小池浩二氏の [プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ (10)
【プレイングマネージャーの技術編 教育シリーズ 全4回】
第1回目「仕事の基準・目安をつくろう」
小池浩二氏（マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役）
■仕事の実務能力アップにおける中小企業の実態
この表は成長している企業でアンケートを取った結果ですが、人財育成に関するテーマは、本人・職場・会社の３テーマに集約されます。
中小企業における人財育成の根本的問題は、自社の仕事内容が把握されていないことにあります。
自社の仕事の中で、社員は何ができ、何ができないかが確認できない。あるのは実績としての生産性が十分かどうかで判断するしかない。そうなると、数値目標の達成をベースにしたモノサシしかなくなり、社員の成長プロセスを業務面から追えなくなります。
仕事の知識・技術で何ができていないから、目標を達成できないのか？
何ができているから目標を達成できているのか？
この因果関係が把握できないから人が育ちにくいのです。仕事のカンどころを上手く掴む社員はよいが、それができない社員は自社の仕事を覚えることができません。結果、社員が成長しにくい環境ができあがります。
此処にも中小企業の特性が出ています。
・専門の教育部署がない
・属人的で『人』に頼りすぎる
・必要な知識・技術の標準化がない
・上の人間が忙しくて、定期的に教える時間をとっていない
・本人のやる気が継続しない
・会社として人を育てる環境整備が乏しい
これが悪いと言っているわけではなく、生きていくために必死で、そこに「時間・労力・知恵」を回せないだけの話です。
■仕事の達成レベルを早める方法
仕事を教えやすくするためには、仕事を分解することです。仕事を分解するとは、仕事の種類を理解し、仕事の遂行について、その手段・方法を解りやすくするためです。
その分解の方法だが、、
・部門毎の業務全体像と大分類となる業務を把握
・そして、大分類ごとに中分類を設定
・中分類が職場の中核となる業務で、定型的な単位作業としての仕事を細かくしていく
・中分類ごとにその仕事の手順を小分類として設定し、更にカン・コツ・ツボをまとめる
つまり、職場の中核となる中分類・小分類が教える仕事となるのです。
そうすると、職場の中核となる中分類・小分類の仕事を覚えるスピードが速くなります。中小企業が個人商店の集まりといわれる要因は、この仕事のカン・コツ・ツボを会得する方法が個人任せになっているからです。
つまり、共通の判断基準を社員に植え込むことにより、成長は著しく早くなります。
例えば、料理のレシピ本を見るより、料理番組やYouTubeを見て料理をするほうが、コツを教えてくれるので簡単に料理はできることと同じ理屈で、これがスピードアップのポイントです。
■仕事に人の能力を合わせるから生産性がアップする
仕事に基準・目安（手順・工程・時間・指標）があるから、複数の人が同じ仕事をできるようになります。仕事の基準・目安がないから、中小企業がかかりやすい個人勝手主義のバラバラ集団になるのです。人に仕事を合わせるから、現状の能力だけで、仕事をやろうとすることになります。
また、その人のやっているやり方が正しいかがどうかも周りはわかりません。
人に仕事を合わせるやり方ではなく、仕事に人を合わせるやり方が必要です。
仕事に人を合わせると「何ができ、できないか？ それはどのレベルでできているか？」を測ることができます。
つまり、仕事の基準・目安ができるからです。
その足りない部分がその人にとっての教育テーマになっていくのです。
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■ 小池浩二氏 （マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役）
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
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筆者 小池浩二氏が
【プレイングマネージャーの仕事術】の概論を
YouTubeで説明しています
http://www.m-a-n.biz/8-1-0.html