中国最大手検索サイト百度(BAIDU)李彦宏の経営哲学(3) | 清話会

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曹 鶯(ソフィー)氏の中国人企業家レポート

中国最大手検索サイト百度(BAIDU)李彦宏の経営哲学
(第3回 〔全3回〕

曹 鶯氏(株式会社WealthDots代表取締役社長)
http://www.wealthdots.jp/profile.php

※第2回めはこちら。


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【李彦宏から見る中国のIT発展】

2010年1月CNNIC(中国語インタネット情報センター)の数字によると、2009年12月31日まで、中国のネット人口は3.84億人に達している。
これはおよそアメリカの総人口に達している。中国は世界で最も大きいインターネット国家になったと意味している。

1996年李彦宏はアメリカから帰国した当初、講演でインターネット、WEBなどの話をしたら、大半の人は理解できなかった。
参加者はSF小説を聞くかのように李彦宏の話を聞いていた。

1998年、李彦宏はもう一度帰国して講演した時には、ITのことが理解できる人がずいぶん増えた。
徐々に名刺にメールアドレスを書く人も現れてきた。

李彦宏から見ると、中国のインターネットのこの10年間の発展は、4つの段階に分けることができるという。

第1段階はポータルサイト。

当時まだインターネット上の情報が少なく、情報が分類し整理されているポータルサイトに需要があった。
中国でSINA,SOHU、日本ではYahooなどが代表されている。

第2段階はネットゲーム。

この分野では韓国と日本はとても進んでいる。
中国は最初韓国のSHPAのネットゲームを導入して大ヒットした後、地場系のネットゲーム会社も徐々に表れてきた。

第3段階はネットワークアニメーションイメージ(Network animation image)。

これはグローバル的なトレンドでもある。中国ではTencentが代表的な会社である。

第4段階は検索エンジンとその応用。

検索エンジンの商用価値は近年どんどん認識され、ビジネス上での応用方法もたくさん出てきた。
韓国ではNaver社が代表的で、日本ではヤフーとグーグルが成功している。



【李彦宏の経営哲学】

百度(BAIDU)は2000年から検索エンジンの開発からスタートし、最初は企業のための技術提供だったが、
のちに独立検索エンジンを打ち出した。10年の間、非常に速いスピードで成長を遂げてきた。

2006年を例にしてみると、この年百度(BAIDU)の成長率は160%で、中国のGDPの成長率は10%前後、
広告産業の成長率は20%近くで、ネット広告の成長率は40%である。
検索エンジンの会社の成長は著しい。

李彦宏は百度(BAIDU)の成功を4文字にまとめている。

それは、「集中と継続」である。

10年以来、百度(BAIDU)はたくさんの誘惑に耐えてきた。
ショットメッセージャー、ネットゲーム、ネット広告などなど、これらは早くキャッシュが生まれるものだった。
でも百度(BAIDU)は誘惑に負けず、10年変わることなく、1点集中して検索エンジンをやってきた。
上場する時、たくさんの人は「なぜ百度(BAIDU)は強い競争相手に勝つことができたのか」と質問するが、李彦宏の答えは1つ、それは集中です。

10年間、百度(BAIDU)はたった1つだけのことしかしてこなかった。それは検索である。
集中して、どこよりも優れたサービスを作ること。それは李彦宏の理念。
ほかよりちょっといいくらいじゃ足りない。ダントツすぐれたものに固執する。
集中し、そして、絶えずイノベーションすることだ。

百度(BAIDU)はすでに7000人の会社に成長した。
社員ならだれでも知っている百度(BAIDU)の29条がある。
この29条に李彦宏の経営哲学が見事に反映されている。

百度(BAIDU)の企業文化29条
1、 自分の得意なことをする
2、 決めたらやる。惑わされない。動揺しない。
3、 1点集中
4、 完璧主義で仕事に臨む
5、 少なく約束し、多く実現する
6、 データ重視
7、 問題からヒントを得る
8、 上司に盲目に従わない
9、 人にではなく、物事に。
10、 イノベーション
11、 試行錯誤
12、 常に変化、どんどん上のレベルに目指す
13、 学習意欲
14、 新しいことを挑戦する場合、まず他人のやり方をみる
15、 高効率執行
16、 共通問題はシステムで解決する
17、 あなたは1人ではない
18、 部門間の壁を打破
19、 積極的にシェア
20、 絶対に優秀な人材を探す
21、 最も自由な空間を提供する
22、 事実で自分を証明する
23、 最も重要な能力は判断力
24、 床に落ちたごみをひろう
25、 百度(BAIDU)は李彦宏だけの会社じゃない。百度人みんなのものだ。
26、 お客様のニーズはすべてを決める
27、 たくさんの人の意見を聞き、数人と商談し、自分で決める。
28、 人助けして、自己実現する
29、 会社は倒産するまで永遠に30日間

ラジオが普及するには50年かかり、テレビは40年かかった。
インターネットはわずか4,5年、そしてFacebookは9か月しかかからなかった。
今の社会は猛スピードで変わっている。絶えずイノベーションしないと市場に淘汰されてしまう。
「私は永遠のアントレプレーナーです。」李彦宏はいつもそういっている。

大学生から起業家、李彦宏は絶えず成長している。
アントレプレーナーとして、事業が頂点に達したと思ったことがない。
彼にとって、未来はよりエキサイティングでより希望に満ちている。

                                       (完)


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曹 鶯(そういん)
㈱WealthDots〔ウェルスドッツ〕 代表取締役社長)

上海外国語大学日本文学部卒。慶応義塾大学大学院卒。JALがスポンサーの上海市大学生日本語スピーチコンテストに優勝し 初めて来日。 大学院在学中慶應義塾高校非常勤講師兼任、NHK中国語講座出演。 大学院卒業後、楽天㈱に新卒入社。楽天トラベル国際事業部を経て、楽天市場国際事業部に移動、唯一の中国籍の社員として楽天台湾事業の立ち上げに携わる。
2009年8月より「日本と中国の架け橋」になりたいという想いから独立を決意。 ㈱WealthDotsを創業し代表に就任。中国大手セミナー会社超越極限集団の日本提携パートナー。人材育成の面において、中国人留学生向けの研修セミ ナーも不定期に開催し、講師をつとめる。


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■講 師  曹 鶯(そういん)
(㈱WealthDots〔ウェルスドッツ〕代表取締役社長)

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