俺らノーネームが表にでるきっかけは、ハスラーが族と小競り合いを起こしたといった事から始まった。
ハスラーが資金調達という名の恐喝をした相手の兄貴が族だったということらしいのだが、ハスラーの三人がボコボコにされた。
そこで俺を含んだウォリアーの出番となった。
相手の族の名前はよく覚えていないが、たしか×××愚連隊だったと思う。
ハスラーから情報をもらい、次の日から俺らウォリアーの×××愚連隊狩りを始めた。
族の集会を襲撃するのではなく、数人でたむろっている所を襲撃する。
相手の方が人数が多かったら諦める。
出来るだけ道具を使わずに喧嘩する。
相手が自分よりも強かったらあっさり退散する。
こういったルールを決めて襲撃をする事になった。
出来るだけ自分達の被害を少なく、それであくまでチーマーVS暴走族といった形に持っていくためだ。
実際ノーネームの初実戦となるのだが、何度かシミュレートしていたため、結構順調にいく。
俺の場合、仲間2人と公園にいた族を襲撃した。
相手の人数は同数の3人。真ん中の一人は立っているが、横の2人はしゃがんでいる。
俺が真ん中の奴を担当して、2人はしゃがんでいる奴の担当で仕掛けた。
相手から見えない場所から徐々に近づいて一気に駆け出す。
俺は立ってる奴の背中に走った勢いのまま飛蹴りを放った。
もう2人はそれぞれしゃがんでる奴に蹴りを入れ倒れた所を馬乗りにして殴りかかっている。
俺の相手は地面に手を付いたがすぐに立ち上がり、俺にガンを飛ばしてきた。
俺はすぐさま間合いを取ってボクシング風のファイティングポーズをとる。
相手の一挙手一投足に神経を研ぎ澄ませ、興奮する精神を頭の中で冷静になれ冷静になれと自分に言いきかせる。
俺から何もしてこないと感じただろう相手が何かわめいていたが、俺から何の反応も無いのを感じたのかすぐさま殴りかかってきた。
俺には殴ってきた相手をカウンターで殴り返す技術があるわけではない。
少し距離があり単に殴りかかってきただけの相手の対処法は、体を出来るだけ丸め突進する。
顔をガードしたまま相手の胸辺りを目掛けて体当たりをかますのだ。
顔と腹さえ殴られなければこれといったダメージはないからである。
そのまま相手が倒れるのもよし、踏ん張られても頭をかち上げれば相手の顔に自分の頭が当たる。
今回は相手は、すぐさま殴るのを止めたようで踏ん張られた。俺はすぐさま頭をかち上げる。
頭頂部に衝撃。相手のアゴにヒット。
相手が尻餅をついたところで、顔面を蹴り上げた。
叫びながら顔を抑えて寝っ転がった相手の顔面をもう一度手の上からだろうが蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。蹴る。
マウントポジションで殴り続けていた2人が立ち上がったのに気付いた俺は、蹴るのを止め2人と目配せをすると、すぐに撤収した。
3人とも無傷の完全勝利だった。
興奮したままの俺達はそのまま爆笑しながら自分達の武勇伝を主張しながらノーネームの溜まり場へと戻った。
その日の成果はほぼ勝利。一人だけ返り討ちにされたウォリアーもいたが、それ以外は大体成功した。
この日を境に族VSチーマーの抗争がはじまった。それから間もなくノーネームというチーマーの存在が広まっていく。