-植物の智恵-
(受粉の不思議)
~前項、続き~
言うまでもなく、花はこの難問をクリアしているわけである。
私がこの答えを知った時、その余りにも単純で巧みな仕組みに驚嘆したものでした。
それは、開花してしばらくは、「めしべ」は成熟しているが「おしべ」は未成熟という期間を設けているというものでありました。つまり、成熟時期をずらすことによって自家受粉を防ぎ、他科受粉を可能にしているわけである。
しかし、驚くべき仕組みはこれだけではありませんでした。開花の途中で必ず、「おしべ」と「めしべ」の成熟時期を一致させている。
即ち自家受粉も可能とさせていることです。
何らかの理由で他家受粉が叶わなかった場合、無為に朽ち果てるよりは自家受粉し、翌年に期待しようというわけです。
これは言わば、万一に備えて保険がかかっていると言えそうですであります。
私がこの顕花植物の受粉の知恵に触れた時、鳥肌が立つ程感動したことを覚えています。
花屋の店頭に置いてある、開花している百合の花の花粉が全て除去されているのは、服を汚さないようにする為ですが、もうひとつ、花の寿命を延ばすという意味があります。
受粉を終えると花はまもなく枯れ、結実の準備に入る為なんですね。
その単純で巧みな仕組みにはホントに驚かされます。ホントによくしたものです!!
素晴らしき哉-植物の智恵-
by 耳順