「米国・オバマ大統領の広島訪問に対する韓国人の一つの反応について」(真田幸光氏) | 清話会

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米国・オバマ大統領の広島訪問に対する韓国人の一つの反応について

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)


オバマ大統領が米国の大統領として、
「被爆地・広島訪問」
をしたことは、様々な意味でエポックメイキングなことでありました。

「核廃絶」
を、核保有国であり、世界のリーダー国家である米国の現役トップが唱えたことを、私は、本当に、
「素晴らしいことである」
と認識しています。

もちろん、現実は厳しいとは思いますが、しかし、それでもその「現実」がこれによって、一層、
「核軍縮」
に向かうことを祈るばかりであります。

しかし、ここで、お気付きの通り、オバマ大統領は、
「日本に対して謝罪をする」
と言う行動には出ませんでした。

米国のトップを預かるリーダーからすれば、謝罪をしなかったことは、
「ごく自然な行動である」
とも言え、日本の被爆者の方々に、これに対するご不満があり、私としても、オバマ大統領が、
「苦しみを掛けたね」
と言うくらいの一言を掛けてくれればよかったのにとは思いましたが、しかし、オバマ大統領の立場からすれ

ば、やはり、
「謝罪までは出来ない」
と言うことに私は理解をします。

ところで、オバマ大統領のこうした広島訪問を横目で見ながら、韓国人被爆者でつくる「韓国原爆被害者協会

」の会員らは、ソウルの在韓米国大使館前で記者会見を開き、広島を訪問するオバマ米大統領に対して、
「米国はこの71年間、私たちに対しては何の謝罪もしてこなかった。」
と米国に対して、非難とも思えるコメントを示した上で、謝罪と賠償を求めました。

韓国政府によると、広島・長崎で約7万人の韓国人が被爆したと推定されており、今年4月現在、韓国居住の

韓国人被爆者は2,501人となっており、これらの人たちが動いたと言えるのであります。

これら韓国人被爆者からすれば、
「我々韓国人被爆者は、米国が戦った相手である日本の国民ではなく、むしろ、米国が戦った日本に苦しめら

れた被害者でもあり、更に、その被害者である我々は、米国が投下した原子力爆弾によって更なる苦しみを味

わった被害者である。
米国の戦争対峙国である日本に対して米国は謝る必要はない。
しかし、韓国人被爆者に対しては謝罪と保障をすべきである。
我々は明らかにダブル被害者である」
といったこととなるのでありましょう。

そしてまた、こうした言動を示す韓国人の心の内面には、
「今回の広島訪問も含めて、最近では何となく、様々な意味で何となく日本に配慮しているように見えるオバ

マ大統領に対しての不満、或いは拗ねて見せているような心」
があるような気がしてなりません。

また、こうした韓国人の精神構造は韓国政府筋にも垣間見られると見ており、こうしたことを基として考えて

行くと、
「韓国は、米国に当てつけるように、再び、米国離れ、中国本土接近のような行動に出てくるかもしれない」
とも思えるのであります。

動向をフォローしたいと思います。




真田幸光------------------------------------------------------------
清話会 1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・東京三菱銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している

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