元銀行員が明かす!銀行融資を上手に引き出す究極の方法 -247ページ目
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国民生活金融公庫の普通貸付での成功事例

日本政策金融公庫へ統合される直前に、

国民生活金融公庫から700万円の増額借換に成功した事例を紹介します。


【業種】ガラスサッシ卸、取り付け業

【年商】約3億円

【収益】収支トントンだが、債務超過となっている

【業歴】30年


この会社は、地元を中心にガラスサッシ卸ならびに取り付けなどを行っている会社ですが、建築業法改正による建築業界の大幅な受注減少に伴い、

ガラス取り付け等の受注が大幅に減少し、

経常利益の段階で収支トントンといった状況でした。


最終利益は、若干赤字という決算状況で、

近年の赤字体質から抜けきれてなくて、

債務超過の状態です。


今回、国民生活金融公庫から2,000万円(700万円の増額借換)の普通貸付で、

見事融資を受けることができました。


債務超過企業であっても、

融資を受けられる好例として、取り上げますね。


この会社の奥さん曰く、

数年前までは、借入残高が半分くらいになると、

国金の担当者が電話してきてくれて、

2,000万円まですぐに借入できていたそうです。


ところが、赤字体質になってから、

電話もかからなくなったそうです(苦笑)


そこで、現状の銀行取引状況を聞いていくと、

会社所有の不動産はすべてメインバンクA行が、

抵当権1順位で設定されていました。


さらに、突っ込んで聞いてみると、

自宅のローンが2年前完済されていて、

抵当権の設定はなかったんですね。


債務超過とはいえ、赤字幅は減少中であったので、

まず自宅を担保に入れる意志があることはふせておき、

そのまま交渉したところ、

あっさり承認されて、融資は実行されました。


今回のケースのように、

債務超過だけれども、赤字幅が減少中であると、

増額借換は認められる可能性はあるということですね。


もし最初の交渉が決裂しても、

自宅を担保にすれば、

何とかなったという印象でした。


つまり、何かしら業績が好転する材料を提供することが、

非常に大事ということです。


民間金融機関では通用しないかもしれませんが・・・。


また日本政策金融公庫にかぎらず、

金融機関は、過去の取引実績も加味されますから、

今が悪くても、

これまでに延滞のない返済を続けていれば、

道は拓けてくるでしょう。


国民生活金融公庫での失敗事例

日本政策金融公庫になる直前に、

国民生活金融公庫で300万円の融資申請が不承認となったケースをご紹介しますね。


【業種】飲食業(寿司店)

【年商】2,000万円

【収益】200万円

【業歴】5年


実をというと、この飲食店が融資したもらいたいのではなく、

新たにパンの移動販売をするための車両購入資金として申し込んだわけです。


本体の飲食業は、収益も出していますし、

何ら問題はないようにみえます。


しかし、よくよく話を聞いてみると、

「それでは、ダメだろうなぁ・・・。」

という致命的なことがあったんです。


それは、融資申込みをする前に、

すでに車両を購入されていたんです。

しかも、代金はすでに払い込み済み。


これでは、車両購入資金として申し込んでもダメです。

申し込むのであれば、運転資金として、

申し込むのが正解です。


実際、このようなケースはたまにあります。

新規分野に参入する場合、

話がトントン拍子に進んでいき、

融資申請が後手になってしまうんですね。


本業のほうで利益を出していますから、

手元にキャッシュがあったため、

車両購入が先行してしまったとのことでした。


日本政策金融公庫にかぎらず、

金融機関は資金使途を重んじています。


なぜなら、資金の使い道によって、

その企業がどう変わっていくのか

判断したいためです。


今回のように、運転資金と車両購入資金では、

資金の性質がまったく違うわけです。


改めて運転資金として申し込むという方法がありますが、

事情を詳細に理解してもらわないと、

騙されるのではないか?

と貸し手は思いますから、

最初の申請が非常に重要になってくると肝に銘じておいてくださいね。


本当にもったいないことになりますので。

日本政策金融公庫が発足しました

10月1日に、日本政策金融公庫が発足しました。
今日時点では、次の4つの機関が合流しました。


国民生活金融公庫(小規模企業向け融資)

中小企業金融公庫(中小企業への設備投資等の融資)

農林漁業金融公庫(農林水産業者向け融資)

国際協力銀行(国際金融業務部門)

 
これら4つの機関に加えて、
2012年に沖縄振興開発金融公庫(沖縄産業育成向け融資)が合流し、
5つの機関が1つになり、メガ公庫が誕生します。


特に、国民生活金融公庫と中小企業金融公庫は、
中小企業に対しての長期融資(固定かつ低金利)で、
資金繰りに大きく貢献してきました。


しかし、そもそも政府系金融機関は、
民業圧迫をしないという大儀名分があります。


したがって、今後中小企業向け融資のスタンスが、
どのように変わっていくのか注視していかなければなりませんね。


私は、現時点においては、
今後毎年のように日本政策金融公庫が、
中小企業向け融資を伸ばしていく
ということは考えられないと思っています。


なぜなら、貸出を伸ばしていくのであれば、
それこそ民業圧迫と言われかねません。


ただ政府の打ち出した経済対策の中で、
中小企業の資金繰り支援も謳われていますから、
来年度にかけては、急速な貸出圧縮はないかなぁと思います。


日本政策金融公庫となっても、
当面貸出姿勢を強める部門とそうでない部門と
両方あると思います。


細部についての私の考えは、
また次回以降にお話しますね。

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