「中国ビジネス超入門」  小島正憲氏 | 清話会

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「中国ビジネス超入門」  
平沢健一著  産業能率大学出版部  6月26日
副題 : 「成功への扉を開ける」  

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帯の推薦の言葉 : コマツ専務執行役員 中国総代表 茅田泰三氏
 「違いを知り、違いを乗り越えて 中国とグローバルでの現場主義の実践に基づき、
中国ビジネスを解き明かす!
  日本人、中国人幹部候補のための待望の“超”入門書である。中国ビジネスに関心
のある方、学生の皆さんにもおすすめしたい」

著者の平沢健一氏は、私が日頃、いろいろとお世話になっている方である。先日、その平沢氏から「誰にでもわかるように、簡単な中国ビジネスへの入門書を書いたので読んでみて欲しい」という連絡が入った。

さっそく読んでみたところ、世にありふれているハウツー本とは一線を画した格調の高
い本であった。私は中国ビジネスの入門書というより、私たちのような中国ビジネス経
験者が、復習の意味でも読む価値がある本だと思う。

平沢氏は自身の長年の米国・欧州・中国のビジネス体験を踏まえて、「“性善説”だけで御していけるのは、日本だけだと理解しなくてはならない。国際的な“行動原則”は“性悪説”が主流だ。欧州でも筆者が長く過ごしたイタリアは、マキャベリの“君主論”が政治の中心的な思想=覇道となって、その後の英国はじめ他国に広まり、その英国が主導したアヘン戦争以降、各国が競い合って中国を植民地にしていったものと思う」と書き、「中国には“性悪説”で鍛えられた海千山千の筋金入りのつわものが多くおり、それらの人に勝つことは容易ではないということだ」
と主張している。私もまったく同感である。

第2章の「中国人研究」では、中国人の性格を形成してきた中国の歴史が要領よくまとめられている。ことに「文化大革命は中国人の価値観に著しい変化を及ぼし、いまだに消えることのない悪影響を与えている」と、われわれのビジネス相手の中国人がその負の遺産を背負って生きており、それを強く認識し理解しなければならないということを主張している。これまた私も同意見である。

第3章からはハウツーの部分に入るが、私はこの中の「中国人との交渉術―④キーワードは功利的説得」が、同種の他の本には見られない主張で、参考になった。そこには「最終決着は壮大な儀式とし、礼儀正しく、面子から始まりあらゆる手段を動員する。できれば中国側から結論を切り出させるのが有効だ。ひな形契約書や最終結論目論見書を必ず作っておく。交渉の王道である「功利的説得」がキーワードで、相手の得をした部分を細かくわかりやすく説明し、相手が収穫した成果を多いに取り上げてそれを強調する。それをわからせ、満足させ、譲歩させる」と書いてある。私もこの術を今後の実際の交渉現場で使ってみようと思う。

第4章からはケーススタディが多く取り入れられており、読みやすい。法律面での解説
も、ビジネスにおける主要な注意点は網羅され、的確に解説されている。

最期の附属資料も、他の同類書にはないものであり、参考になる。この本は、「帯の言葉」と内容がぴったり合っている数少ない本であり、その意味でも“超”入門書といえる。
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清話会 小島正憲氏 (㈱小島衣料 オーナー )

1947年生まれ。 同志社大学卒業後、小島衣料入社。 80年小島衣料代表取締役就任。2003年中小企業家同友会上海倶楽部副代表に就任。現代兵法経営研究会主宰。06年 中国吉林省琿春市・敦化 市「経済顧問」に就任。香港美朋有限公司董事長、中小企業家同友会上海倶楽部代表、中国黒龍江省牡丹江市「経済顧問」等を経ながら今年より現職。中国政府外国人専門家賞「友誼賞」、中部ニュービジネス協議会「アントレプレナー賞」受賞等国内外の表彰多数。

●小島正憲氏の「読後雑感」 これまでの連載記事はこちら!
http://ameblo.jp/seiwakaisenken/theme-10028305790.html
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