋愛物語においては、これでもかと筆が重くなります(『スクイズ』も『あかね』も物凄く時間が掛かっているんですよ、実は)。クライアントが泣き出すほどに筆が遅くなります。
 あまりにも上がらないので、「もうどうしたらいいのかわかりません!」と、本当に泣かれたこともあります。おっと、閑話休題——。

「壁」についての話でしたね。
 それはずばり、本作が18禁であるということです。
 普段がんじがらめの分、むしろ規制の枠が取り払われて、自在に描けるのではないか。そう思ったのは……甘い考えでした。
 僕は8年間の執筆業生活の中で、局の自主規制を破らないように物を描く、放送コードマシーンとなっていたのです。なってしまっていたのです! 自覚の無いまま!
 自主規制しなくてよい。
 自由であること。
 身に余る喜ばしい条件。

 だというのに……。
 女性を表現することに規制が(あまり)ないことに。
 喜び勇んで飛び跳ねる前に、僕はまず……途方に暮れてしまったのです。

【この項、続く】

 ——おっと、先にオチを記しておきますが、『se・きらら』はエロエロに仕上がっていますよ。