ストローク

ストローク

45才働き盛りを脳卒中が襲った。

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カオルの右脳を出血が襲ってから1年半が過ぎた。この間様々な感情がカオルを支配しそれに合った環境が現実となり現れた。どうしようもない四面楚歌の状況が何度もカオルの心に襲いかかる味わったことない敗北感と劣等感に毎日生きる心地を感じることはできなかった。出血前まであった幸せな生活は全て失った。住宅ローンを払える目途も立たず、20年続けた仕事も上手くいかず先の収入のあても完全に失った。もう生きる気力がないのだ。事務所で寝泊まりして妻の迎えでなんとかその日に立てた予定を何とか終わらすといった不毛な毎日が続いた。入院中や退院直後の感情とは明らかに変化して弱いものになっていた。食事をしてもコーヒーを飲んでもこれが最後だと感じながら味わう始末だ。何もかもから逃げ出し、市役所に泣きつき生活保護をうける決意をした。そこで立ちはだかるのが家族と住宅ローンだ家を手放さなければ生活保護は受けられない。妻も子供たちも家を離れたくない。勿論である。カオルは妻キョウコに「もう無理やからごめん銀行に相談して出ていかなもうなにもできない」と告げた。実はこの告白も三度目だ。何度も諦め今度は後始末が考えられずそれからも逃げ出すために「やるわ。」と言って時間を稼いだ。ところが枚番襲いかかる恐怖に打ちのめされもう逃げだすことしか頭にない。
46歳自営業者妻と小学生の子供が二人何処にでもある四人家族だ何処にでもない風景は父であるカオルの歩く姿で知ることができる。片足を引きずり、引きずる方の腕は力強く屈曲したまま持ち上がり醜い歩様が目立つ。食事の際も利き腕が使えるのでなんとか食べることはできるが、皿やお茶碗を持てないので顔を乗り出し片手で職位をする姿はこれもみっともない。さらに前かがみで食事をするのでいつもお腹は圧迫されている状態である。何も満足できない生活に生きる気力を失い顔は。精気に欠け他人に顔を合わす事を控えた。つい2か月前までは「俺はこうして車椅子で生活しているが、やがて成功して何不自由ない生活を送るぞと意気んでいたのにキョウコは』カオルの変化のきかけを知りたがった。カオルと結婚してこんな弱い夫を見たことがなく正直戸惑いも半端ではなかった。以前から情緒不安定だったキョウコはカオルの言葉に打ちのめされ二人の子供に当たり散らした「死ね、ボケ、消えろ」子供たちに向かう罵声に容赦はなかった。小六の』長男には刃物さえ突き付け脅した。


生活保護を覚悟したカオルだが仕事の後始末に目途も立たず途方にくれたが、そこはしっかり者のキョウコの突き上げもありなんとか一つ一つ片付けにかかった。どれも上手くいくような簡単なものはなかったがとりあえず手をつけ始めた