「生き様を賭ける中小企業の社長、面子を保つ大企業の社長」(小池浩二氏) | 清話会

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小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (5)
「生き様を賭ける中小企業の社長、面子を保つ大企業の社長」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■型は心を宿さない挨拶訓練

大手企業は何かと世間を騒がすと経営陣が揃って挨拶をする。
気を付けの姿勢で腰から頭の天辺まで一直線に伸び、角度も60度ぐらいで非常に挨拶訓練としては高い点数を出している。恐らく会見前にチーム挨拶訓練をしているはずである。そうしないとあそこまで複数人数の挨拶は揃わない。
型は心を宿すと昔から日本ではいわれる。しかしTVで観るからには心を宿した挨拶とは感じない。

記憶にあるところでは某重電メーカー、某自動車メーカー等と一流企業と呼ばれる企業である。
不正経理、データー改ざん等その理由は様々だが、本当に経営者が責任を取った例がどのぐらいあるだろうか?
会見でよく耳にする言葉は『再生を果たし、経営基盤をしっかり固め、後輩に譲る事が経営責任と考えている』とまるで、録音の再生みたいに多くの方が述べられる。

■経営者が責任をとるとは

中小企業で同じ状況が発生し、後継者に譲る事が経営責任と考えている等と話したら、その時点で復活の道を塞がれるだろう。ましてや現実は経営責任を取る内容が違う。

一流企業は一流と言われ、信用され、尊敬の念で見られるから、自分たちに厳しくなければならない。それなのに、経営責任を取らないとは何とも、言い尽くし難い事が起こっている。

勿論それを決めるのは会社であるから、大きなお世話であるが、経営姿勢は商品である事を忘れてはいけない。
経営者が責任を取るとは、一夜にして個人の資産を投げ出す事であり、これまで築いた信用も無くすと同時にその生活を強いられる事である。

■面子が剥がれるぐらいなら、た易いものだ

某乳業製品騒動と同時期に同要因が発生した会社がある。
九州佐賀県の葉隠れうどんである。私は福岡の出身なので、よく子供の頃食べていた。
企業規模も地方の食品会社としては中規模で根強い人気はあった。しかし食品事故を起こし、あっという間に倒産した。
これが中小企業の現実である。
面子を削がれるぐらいなら、いくらでも削いでくれ。しかしそれだけでは終わらない。必ず、個人の債務保証がくる。

■なりふり構わない社長達

I社長は若いが、必死になって恥を忍んで、体当たりして倒産を免れた。どうしても色々手を尽くしても決済資金として1,000万円足りない。政府系金融機関に頼みにいくが、その当時の貸し渋りで全く相手にしてくれない。

明日、倒産かと思いがめぐる中、全く面識もない地元選出の代議士に連絡を取ろうとふと思いついた。直ぐに連絡をとり、秘書にあって窮状と貸し渋りの現状を訴え、理解してもらい、何とかピンチを脱した。

B社長は民事再生法の適用を受けた。
民事再生法の適用を受けると金融機関からの借入は出来ない。常に現金で回していかねばならない非常に経営としては厳しい運営方法を強いられる。このB社長は恥も外聞も投げ捨てるだけはなく、性格を全く変えた。

どんな仕事でも取る、どんな小さな繋がりでも仕事を取る鬼になった。あれから6年経ち、B社長から連絡があった。涙ながらに民事再生企業の終了を裁判所から認められたと本当に嬉しそうに話をされていた。

■小さくても自立して運営する事の素晴らしさに誇りを感じる

社長の器が会社を決める。
器とは磨く事でもあり、その磨き方が経営者の生き様でもある。
小さくても、存在理由があるなら、価値ある会社として生き残れる。
大きくても、働く社員の不満が多く、社内の統制がとれずにお客様に迷惑をかけてしまうならば、存在する理由がない会社となり、無くなる。


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■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。


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         筆者 小池浩二氏が
  【中小企業に必要な経営の技術】の概論を
      YouTubeで説明しています


      http://www.m-a-n.biz/3-3.html

         是非、ご覧ください
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