皆様、こんにちは
本日はアトピー性皮膚炎の患者の皮膚生理と
メイクについてご説明をしたいと思います
当クリニックには、様々なお肌の悩みを抱えている方が、
いらっしゃいますが、アトピーで悩まれている方がとっても多いです
アトピー性皮膚炎の状態は病変部分だけでなく、
一見正常に見える皮膚も経表皮水分蒸散量(TEWL)が高く、
そのため角層水分量は低くなり乾燥状態となります
老人性乾皮症などでは、同様に角層水分量は低くなっているものの、
TEWLの上昇は見られず、特異的な皮膚生理といえるそうです
アトピー性皮膚炎の角化異常は、天然保湿因子やセラミドなど、
皮膚バリア機能にも関係する成分の減少を引き起こします
表皮角質中のTARC(*1)を測定したところ、
通常の肌と比較すると無疹部でもTARCの生産が、
有意に亢進していることが確認され、病変に関係なく、
軽度の炎症が起きていると考えられます
また、アトピー性皮膚炎患者の皮膚の状態は、
同年代の通常皮膚と比較すると、やや色味が強くみえますが、
この皮膚色はアトピー性皮膚炎特有の皮膚生理によって、
特徴的に形成されるもので、治療と並行し、
メイクアップからの対応も重要となります
*1 TARC
71種のアミノ酸から構成されるたんぱく質。
様々な刺激により、生産され増強される。アレルギー反応を亢進させ、
アトピーの症状を憎悪させると考えられている。
通常、メイクはあまり良くないのでは・・・と、
思われている方も多いと思いますが、
メイクベースやファンデーションは皮膚の色味を整え、
乾燥や紫外線から皮膚を保護する、大切な役割があります
これまでは、アトピー性皮膚炎の治療においてはメイクの使用は
避けたほうがよいと考えられてきました。
しかし、アトピー性皮膚炎は顔面など露出部位に症状が多いため、
人の目を気にしながら、素肌で人前に出ることは精神的に
大きな苦痛を生じますメイクをすることにより、
赤みや黒ずみを補正することができれば、自分に自信を持ち外交的になり、
アトピー性皮膚炎で悩まれている方のQOL(クオリティー オブ ライフ)が
向上することが確かめられており、
治療上でもメイクは有効と言われています
ベースメイイクを行なうことは、保湿及び、皮膚からの水分の
蒸散防止効果に加え、多少の痒みがあっても、
化粧崩れを避けるために顔を触らなくなり、
物理的な刺激の回避に繋がります
オススメ治療
ジェネシス
レーザーピーリングにより、皮膚のターンオーバーを促進させ、角化異常を正常化します。また、ヘモグロビンを吸収することにより、お肌の赤みを軽減させ、色味の改善や肌質改善が可能です。
イオン導入
高濃度のビタミンCをイオン化し大量導入。肌の酸化を防ぎ、炎症を抑え、沈静させます。
オススメ ドクターズコスメ
メディプラスゲルDX
ヒアルロン酸やセラミドたっぷりの保湿液。一本で化粧水・乳液・美容液・下地効果あり。水や成分にこだわりがあり、敏感肌やアトピー肌に必要な水分をたっぷりと与えてくれます。
NOV バリアコンセントレイト
お肌のセラミドにとっても近い成分が主成分なため、敏感肌やアトピー肌でも安心して使用できる、保湿美容液。
ジェーン・アイルデールシリーズ
主成分が微粉化ミネラルと自然の色素を使用。オイル・香料・アルコール・添加剤・着色料が一切含まれていないので、敏感肌やアトピー肌でも安心して使用できます。
まとめ
アトピー性皮膚炎患者の皮膚の状態は、乾燥や赤みを伴う皮疹、慢性炎症による色素沈着が混在しています。
症状にあわせた治療や、肌質改善を目的とする治療を行ないながら、皮膚の状態によって安全な化粧品を選ぶことが大切です。例えば、赤みが強い肌質であれば、黄味の強いファンデーションを使用することにより色味を調整できます。ただし、あまりにも症状が悪化してる場合は、刺激を与え逆効果となりますので、医師の指示に従って、まずは治療に専念してくださいね。
参考文献
アレルギーの臨床29(8),2009 P76~77
アトピー性皮膚炎患者の皮膚生理とメイクアップ
セイコメディカルビューティクリニック 松下