以下が、安全保障関連法案の骨子である。
一、自衛隊法、武力攻撃事態対処法など10の改正案を「平和安全法制整備法案」に一本化
一、自衛隊海外派遣を随時可能にする恒久法は「国際平和支援法案」
一、日本と密接な関係にある他国への攻撃に伴う「存立危機事態」で集団的自衛権行使が可能に
一、地理的制約を受けず他国軍支援を可能にするため周辺事態法を「重要影響事態法案」に改正
一、国際平和支援法案に基づく派遣は例外なく国会で事前承認
一、国連平和維持活動(PKO)協力法改正で任務遂行のための武器使用解禁
(参考)安全保障関連法案の要旨
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201505/2015051400710&rel=j&g=pol&relid=1_4
まずは一つ目の自衛隊法などの10の改正案を「平和安全法制整備法案」に一本化。
そのなかのいくつかに意見を。
自衛隊法に追加されるのは、日本と密接な関係にある他国への武力攻撃により、国家の存立が脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険のある事態に自衛隊が出動するというもの。
この存立危機事態なる考え方が怪しい。
密接な関係の国とは安保条約を締結している米国を前提としていることは明白。
その米国が武力攻撃を受け、日本の存続が危ぶまれるときに出動する。
「国家の存立が脅かされ…(中略)…明白な危険のある事態」とは、日本への経済制裁や侵略そのものである。
米国や米国軍への武力攻撃そのもので、日本国の存立が脅かされるか甚だ疑問である。
米軍駐留基地への攻撃を想定か? 住所表示は米国番地でも、れっきとした日本領土である。
日本領土への侵略は自国で自衛隊が守るのだからまだよい。
しかし、政府が言うように、ホルムズ海峡まで行って米国を警護するために自衛隊が出動するのか。
たしかに原油は必要である。原油の多くを中東に依存する日本としては確かに重要ではある。
それだけで国家存立の危機といえるか。
また、権利追求の下限はどこなのかも明らかではない。
日頃から、外交努力によって危機管理をしておくべきなのであって、そのこと一つだけをとって積極的に自衛隊が海外へ打って出る必要は感じられない。
自国の領土領海領空の警備にあたる自衛隊だからこそ、国連や諸外国も自衛隊を認めているということを忘れてはならない。
また、自衛隊法改正では、在外邦人の保護にも自衛隊があたるという。
自衛官自身や保護対象邦人等の身を守るためには武器使用も認めるという。
国家としての自衛力行使と、一個人の命を守ることを同一視してはならない。
保護任務遂行のために相手を撃つ。それこそまさに戦争の始まりである。
在外邦人の命を守れない可能性が高いことは残念ではあるが、自衛官の任務は武器を使用することのない、最小限の範囲に留めるしかない。
一個人を守る為(一任務遂行の為)に、国家を戦争に巻き込み(加担させ)存亡の危機にあわせる(あるいは国民全体を危険にさらしてしまう)のは本末転倒というもの。「木を見て森を見ず」と言わざるを得ない。
国連平和維持活動(PKO)協力法の改正は、国際連携平和安全活動の新設と、協力する業務が追加されるというもの。
追加される安全確保業務(住民の危害防止や監視、警護)や駆付け業務(不測の侵害、危難時の保護)により、グレーゾーンといわれる地域での任務が増えてくる。
だから、宿営地が攻撃を受けたときは武器使用を認めるという内容が必然的に盛り込まれる。
これまでは非戦闘地域での活動に制限されていたが、いわゆるグレーゾーンといわれるところまで活動範囲を広げるから、このような武器使用を認める内容が盛り込まざるを得なくなる。
これまた本末転倒である。
周辺事態法の改正については、自国領域の防衛という意味からはある程度致し方ない。
気になるのは、外国との連携を強化ということで、外国領域でも当該国の同意があれば実施できるということ。
当該国の同意があれば、米軍以外の外国軍の後方支援活動等をおこなうというもの。
つまり、外国に出ていく可能性があると言っている。(ほぼ100%可能性があると言える)
自国領域外での戦闘に巻き込まれる可能性があるということ。
その他、船舶検査活動法や武力攻撃事態対処法、米軍等行動関連措置法、特定公共施設利用法etc.の改正は上記の改正に付随するもの。
そして、自衛隊海外派遣を随時可能にする「国際平和支援法案」。
これも当該国の同意があれば外国領域における対処措置(武力による威嚇や行使でないもの)を行うというもの。
PKO協力法に似てるようにも思うが、
日本が勝手に「国連憲章の目的に従い」活動しますといっても、国連はそんなことは認めちゃくれない。
日本は国連の中ではいまだ安保理常任理事国等の敵国扱い(憲章53条)されているのだから。
そこの位置づけは甘く見てはならず、十分に認識しておかなければならない。
などなど、法律の素人が考えてもなんとも危ない法案や改正案ではないかと思う。
安部政権や政府の見解では「米軍は集団的自衛権を行使して日本を防衛をするが、日本は集団的自衛権を行使することはできない。」という。
だから、日本の周辺国有事の際、出動した米軍が公海上で遭難したときに自衛隊が救助に当たっていても、敵国から攻撃を受けたら逃げ出さなければならないという。
そもそも周辺国有事で米軍が出動するということは、日本や日本領土・領海への侵略・攻撃となる可能性が非常に考えられる場合であるので、当然に自衛隊は活動でき、逃げ出さなくても良いのである。
へんなところで捻じ曲げた話を持ち出すから、理屈が合わなくなる。
自国を守るなら、個別的自衛権の強化、つまり、自衛隊による領土・領海の防衛力の強化を考えて頂きたい。
米国の属国・傀儡の国「ニッポン」へと突き進もうとする安部政権。
ほんとうに「美しい国・日本(にほん)」を目指しているのか甚だ疑問である。
このまま安保関連法案を通してよいか、よく考えて頂きたい。