ステロイドとは、もともと人の体の中で作られているホルモンをまねて作られた薬です。
その元となるのが「コルチゾール」というホルモン。
腎臓の上にある小さな臓器「副腎」から分泌されています。
コルチゾールの役割を一言で言えば、「体を守る消防士」です。
炎症という“火事”が起こると、コルチゾールが出動して炎症を鎮め、
熱や痛み、腫れ、かゆみを落ち着かせます。
また、ストレスがかかったときには、体を緊張から守り、血糖を維持して脳にエネルギーを送る働きもします。
つまり、コルチゾールは生きるために欠かせない“ストレス対応ホルモン”なのです。
ステロイド薬は、このコルチゾールを人工的に再現したものです。
塗り薬・飲み薬・注射など、さまざまな形で炎症やアレルギー反応を抑えるために使われます。
たとえばアトピー性皮膚炎、喘息、リウマチ、自己免疫疾患など体が過剰に炎症を起こしているときに、
ステロイドはその火を一気に消し去ってくれる強力な“消火剤”です。
ただし、この薬には“強すぎる”という一面もあります。
外から人工的なコルチゾールが入ってくると、体は「もう自分で作らなくていいや」と判断してしまいます。
このとき、副腎の働きが一時的に休んでしまうのです。
長期間この状態が続くと、脳と副腎の間で行われているホルモンの連携(HPA軸)が鈍り、
副腎が「自分でホルモンを作る力」を失っていきます。
すると、薬を急に減らしたりやめたりしたときに、炎症や不調が一気に戻ることがあります。
これがいわゆる副腎抑制やステロイド依存の状態です。
ステロイドは「悪い薬」ではありません。
むしろ、命に関わる炎症を抑えるなど、現代医療ではなくてはならない薬です。
ただし、その強さゆえに、使い方を誤ると体の自然なホルモン機能を弱めてしまうことがあります。
大切なのは、「ステロイド=敵」と思うことではなく、
「ステロイド=体の消防士の代役」だと理解すること。
必要なときに、必要な量だけ借りて、あとは体の消防士(副腎)に仕事を返していく。
それが本来の、正しい付き合い方です。





