実力診断を終えて見えた声優志望者の実情
ご無沙汰しております。声の実力診断というものを実施し、自分で自分の首を絞めるような苦しみを味わいましたが、やっと全員に返信し終えた所でこの記事を書いています。今回は300~400人位の声優志望者から声を送って頂きました。夏休み期間という事もあってか、学生さんが多く参加してくれたように思います。もし、まだ返事が来ていない、などというような事がありましたらメールをください。至急対応させて頂きます。さて、本題に入ります。何からお話していいのかわからない位に色々な事がありましたが、まず、この実力診断で感じた一番大きな事は…『皆、表現が同じ』という事です。驚くべき事に、作った声まで一緒なのです(笑)驚くを通り越して若干呆れました。台詞①では、かわいい声であったり、かっこいい声を台詞②では、悪役っぽい低めの声ナレーションでは、ただ字面を追うだけの普通の声あの題材に正解はありませんが、皆が皆、同じような表現という事はそういう発想になってしまう人が沢山いるという事ですが、百歩譲ってそれで良しとした所で、そのラインで勝ち抜くにはやはり、私が常々言うような『容姿の良い子』である必要が出てきてしまうわけですよね。かわいいという個性で勝負したい、かっこいいという個性で勝負したい、という人が多い、というのであれば良いですが、わけもわからず、それっぽい声を出してそれが芝居だと勘違いしているような人が殆どだと私は思います。とは言え、レッスン生でも無い限り、声を作るだけになってしまうのは理解できます。仕方の無い事です。レッスンを受けている養成所生や専門学生の場合も、基本的には上記したような感じの人が多かったのですが、レッスンを受けていると多少芝居を詰め込もうとしてきます。それはそれでいいのですが、その芝居も皆、同じような芝居が多いのです(笑)面白いですよね。どこかでそのようなテンプレートがあるのでしょうか?昔は人と同じような表現なんてやる位だったら役者を辞めた方がマシだ、なんて言う人もいた位に人と同じ事をやるのを嫌がる人が多かったのですが、最近はその逆なのでしょうか?ハッキリ言わせて頂くと、誰もが思いつくような芝居なんて面白くも何ともないですし、お金になりませんよ。プロってそういう仕事じゃありませんから。養成所に長年通っている人も沢山参加して頂きましたが、素人よりも滑舌が悪いような人も沢山いましたし、芝居も全然できないような人が本当に沢山いました。ごく一部の人だけ、というのであれば理解できますが、沢山いた事に本当に驚きました。一体、今の養成所では何を教えているのだろうか…とますます養成所の教育に不信感を抱きました。ここから先の話は私の憶測ですが…私の想像以上に今の養成所の講師というのは生徒を甘やかしているのだと思います。『日ナレの研修科です!』なんていう人が基礎科並みの滑舌であったり芝居であったりする人が平気でうじゃうじゃいるわけですから本当にビックリしました。生徒に厳しくできない、なんていう講師をやっている声優の口からよく聞く言葉ですが、ここまで酷いとは思いませんでした。もはや、講師の意味があるのかどうかを問いたい位です。声優を目指している皆さん…特に私のブログに群がってくる凡才諸君は特に良く聞いて欲しいのですが…『養成所内だけで自分を判断すると痛い目を見ますよ!』生温い環境でプロになれるのは天才だけです。その天才を育てる為のレッスンを凡才諸君が受けていても凡才諸君はプロにはなれません!講師が厳しくしてくれないのであれば、自分で自分に厳しくするしかありません。しかし、それには限界があります。きっとそんな事が可能な凡才はいないと思います。昔は講師が厳しかったので凡才でもプロになれる可能性はありましたが、今の教育では凡才がプロになるのは難しいです。養成所はチャンスを掴みに行く場、と割り切り、外部にスキルアップを求めなさい。今は色々なワークショップが沢山あります。勿論、ピンからキリまであるので素人が選ぶのは危険ですが、そういう場所にスキルアップを求める時代になってきたのかもしれません。詐欺みたいなワークショップも沢山ありますので、ワークショップに参加する前に私に相談して頂ければちゃんと助言します。大変な時代だなという事を、実力診断をやってみて痛感しました。私の返信メールに傷ついた人も多いでしょう。辛口過ぎると思った人も多いでしょう。しかし、それがプロの世界で生きるという厳しい意見なのです。しかも、私も優しい言葉を極力使うようにしましたので声優業界の現実と比べたらまだまだ甘いです。私のような似非偽善者ではなく、本当の厳しさを教えてくれるような師に会える事を祈っています。何かあればいつでもメール下さい。相談に乗ります。