-生命の輝き-
(大腸の不条理)
私には以前からひとつの疑問がありました。
消化管とは口から始まって肛門に至る一本の管を言いますが、高等動物になるに従ってその一本の管は、機能に応じて、細くなったり太くなったり、また袋状に膨らんだり、関所が設けられたり・・・と段々に複雑になって行きます。
その消化管の腹腔内の様子を描いた人体絵図等を思い浮かべてみましょう。3~6mの長さの小腸をぐるりと囲むように約1.5mの大腸があり、部位によってそれぞれ名前が付いている。
盲腸→上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸、そして直腸→肛門と続くわけですが・・・。
私には以前からひとつの疑問がありました。
人間は重力の存在する地球上に生きており、消化管はこの重力を利用した上から下への一連の流れが最も合理的であると考えていた。
しかし、大腸はその最初の段階において上行結腸と呼ばれる、上に向かう部分が存在する。
合理的でないではないか?
不条理ではないか?
便秘し易いではないか?
私達はマラソンをすると、脇腹が痛くなることがある。この脇腹痛の原因はガスである。
大腸内に散在していたガスは、茶筒をトントンとたたくように、走る振動で左右の上隅に溜まり易くなり、それが一定量を超えると痛みを感じるようになる。これも私達にとって、様々な意味で不利である。
人類が狩猟で生活をしていた大昔であれば、追っていた獲物に逃げられるかもしれないし、追われていた猛獣に掴まって食われてしまうかもしれない。
命の根本にかかわることでもある。
狩猟・・・、そうか!
そうだったのか!
人類の祖先は4足歩行をしていた猿だったのだ!
試しに私が四ツ這いになると、あれ程矛盾を感じていた上行(下行)結腸はなくなり、すべて横行結腸となる。
これにより消化管は、上から下への移動、あるいは横移動となり、合理的であるべき進化に特に矛盾するものではなくなるわけである。
当たっているかどうかは知りませんが、そのことに気付いた私は一人合点したものでありました。
今から4~5百万年前、アフリカ大地溝帯に広がる大平原に進出してきた猿がいた。
これが直立2足歩行を始めて、人類の祖になったという。(異論もある)
ただし現世人類(ホモサピエンス)の出現は、ついこないだの20万年前になる。
小さな子供が動物園の猿の檻の前で、微動だにせず猿を観察している。
飼育員
「ぼうや、随分熱心に猿を眺めているけど、
どうしたのかな?」
子供
「猿が人間になったと聞いたけど、この猿はいつまで経っても人間にならないよ~。ウェーン」
素晴らしき哉、人間-その生命の輝き
-耳順-